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2008年1月22日火曜日

日本語の「懐かしい」の価値

 今日からブログの自己紹介欄を、「専門は国際政治」から「専門は国際政治と中国語」に変えました。別に外語大は出ていないけどね。
 そんなわけで中国語ネタも一発かましておこうかと思い、この「懐かしい」を取り上げます。

 実はこれは自分のエピソードですが、中国語で「あ、この番組懐かしいっ」って言おうとした時、言葉が出てきませんでした。普通、懐かしいってよく使う言葉なんだからなんで自分って知らないんだろうと思いつつ、辞書で「懐かしい」をひいたところ、「懐念(フォワイニエン)」という文字が出てきました。他の候補はないかとみましたが、どうもこれだけのようです。最初これを見たとき、ちょっと自分はおかしいなと思いました。何故かと言うと、非常に堅い表現で、実生活上でこの言葉を中国人から聞いた事がなかったからです。そこで、日本語の出来る中国人の友人に改めて聞いてみたところ、面白い回答が帰ってきました。
「日本語の懐かしいにあたるのはあえて言うなら懐念だけど、実際はないと思う。日本語はとにもかくにも感情に関する言葉が多すぎる」
 と、いうように、厳密にいえば中国語で「懐かしい」にあたる単語はないそうです。
 考えてみると、英語にもないような気がします。強いてあげるなら、「remindable」といって、「思い出させる、想起させる」という言葉しかなく、どうも日本語の「懐かしい」にマッチする言葉は見当たりません。

 この「懐かしい」は恐らく、「懐く」という「心引かれる、おもしろい」というような意味の古語からきていると思います。そうするとかなり前から日本人が使っている言葉になるのですが、この「懐かしい」という言葉を改めて考えてみると、日本人はやけに「懐かしい」ものが大好きな気もしないでもありません。
 最近ヒットした「ALWAIYS 三丁目の夕日」とか、今度やる「母べえ」(間に「げえ」は入らないのかな)もこの部類ですし、アニメ作品にも多数懐かしさを呼び起こす映画が大ヒットしています。代表的のは、クレヨンしんちゃんの映画版「モーレツ大人帝国の逆襲」でしょう。「MEMORYS」もこれに当るかな。

 どうも、自分はこの「懐かしい」という表現は日本人の感性を代表するのではないかとも思っています。まぁ自分がそう思うのは、未来がお先真っ暗な時代に生きているせいかもしれませんけど。書き終わってからなんだけど、あまり中国語は関係ないね。

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