2017年2月19日日曜日

明治維新期の欧州~クリミア戦争

 日本は今頃寒気が来て真冬並みの寒さでしょうが、こちら上海は今日初夏のような天気でむしろ熱く、気温の激しい変化に体がついて行けず頭が痛かったです。もっとも、昨夜大学の先輩らを含むゲーム大会が深夜一時まで続いたのも原因でしょうが。

 話は本題ですが、明治維新といえば日本で承久の乱に並ぶ大革命の一つでその内容については小説やドラマにも数多く題材に取られることもあって詳細に知られていますが、同時期の日本の外、海外の状況については恐らく大半の方が知っておらず、多少知識がある人でもせいぜい米国で南北戦争が起こっていたというくらいしか知らないのではないかと思います。
 はっきり言えばこうした状況は日本国内の内容しか取り扱わず周辺事情に気を配らない歴史教育に問題があると思え、細かいところまではいいとしても大雑把にその時の世界はどんな状態だったのかをある程度教える必要があるのではないかと思います。特に列強諸外国との関係を持ち始めた明治維新期においては重要で、当時の列強状況、どこが強くてどことどこが組んでいたのかなど、大まかでも把握しておく必要があると思うので、今日はクリミア戦争を主軸にとって当時の欧州事情を解説します。

クリミア戦争(Wikipedia)

 日本の明治維新、というより近現代の始まりは「嫌な誤算(1853年)」という語呂合わせでお馴染みのペリーの黒船来航から始まるということで衆目一致しており、私も同じ価値観を共有しています。なお1800年代の年号は「いやん○○」で私は大抵覚えており、「いやんムーミン(1863年)薩英戦争」という単語を今も胸に刻んでおります。
 話は戻りますが、日本が本格的に清やオランダ以外の列強各国との接触を始め変化が迫られた1853年に勃発したのがクリミア戦争です。クリミア戦争とはなにか大まかに説明すると、領土拡張を目指し南下政策を取っていたロシアがトルコに対する侵略を行ったのに対し、その動きに歯止めをかけようとトルコ側についた英国とフランスが戦った戦争です。

 戦争の勃発理由はバルカン半島の小国家同士の小競り合いに始まっており、その紛争の処理を巡って当初はトルコ領土の分割や宗主権の確認で終わるだろうと思われていた外交交渉が英国、フランス、ロシア、オーストリアのそれぞれの国内事情からこじれにこじれた上に外交担当者の不始末もあり、なし崩し的にロシアとトルコが開戦してしまったというのが実態です。そうした背景から列強各国は当初、この戦争は短期間で終わるだろうと思っていたのですが、英国はなんとしても地中海にロシアを入れまいと強硬な姿勢を取った上、当該地域における利害関係が比較的薄かったフランスも民主選挙の上に皇帝に即位したばかりのナポレオン三世が自らの影響力拡張を図って英国と共にトルコ側へ参戦したこともあり、初代ナポレオンによるナポレオン戦争以来の欧州大戦へと発展していくこととなりました。

 戦争の中身としては産業革命を経ていたこともあって物資投入がこれまでと比べ破格の量となり、火薬量の増大もあって戦死傷者がそれ以前の戦争と比べ段違いに増えていきました。一方、戦術は未だに突撃戦法が主流でありなおかつ治療体制などに置いては旧態依然ということもあって戦地ではコレラを始めとした伝染病も蔓延し、フローレンス・ナイチンゲールが「これだから軍人どもは後ろのことを何も考えない」などと文句言いながら治療活動を展開してたそうです。
 勝敗については正直な所、双方で拙い戦術や連合軍同士の足並みが揃ってなかったこともあってグダグダが続いていましたが、ロシア軍の方で致命的な戦術ミスが相次いだ上、戦時中に皇帝ニコライ一世が逝去するという不幸もあり、1856年にロシアの敗戦でクリミア戦争は終結しました。

 ロシアとしてはこの敗北によって南下政策が一旦停止させられたものの完全に諦めていたわけではなく、一旦は東方政策に転換して満州、朝鮮地域への進出を図りましたがそこは明治維新を経た日本によって日露戦争で歯止めをかけられると、再び南下政策に戻って一次大戦に繋がっていきます。

 ただこうしたロシアの戦略転換以上に欧州世界への影響が大きかった点としては、この戦争で英仏が手を取り合って戦ったことです。両国はジャンヌ・ダルクが活躍した英仏百年戦争の頃から欧州の覇権を争い続けた国同士(一度だけスペインも加わるが)であり、先のナポレオン戦争では文字通りガチンコの戦いを経て英国がフランスを下したことによって欧州チャンピオンの座に輝きましたが、それでも両国は「終生のライバル」とクリミア戦争以前は思われていたそうです。
 そんな両国がこのクリミア戦争で協力し合い、さらに英国自身が欧州大陸に対する興味を失い始め、海外での植民地獲得に集中し始めるなどより海洋国家としての性格を強めたことによって、なし崩し的に欧州大陸の中の影響力ではフランスが一番などという風な見方が一気に広まりました。

 一方、クリミア戦争で準当事者でありながら何の主導力も発揮できなかったオーストリアに至っては、保護国であったイタリアでは独立運動が高まり、影響力を持っていた現在のドイツ南部の地域においてはプロイセンが徐々に圧迫していた状況もあり、かつてはハプスブルグ家でブイブイ言わせていた威光が明確に凋落し、誇張ではなくその後も欧州一等国から二等国へと陥落する羽目となります。
 そうしたオーストリアの凋落もを尻目にフランス、というよりナポレオン三世の威光はどんどんと高まり、彼自身の英雄思想から諸外国への介入も増えていったことからそれからしばらくの欧州外交はナポレオン三世のフランスを中心に動いて行きます。

 故に明治維新直前の幕末期、欧州世界は英国、フランスの二巨頭が珍しく共調し、二ヶ国とも海外の植民地獲得(フランスも熱心だった)に従事していた期間であったと言えます。欧州外交はやはりフランスを中心に行われ、この間にフランスはイタリア独立戦争に介入したり仲裁したりしており、アジア地域ではベトナムを植民地化したり、英国と一緒に清から租界地分捕ったりしていて、案外この頃のフランスは見た目にもノリに乗っていたんじゃないかという気がします。
 しかしそんな絶好調のフランスに対し、欧州大陸チャンピオンの座を狙い密かに準備を続ける国家が存在していたわけで、続きはまた次回に。どうでもいいですが、そこん家の家紋はどう見ても馬鹿そうな犬にしか見えません。

2017年2月17日金曜日

AIの進化に対する懸念

 また今日からえらく寒くなって辛いためどうでもいいネタで記事埋めます。最近、Amazonのページやニュースを見ていると、「もうすぐITに駆逐される職業一覧」みたいな見出しがよく目に入ります。言わんとすることはITに取って代わられる職業がこれだけあり、こういう仕事は今後なくなるぞみたいな危機感を煽るような内容なのですが、私個人としては案外こういうのは眉唾だと見ており、対して実力のないライターが糊口をしのぐために危機感をあおる内容を書いてるだけで、実際には損な取材とか検討なんてしてないだろうと思ってみてます。

 特によく思うのが翻訳関係で、「欧米ではもうAIが記事を書いている」、「翻訳作業は全部AIに任せられる」みたいな内容が私以外にも見ている方が多いと思いますが、これらは所詮、欧米の枠内だけの話です。アルファベットを文字として使う言語圏であれば単語や文法などもある程度共通する点が多いため、機械翻訳する上では実はそんなに困難ではありません。特にフランス語やスペイン語などラテン語圏などは差異が小さく、これらに加えドイツ語や英語も文法法則さえしっかり押さえればそりゃ機械翻訳だってできるでしょう。

 一方、日本語や中国語はアルファベットとは違い膨大な量の漢字を取扱う上、同じ音や文字の組み合わせでも意味が大きく変わることもあるため、実際に機械翻訳をしようっていうのなら誇張ではなく欧米言語間の数百倍は困難でしょう。また日本語の場合は助詞が多いことに加え動詞などの活用も異常に多く、中国語は活用こそないものの単語の文字数が漢字一文字ないし二文字や三文字と極端に短く、漢字二文字の単語に使われている二つの漢字がそれぞれ一つの漢字で意味を成すこともあり、単語がどこで接続するのかという判別が異常に困難です。
 であるからして、少なくとも日本語使用者にとっては完全な機械翻訳が実現するはまだまだ先だと分析していない人間の話は私はまず相手にしません。

 話は戻りますがこうしたAIの進化についてはどちらかというとテクノロジーの発達を歓迎するような、これからどれだけ便利になるのかといった話よりも、上記の「なくなる職業」のように危機感を煽る系の述べられ方のが圧倒的に多いです。何をどう思おうがそれぞれ人の勝手だと思いますが、書いてる人間たちはなるべく煽って本とか買わせようという魂胆であるということを視野に入れて話すと、何故この程度しか煽れないのかという点で疑問に感じます。
 要するにもっと危機感を煽れってんだと言いたいわけで、具体的には「AIに駆逐される職業」とかではなく、「AI兵器をどうすれば倒せるのか」、「スカイネットの脅威」みたいなタイトルで、T-800型ターミネーターにはプレス機が有効だとか、サイバーダイン社をどう爆破すればいいのかみたいなハウツー本とかの方がもっと危機感煽れるんじゃないかと思うわけです。まぁこの辺は冗談ですが。

 ですがこの視点で以ってもう少し話すと、恐らく人間が実際に登場する最強の戦闘機は現行の米軍最新鋭機のF-35ライトニングⅡになると本気で考えています。何故かというと、今後の戦闘機には人間は登場せず、遠隔操作もしくはAI自動操作で任務を行うことが予想されるからで、実際に戦闘機の最大の弱点は人間を載せなければならないところにあり、人間を載せる必要がなければかなりめちゃくちゃな性能の戦闘機が今後作れると思います。
 そうしたAI兵器にどう対応するか。さすがにさっきのターミネーターは非現実的ですが、ドローン攻撃機や無人戦車に対する防衛策、具体的にはジャミングや遠隔からAIチップなど集中的に破壊する兵器や攻撃方法なんかはこれからの軍事領域で求められてくるかと思います。まぁ一番手っ取り早いのは、衛星装置を破壊することに尽きるのですが。

 そういう意味では日本も戦闘機の開発は米国から禁止されているのでできませんが、ターミネーターの開発は別段禁止されてないので、室伏氏をモデルにしたT-800型から開発していくのが筋かもしれません。モデルはほかにも吉田沙保里氏やケイン・コスギ氏を採用してもいいでしょうが、朝青龍をうっかりモデルにしてしまうと本気でAIの反乱が起こりそうなので人選はしっかりする必要がありそうです。

2017年2月15日水曜日

残業抑制と副業解禁について

 ほんとどうでもいいことですが、ちょっと興味を持った楳図かずお氏の「14歳」、「私は慎吾」をAmazonで検索かけたところ、「おすすめ商品」に楳図氏の漫画が毎日びっしりと表示されるようになり、どことなくホラー感が増した気がします。楳図氏の作品は「漂流教室」しか読んでいませんが、この一作だけでもどれだけこの人が漫画家として偉大であるかはよくわかります。

月60時間、経営側も容認=繁忙期や適用対象が焦点―残業上限(時事通信)

 今日は概ね上記ニュースへの感想ですが、疲れてるので一言だけ言うとこの手の議論とか主張してる人を見ると、「死ね、早く死んですぐ生まれ変われ」と言いたくなります。左目もやたら見え辛くなってるのでもう終わりにしたいですが頑張って続けると、電通や三菱電機の違法残業事件ではどちらも実際の残業時間をきちんと計測せず、規定した時間しか申告させずに処理しており、残業の上限時間を仮に決めたとしても申告可能な残業時間が減るだけ何も変わらないと思うのは私だけなのかと見ていて不安に感じます。誰もツッコむ奴がいないのか、いわんやジャーナリストもかといったところで、ほんとこのところ日本の記事見ていてこういうことが多く不安しか覚えません

 また上記記事では「経営側も容認」とか書いていますが、そもそもハナから残業代なんて払う気なんてないんでしょうからそりゃ容認するに決まってます。今求められているのは違法残業を強いる会社を駆逐する強い法的強制力と執行機関であって、上限を80とか60とか40と言っている時点でそいつの頭叩いて追い出した方がずっともっと建設的でしょう。ちょっと厳しい言い方すると、この記事書いた記者と通した編集長も頭叩かれた方がいいのではと私は思います。

 テンション上げてきたので頑張って続けると、この残業規制というか過重労働対策として私の友人がよく提唱している案というのが見出しに掲げた「副業解禁」です。言うまでもなく日系企業の多くは正社員(非正規にも?)に対しアルバイトを含む副業を行うこと社内規定などで禁止しており、ばれ方によっては懲戒を出す会社も少なくないでしょう。
 上記の残業時間規制によって現在何が心配されているのかというと、社員の残業時間が業務が処理できなくなるという労力不足が懸念されております。その穴を埋めようというのが上記の副業解禁案という奴で、具体的に言うと、アフター5こと定時以降はほかの会社で仕事を行ってもよいとすることで、これまで残業していた正社員の代わりに非正規などのスタッフを雇って不足する労働力を補わせるという案になります。

 この際の労働契約では超過労働時間計測は行わず、通常のアルバイト通りに深夜を除けば通常の時給支払いなどとすることで、雇用者側は残業代追加分を支払わずに済み、労働者の側は無理な残業からは解放され、本人がまだ働く余力があれば余所で働いて賃金が得られるという仕組みになり、さらには雇用の流動化も促せるというような意見が見られます。ただ結論から言えば、あまり実効性は高くないだろうというのが私の見方です。

 理由は複数あり、まず第一に日系企業は外部の人間に対する拒否感が異常に強く、守るほどの企業情報なんてないくせにやたらと内情を明かすのを嫌ったりするため安くで人員が雇えると言っても敢えて雇わず、既存の人員だけで回そうとするでしょう。もう一つの理由は、現在の日系企業はどこも慢性的に人手不足で労働力が足りませんが、雇用者全体で労働力が足りてないにもかかわらず賃金を増やして人員を募集したり、増員させようという意識は全くありません。その背景はやや複雑で、突き詰めれば人口減によるデフレによって業務効率を高めたところで企業の売上げが増えないためです。
 そのため、仮に副業解禁が日本で広まったとしてもアフター5の労働力を実際に活用しようとするのは小売や飲食といった業界だけで、しかも副業求職者が増えることによってこれら業界の時給は下がり、それまで働いていた人たちの給与が細くなるというデフレスパイラルが起こると私は予測します。繰り返し述べますが、今求められているのは労働時間を規定通り遵守させる強制力と執行機関だけで、制度自体には問題がなくその制度を徹底させる力が致命的に不足しているのであって、労働関連制度をこれ以上弄っても厳格にしても何も起こらないと断言します。

 それにしても近々また別に記事書く予定ですが、私から見て日本の労働者は大人しすぎるにもほどがあります。中国なんか自分が悪くてクビにされたのにやたら会社に抵抗して金をふんだくろうとしたりする人がたくさんいますが、そこまで極端でなくても違法だったり無茶なことだったりを要求する会社を爆破したりするようなボンバーマン的な気概を持つ人間こそが今の日本に必要だと私は思います。
 偉そうな口をと思われるかもしれませんが、私の場合はさすがに爆弾こそ仕掛けなかったものの、「あんたみたいなカスには従えない」といって次の行く先も決まってないにもかかわらず啖呵切って会社辞めたことはあります。日本人はやたら暴力は駄目だとか言いますが、抵抗する気概すら失っては暴力のあるかないかに関わらず人間として終わりだろうと思うし、もっと怒りの感情を世間に出したほうが人間らしいというのが私個人の意見です。

2017年2月14日火曜日

金正男氏の殺害報道について

 特に今日は書くことないから東芝の損失純額が4999億円って、この際だから無理せず5000億円でもよくね、っていうかここまで来たら過去最高記録を作るためにもっと積み上げなくちゃ、とか書こうと思っていた所、ビッグニュースが入ってきました。

北朝鮮の金正男氏 マレーシアで殺害(聯合ニュース)
搬送の北朝鮮男性が死亡とマレーシア警察 金正男氏との関係は不明(産経新聞)

 恐らく日本でも各所で速報が流れているでしょうが、北のプリンスこと金正男氏が亡命先のマレーシアで殺害されたという報道が出てきました。産経の記事内容によるとロイターがマレーシア警察にも裏取りして、北朝鮮男性が死亡したことそれ自体は事実だと思われ、具体的な死因、特に暗殺だったのかか否かについてはまだ書かれていないものの、私個人の意見ではやはり暗殺されたのだろうと現時点で考えています。
 これまでにも北朝鮮は金正男氏に対して何度も暗殺を謀っていたと報じられています。韓国へ脱北だと偽って諜報員を以前にも送っていたそうで、日本国内でも金正男氏の身の安全が危険な状態にあるということは各所でも伝えられてきました。

 と、書いてるうちにも死因はどうも毒殺で、謎の女性二人が逃走中であるという速報が続々と入ってきています。なお中国での報道はネット上だと速報ベースしかなく、内容は「死んだようだ」程度で日本と大きな差はありません。

 少し冷静になって今後の状況について述べると、今回の暗殺によって北朝鮮の一つの落着ポイントこと、金正男氏を担ぎ上げて金正恩を北朝鮮国内から追放するというシナリオは消失したということになります。もちろんこのシナリオ自体が現実味はそれほどありませんでしたが、「反北朝鮮」ではなく「反金正恩」という旗頭になり得た人物であったことには間違いなく、この暗殺によって少なからず北朝鮮を批判するネタは減ったことになるでしょう。
 ただそれにしても、ミサイル実験やった直後にこれまた暗殺なんて相変らずタイミングを考えずにやる国だなと思えてなりません。折も折で米国にはトランプ大統領が就任しており、オバマ前大統領とは違って堪え性ないということをわかってやっているのか疑問です。

 そんな米国以上に、中国政府ももう相当腹に据えかねていると思います。以前に知人にも話しましたが、もし北朝鮮が滅ぶとしたら滅ぼす人間らは鴨緑江、つまり中朝国境からくると私は予言しましたが、やはり現時点においても北朝鮮を滅ぼすとしたら中国軍になるのではないかという気がします。にしても、丹東行くのは去年で良かった。

 なお今回のニュースが出た直後、友人の上海人からすぐにニュース記事が転送されてくるとともに、「君がやった?」と聞いてきたので、「俺ちゃう、やったのはシーチ……」と適当に返信しておきましたが、ほんとどうでもいい事でもこのところぼけてくるのでツッコむ回数が増えてます。

2017年2月13日月曜日

流行り物なき近現代

 最近社会批評書いてないので今思いついたものをありのまま(れりごー)に書くと、日本に住んでないでいうのもなんですが、最近日本で流行り物ってないなぁって気がします。一応日経トレンディとかが毎年まとめていますがブームと呼べるような商品やサービスは報道を見る限りだとほとんど見られず、また流行語大賞もここ数年の反応を見ていると満場一致というか誰もが「流行っている」と頷くような言葉がなく選考する側もやや苦心して選んだような跡が見られます。

 流行り物がないのは社会が多様化したからだという風に説明することも一応は可能ですが、内心ではそうでもないんじゃないのかなというのが私の意見です。というのも中国で暮らしていて市民が関心を持ったり誰もが興味を持って流行るものというのが毎年きちんとあったりして、たとえば最近だとどこでも乗り捨てできるレンタサイクルの「mobike(モバイク)」が話題で、中国人と話しをしていてもよくこの単語が出てきます。
 なんていうか、日本人と話をしていてもよく話題になる単語がどうしても出てこないという感じがしてなりません。誰にでも共通できる話題が少ないというか、各人それぞれの趣味や嗜好に合わせて話題を選ばなければならない煩わしさが少しあり、だから人間関係とかも日本だと偏りがちになったりするのかななどとも思うところがあります。もっとも私の場合、どんな話題にも対応して食いついていく自信があるのでその限りではありませんが。

 時たま私はこのブログで「平成史考察」という見出しで近現代史を取り扱いますが、単刀直入に言って現在に近い年代になればなるほど書き辛くなるという違和感を覚えています。理由ははっきりしており上記の通り各時代を映す鏡のような話題がないためで、直近だとせいぜい言って「STAP細胞」くらいしか書けないのではないかという気すらします。
 それこそ90年代くらいであれば酒鬼薔薇事件とか神奈川県警の不祥事、アムラーやコギャルと援助交際問題など題材に取り上げるテーマは枚挙にいとまがありませんが、2010年代に入ってしまうと東日本大震災など大規模災害を除けばほんとに書くネタがありません。もう少し熟成するのを待てば「イナズマイレブン」とか「妖怪ウォッチ」が書けるようになるかもしれませんが、現時点で近現代史として取り扱うにはやや無理があるでしょう。

 なんでこのようなことを記事にするのかというと、単純に危機感を覚えるからです。流行り物がない即ち社会に活力がなくなってきていると言い換えてもよく、流行る商品やサービスを企業が作れないことはおろか大衆消費者行動に結びつかない点でも社会として弱っているのではないかと思えてならないからです。
 そう考えると、流行りだした頃は正直いい気分しなかった恵方巻きなんかはまだ年度の消費者行動として定着させただけでもマシだったかもしれません。個人的には納豆巻きの方が好きだから太巻きじゃなく納豆巻きだったらもっと応援していたのですが。

2017年2月12日日曜日

派遣マージン率記事取材の舞台裏~ライクスタッフィング編

 昨日に引き続き、前に出した派遣マージン率に関する記事の取材における舞台裏を書いてきます。今日は取材を完全拒否してきたライクスタッフィング(旧ジェイコム)についてです。

 ここには都合、二回ほど電話をかけており、一回目の電話で相手になったのは比較的声は若そうな女性でした。代表番号にかけて出てきたので恐らく総務スタッフではないかと思うのですが、広報につなげてほしいとすかさず、「現在外出中で戻りません」と即答。ならばといつ戻るのかと尋ねたら、「予定が不安定なためわかりません。明日以降も同様です」という風にすらすらと答え、この時点で「手ごわい。こいつ、エースだ……」と感じました。

 最終的な結末はともかくとしてこの時の女性の受け答えは企業広報(恐らくは総務スタッフではあるけど)としては非常に理想的です。具体的にどこがいいのかというと断言している点で、たとえば先程の回答で「今日は恐らく戻らないかも」という回答なんてしたら、「今日中に戻る可能性は有るんだな。だったら携帯にでもかけて夕方前に必ず返事寄越せ」というツッコミを出す隙を与えてしまいます。
 その後の回答も完全に「無理」と言わんばかりに全部断言口調で、曖昧に回答されるのと比べると記者側からしたら非常に攻めづらい相手でした。それでも一応嫌味半分で、「常にオフィスにいない広報なんてあり得るんですか?それで仕事回せますか?」と攻めかかってみたものの。「ええ、頻繁にグループ会社間を回ってるので」という風に返されるなど、正直手も足も出ませんでした。

 仕方ないのでならメールで聞いたら回答してもらえるかと尋ねて、「それであれば担当者にお伝えしておきます」という風に話をまとめられたこともあり、質問を後ほどメールで送るから返信をくれと伝えて第一ラウンドを終えました。
 恐らく、「フリージャーナリスト」と私が名乗った時点で広報には繋げないように判断したのではないかと思います。悔しいですが大手メディアと比べると中小メディアではこういうことは多々あり、取材を暗に拒否されることも少なくはないのですが、こと断り方に関してこの時の女性は非常に手ごわく、ここ数年で相手した中では間違いなく最強でした。ほかの会社で広報している方にもお伝えしますが、回答は基本的に断言口調で二の句を次がせない言い方のが強いです。

 その女性との激しい一騎打ちから一週間後。いくらか想像はしていたもののライクスタッフィングからはメールの返信は来ませんでした。やっぱりと思いつつまたあの女性と第二ラウンドに臨める、今回はメールでの返信もなかったことから攻める材料も十分だし今度は負けないぞとばかりにいくらか楽しみな気持ちを持ちつつ電話をかけたところ、生憎電話に出たのは前回の女性とは別の比較的若い男性の声でした。
 今回も電話に出るや取材のため広報につないでほしいと開口一番に言うと、その若い男性は一旦電話を置き、相談でもしてたのか戻ってから、「すいません、広報担当者は今外出中です」とまたも同じ返事を出してきました。しかし今回は二回目の電話、しかもメールの件もあるので、「先週電話をかけた時も同じ回答でした」と述べた上で、既に質問メールを送っている、質問内容は貴社のコンプライアンス違反である、このまま全く広報を出さないなら取材拒否としてこちらは扱うと強い口調で述べたところ、「しょ、少々お待ちください」と、少しよろめいた様な口調で再び電話を置きました。

 しばらくしてから別の人間、今度はやや年かさを感じる女性が電話に出て、用件は何かと私に尋ねてきました。しかしこの時点である程度結末は予想していたので「御社は広報がいつまでたっても出てこない、メールで聞いても返事こない」と伝えた上で、「真面目に答える気あるのか?」と、一言を入れました。これに対しその女性は、「代わりに私がお伺いします」というのですが、「あなたであれば私の質問に答えられるのか?」とまた強い口調で言うと、一瞬ためを置いて、「回答できるかどうか、まずはご質問を伺えればと思います」というので、質問してやりました。
 質問内容はこれまでも書いてきている通り、派遣マージン率を何故公開しないのか、コンプライアンス的にどうなのかというこれまでもいろんな会社に繰り返してきた内容を伝えたところ、「誠に申し訳ありませんが、ご回答しかねます」と、案の定回答を拒否してきました。

 ただこっちとしてはマージン率を公開していない企業が悪質だという風に書ければ問題なく、またほとんど想定通りの対応だったため話を締めようと、「では、取材拒否として受け取ってもよろしいでしょうか」と最後に確認した所、「構いません」と即答され、最後に「ご協力(されてないけど)ありがとうございました」と言って第二ラウンドを終えました。

 第二ラウンドはともかくとして第一ラウンドは触れられたくない情報を隠す上ではほぼ理想的な対応と口調であったことから、マイナビに比べればまだメディア対応はしっかりした会社だなというのが私の感想です。とはいえ第二ラウンド、ひいては広報を全く出さないのはやはり問題で、取材や回答を拒否するなら拒否するでメールで返答しておけばリスク回避の上でも有利なのにその辺の詰めの甘さは感じます。メールで拒否しておけば電話かけられても、「既に返信した通りです。以上」と切れるのに。

 こうした対応だったからなるべくとっちめたかったのが本音ですが、肝心のマージン率の記事がそれほど反応がよくなく、どちらかといえば今回は私が敗北したとみるべきでしょう。情けないことを承知で敗因を述べると、Yahoo記事のコメント欄を見ていて感じたこととしてどうも、派遣労働者当事者の反応が薄いというかあんまり読んでないのではと感じる節があり、これまでのマージン率関連の記事全体でもそうですが、部外者の人間しか読まない上に当事者が反応ないということでこの問題はいまいち盛り上がりに欠けてしまうのではという気がしてなりません。

2017年2月11日土曜日

派遣マージン率記事取材の舞台裏~マイナビ編

人材派遣会社の派遣マージン率を調べてみた(JBpress)

 知ってる人には早いですが先月にこのブログでも記事書いたマージン率記事をJBpressさんの方でも出してもらいました。ただこちらは「派遣マージン率とは何ぞや」という最初の説明からしたため、記事全体であまり尖がった主張が出来ず自分としてもうまく書き切れなかったとやや反省しています。
 ただこちらの記事ではブログ記事とは違って、マージン率を未だにサイト上で公開していなかったマイナビ、そしてライクスタッフィングに対する取材内容を掲載しております。取材で得た内容については直接記事を見てもらえばいいですが、今回はその時の取材の舞台裏というか両社がどういった対応だったのかと合わせて企業広報のあるべき姿、それと普段の経済部記者のお仕事を軽くレポートします。両方一緒に書くとしんどいので、今日はマイナビです。

 マイナビには一月中旬、サイト上で「広報部」と表記のある電話番号へ直接国際電話をかけました。でてきたのは女性の担当者で、自分は派遣会社のマージン率を調べているのだが、マイナビはガイドラインに反してサイト上に情報を公開してないがこれはどういう意図なのかと直接問いただしました。すると向こうの回答は、

「誠にお手数ですが、メールにてご質問いただけないでしょうか」

 っていう内容でした。この回答に対して私はすぐにはいわかりましたとは言わず、現時点で法律に対しマイナビが明確に違反していると指摘した上で、何も難しい事聞いてるわけじゃないんだから今ここで答えられるはずだと言い、あくまでその場での回答を求めました。ついでに、前年一月にメールでマージン率の開示を要求したにもかかわらず返信を寄越さなかった件についても触れ、「メールで聞けと言いながらあんたらはこちらの問い合わせに対して返信すらよこさなかったじゃないか。言われた通りにメールで質問してあんたらがきちんと回答してくれる保証はないどころか、回答をしなかった前科があるんだぞ」と述べ、今ここで答えるように再度要求しました。

 少し声のテンションを上げたこともあって向こうも警戒感を強めたのが、「少々お待ちください」といって一旦電話から離れました。恐らくはほかの広報の人間と相談をしていたのだと思いますがしばらくたって戻ってきたところ、「誠に申し訳ありませんが、株価などにも影響するような取材に対してはメールでしか質問、回答を承ってないため、やはりメールでご質問いただけないでしょうか」とオウムの如く同じこと言ってきました。

 多分普通の人からしたらそう感じるほどでもないでしょうが、企業広報がこうした回答して来たら記者は真面目に激怒しても許されます。というのも株式非上場企業であればともかく、上場企業は経営に関する情報を常にできる限り公開するという義務があり、私のこの時のマージン率に関する質問は法規違反にも関わるため公益性も確実に備えていました。そもそも、広報というのはあらゆる質問に対して即座に対応、回答するための部署であり、その業務はそれ以外でもそれ以上でもありません。

 ってこともあり、っていうか企業取材で私はむしろ優しい方でめったに怒ることもなければ怒鳴ることもなく、新聞社時代の上司からは「お前は甘すぎるんだよっ!」って具合で自分が怒鳴られていたほどでした。そんな自分にしても、上記のマイナビの回答はさすがにカチンと来て、こういいかえしたわけです。

「メールで回答するったってだったらなんであんたら広報部として仕事してるんだ。質問にその場で答えられないってんなら電話番号なんて置く必要もなければ、あんたら広報なんて部署の人間だっていらないだろ!」

 という具合で、怒鳴るほどではなかったもののかなり声を大きくして強く言いました。あくまで心優しいと自負する私からしても上記のマイナビの対応ははっきり言って許せず、また広報としては明らかに致命的で、リスクの高いというか訓練のできてない広報だと感じました。

 たとえ即座に答えられない質問が来たとしても、広報は何かしらの回答を記者に行わなければなりません。この場合の模範解答としては、「誠に申し訳ありませんが、回答を準備させていただけないでしょうか」と述べ、その日中に折り返しの電話で回答するというやり方で、実際にほかの大半の会社はこのような回答を取ることが多いです。この場合記者は入稿締め切り時間などを勘案して、何時までに回答を寄越すよう伝えて第1ラウンド終了となるわけです。
 もう一つの模範的な広報の対応としては、何かしらの情報をお土産として記者に持たせるやりかたです。記者としては原稿を書くための情報が必要なのであり、それは完璧な情報に限るわけじゃありません。たとえ断片的であっても、部分的な回答であってもそうした情報があれば記者はある程度記事が書けるわけで、上司に対しても、「核心は濁しましたが、粘った甲斐あってこの情報は引き出せました」と成果を報告できます。逆を言えば、回答は後でと言われて何も情報を得られなければ記者としても大変なわけで、上司に何も報告できなければ「てめぇもう一回電話かけろ!」って逆に怒られてしまうため、なんでもいいから少しでも情報を出してくれると記者としても引きさがりようがあるわけです。

 しかし上記のマイナビの対応はこのどちらも出来ておらず、ましてやマージン率に関する情報なんて模範解答を準備してたっていいと思うような内容だと思えるだけに、取材している私としてもこの程度で回答渋るなんてなんて情けない広報だと思って呆れました。なもんだから更にまくしたてて、

「私が今聞いているのは法律順守に関する問題なんだからすぐ答えられない方がおかしい。おたく規模の会社なら法務部だってあるだろうし、なんだったらそっちに今すぐつなげろ!」

 と要求しましたが、「申し訳ありません」というだけで繋げてもらえませんでした。真面目にあの時法務部の電話番号をなんとしてでも要求してもよかった気がします。
 ただ、やっぱり鬼になりきれない性格もあって、「メールなら即日で返事くれるんだよな」といって最後にはこちらが折れました。そしたら「最高でも二営業日以内に返事します」と返ってきて、本当にここの広報部はレベル低い、それこそプロの経済記者が取材に来たら本気で泣かされるぞと心の中で思いました。でもってメールで質問出して返事来たのは三営業日経ってからだし。

 そのメールの文面も色々と呆れました。この回答についてはJBpressの記事でも書いてある通りに事業分社化に伴い人材派遣業務を担うマイナビスタッフィングで今、公開の準備をしているっていう回答だったのですが、私は質問に出したメールで「何故マージン率を公開していないのか?」ということと、「何故前年の私の公開要求メールを無視したのか?」という二つの質問を聞いていたのですが、後者の方は完全に無視してきました
 これには本気でマジ切れして、「もう一つの質問を完全に無視してるがきちんと答えろ。明後日までに返事寄越さなかったらまた電話かける。覚悟しておけ」っていうような文面で再度メールを出しました。そしたらその二日後のまさに電話をかける直前に返事が来たわけです。

 その返事としては問い合わせのメールを確認できず、また前任者もいなくなっているため追跡できないというものでした。ある程度は予想していた内容なのでこれはこれで私も納得しましたが、追加した質問で、「これまでのマージン率公開請求にはどう対応してきたのか?」という質問については、

「これまで公開請求は一切受けていません」

 という返事で、「ほんまかいな。っていうか俺が請求したっつってるというのにこんな回答の仕方すんのかよ」と、やや消化不良な印象を覚えました。

 既に何度も書いていますが、このマイナビ広報部に関してははっきり言って非常にレベルが低いという印象しか覚えません。やはり取材していて手ごわいという広報部は会社によってはあり、企業によってその実力差ははっきりと出るのですがマイナビに関しては最低限の対応の仕方すらできず、またリスクに対しても非常に脆い部分があるので将来何かやらかすんじゃないかという懸念すら私は覚えました。

 なお、これまで相手した企業広報で手ごわかった広報部を挙げると以下の通りです。

一位、旧みずほコーポレート銀行:完全に手の平で弄ばされた。
二位、トヨタ自動車:官僚的な対応で、隙が一切見当たらなかった。
三位、DeNA:広報担当者が全業務、情報をきちんと把握しており、よどみなく明確に回答出来る人だった。