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2008年2月2日土曜日

佐藤優について

 友人からのリクエストもあり、今日は自分がファンである佐藤優氏について書きます。

 現在の彼の肩書きは「起訴休職外交官」です。さすがに最近は「作家」とも書くようにもなりましたが、なんでもってこんな堅苦しい肩書きなのかと言うと、言うまでもなく彼の経歴によるものです。
 恐らく、佐藤優という名前だけだとピンとこない方も、「外務省のラスプーチン」といえばまだ思い出す方もいるかもしれません。小泉政権初期、田中真紀子元外相と激しいバトルを繰り広げた鈴木宗男の秘書をやっているようなくらいべったりと行動を共にし、外務省内で専横を振るったとして、ムネオハウスのバッシングと共に非難された外交官です。この「ラスプーチン」というあだ名は外務省内で言われた彼の異名ともあだ名とも取れる名前ですが、元はロシアロマノフ朝にて専横を振るったとして批判の高かった僧侶の名前から来ています。

 現在、一応は外務省職員として籍は残しています。もっとも、外務省側としては早くに辞職してもらいたいようですが、本人も嫌がらせのつもりで「公判途中」ということで粘っています。いっちゃなんですが、人が嫌がることをすすんでやるタイプでしょう、この人。まぁ彼の起訴理由から考えると、私もこの行動を支持します。

 佐藤優氏は2002年、鈴木宗男へ連なる重要人物と見られ、鈴木氏の起訴理由を作るためだけに検察によって逮捕されています。この事実は彼を担当した検事も認めており、このように、国家の権威や政策の転換時に行われる一連の捜査を「国策捜査」と彼は呼び、その国家の暴力性について現在は批判的な立場で論評を各所で行っています。この「国策捜査」の具体的な内容は、彼の処女作である「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」に詳しく書かれてあるので、個人的にも皆で読むことをおすすめします。この「国策捜査」の実態には各論人も非常に衝撃を受けているようで、私が確認する限り、「国家の品格」の藤原正彦氏や田中森一氏など、様々な人間がこの言葉に対して言及しています。

 とまぁ、こんな感じで検察に逮捕拘留された佐藤優氏は、本人曰く「充実した牢獄生活」を満喫したのか、なんと鈴木宗男氏の公判が一段らくするまで約二年半もの間、拘置所に滞在していました。これは一言で言って異常です。通常、公判に必要な捜査調書が出来た段階で、保釈金を払う事で拘置所から容疑者は出所できるのですが、彼は今回の事件で、外務省の内部抗争から鈴木宗男氏を逮捕させてしまったという責任を感じて、敢えて鈴木氏の裁判が終わるまではと拘置所に残りました。ちなみに、その間にラテン語の復習、韓国語の習得を行っていたようです。

 そうして出所した後、かねてよりその能力の高さが注目されていた人物なだけに、この騒動の顛末を本にするという依頼で、「国家の罠」を出しました。確か発売から三ヶ月でこの本は70万部も発行されるという、ノンフィクションのハードカバー本としては異例の大ヒットでした。通常、この手の本は10万部も売れれば相当な収益になること考えると、どれだけ売れたかがわかるでしょう。その後も次々と本を出し、最初の五冊くらいは私もきちんとチェックしていたのですが、今現在、数冊をまだ手につけていません……。

 彼の本の特徴を言うと、まず文体が非常に恐ろしい書き方をしています。恐ろしいというよりは迫力に富んだ、重みのある言葉で、不思議な説得力がもとより備わっています。そんなんだから、時たま、真面目に言っているのかギャグで言っているのかが読んでてわからなくなる事が多いです。本人も述べていますが、結構サービス精神が豊富な性格なので、しょっちゅう文章の中にギャグを織り交ぜてきます、堅い文体で。
 自分が読んだ中でおすすめするものは、まずは処女作の「国家の罠」、そしてA級戦犯の大川周明を書いた「日米開戦の真実」の二作品です。ほかの一部の作品は何度か読んでいると、一部内容が重複しているものもあるので、なるべく新しいものから買った方がいいかもしれません。

 ああ、やっぱり書き切れん……。一旦ここで区切って、次回に続きます。

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