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2008年3月12日水曜日

インテリジェンス交渉術の紹介

 まるで佐藤優のファンサイトかのように彼を扱うことの多いこのブログですが、おとといの三月十日はいわずと知れた文芸春秋の発売日で、私もその日に買ってのんびり読んで、今日読み終わりました。その文芸春秋誌上にて、佐藤優氏によるビジネスマン向け処世術「インテリジェンス交渉術」が現在連載中です。
 内容はビジネスマン向けに、外交交渉などで使われるテクニックや組織のあり方を紹介、説明するもので毎号楽しく私も読んでいますが、今日はその中でも以前に書かれたものをすこし紹介しようと思います。

 載っていたのは確か去年の秋頃だったと思います。扱ったテーマは2001年に起こった、松尾克俊氏による外務省内の外交機密費流用事件でした。
 この事件を説明する前にまず、佐藤優氏の外交機密費に対する考え方を私が捉えた範囲で説明します。まず佐藤氏は外交交渉において金という物はとにもかくにも掛かるものだと言っています。それこそ権力のある政治家に近づくためやらあれこれの下準備などで、表に出せない出費というものはやはり存在するようです。そして交渉がうまく進めばそれらの費用は効果的に評価されるのですが、逆にうまくいかなかった場合は無駄金となってしまいます。その失敗に終わった際、無駄な支出だったとしていちいち外務省員が非難されてしまえば、こうした交渉にリスクを負って取り組む人間はいなくなるとして、こうした予算が組まれる必要性はあると、確か主張していたと思います。

 ですが領収書の要らない予算ということで、その松尾克俊氏の事件のように実際の外交案件とは全く関係ない、マンションやら競走馬に途方もないお金を使われてしまったという事件が起こりました。実はこの事件を起こした松尾氏自体に佐藤氏も接触していました。
 佐藤氏がかつてある仕事をしていた際、松尾氏が佐藤氏の仕事振りを見てこの外交機密費から金一封を持たそうとしたそうです。それに対して佐藤氏は、
「いや、自分は別にお金に困っているわけじゃないので、それは受け取れない」
「気にしないでいい。第一、君は仕事がらみで自腹を切ることが多過ぎる。これくらいは受け取って当然だ」
 として、無理やりねじ込まされたらしいです。
 この佐藤氏の自腹を切る話ですが、この人はどうにも欲のない人らしく、本来外務省に請求すべき支出などに対しても大抵自分の金で払ってしまうことが多かったそうです。彼を接見した検事も、
「君を見ていて反面教師にしようと思う。あまりにも仕事熱心すぎる」
 とも言わせています。

 その後、流用疑惑でこの松尾氏が捕まった後、松尾氏を昔から知る人と佐藤氏が話をしたそうです(ちょっと記憶があいまいだなぁ)。その人によると、この松尾氏も昔は非常に仕事熱心な人だったらしく、仕事での支出を自分で負担することも珍しくなかったようです。佐藤氏の分析によると、松尾氏は外務省という組織のために自分はこれまで散々お金を使ってきたのだから、逆に組織の金を少しくらい使ってもいいと考えるようになったのではないかと推量しています。

 こうして話をまとめた上で佐藤氏は、自分もそのように国益にかなうことを理由として組織のために自己のお金を使ってきたことを反省し、ビジネスマン一同に向けて組織と自分のお金を分けろ、つまり公私をはっきり分けろと主張していました。さもなければ組織と自分の境目がはっきりしなくなり、結果的に双方にいい結果を残さないと断言しています。

 この回の内容が最も面白かったので覚えていましたが、それ以外にも毎号面白いことが書かれているので、興味を持った方はぜひ自分の手で読んで見ることをおすすめします。

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