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2008年9月15日月曜日

ゲーム「ペルソナシリーズ」のレビュー

 ちょっとまだ体がだるいので、気を抜くがてらにゲームのレビューです。今日やるのはアトラスから出ている「ペルソナシリーズ」です。

 もともとこのシリーズはアトラスの人気シリーズである「女神転生シリーズ」から派生した作品でしたが、本家よりいつの間にかこっちのほうが人気が出てしまい、現在では一シリーズとして独立しています。
 私がこのゲームをやりだしたのは最初の作品である「女神異聞録ペルソナ」が中古で安かったのと、同じくアトラスから出ている「グローランサー」というゲームをやったついでにという形で入りました。

 これは多分私だけではないでしょうが、このシリーズの最高傑作と呼べるのはこの初代ペルソナでしょう。はっきり言ってゲームバランスは他のアトラスのRPG作品同様に崩れまくっており、この作品もご多分に漏れずレベルはなかなか上がらないわ、敵はむやみやたらに強いわでなんど放り投げかけたか。しかもレベルがかなり上がらないと使えないペルソナ……説明し忘れましたが、このゲーム、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくる「スタンド」とまんま同じな「ペルソナ」というものを使って悪魔と戦うゲームです。このペルソナはいろいろ種類があってレベルがそのペルソナに設定されたものに達しないと使うことができないのですが、タダでさえレベルが上がりづらいのに普通にレベル80は行かないと使えないものがごろごろしていて、どれだけユーザーをなめているのかと何度思ったことか。

 それでもこのシリーズが人気が出たのはやはり練りこまれたシナリオでした。漫画版も私は全部そろえましたし、なんかあちこちで評判を見ていると今でも高く評価されており、PS2でのリメイクも期待されています。そんなわけでいちおうクリアできて、また面白かったということもあって続編の「ペルソナ2 罪」が出たときはすぐに買ってやったのですが、なんと言うかこっちの終わった感想は非常に消化不足な感しか残りませんでした。一応前作の続編ということで、前作のキャラクターたちも出てくるのですが、これがまた申し訳程度で全然ストーリーに絡みはしないわ、新キャラクターは新キャラクターで、主人公からヒロインを含めて有名な声優は使ってはいるのですが、あからさまなミスキャストでゲームをプレイするたびに萎えさせるボイスでした。

 更に致命的だったのは、この頃辺りから当時のアトラス作品のメインイラストレーターであった金子一馬氏の衰えが目立ち始めてきました。金子氏は悪魔を描かせたら日本一と言われるだけ世界中の神話のキャラクター達をこれまで写実化してきた偉大な人物ではありますが、それまでの作品では非常に癖のある絵でしたが、彼が描く人間のキャラクターには不思議な魅力があり、悪魔同様に大きな存在感がありました。しかしこの「ペルソナ2」の辺りからは非常に癖のある画風はそのままで、存在感だけがすっぽりと抜け落ちてきたように見えました。特にひどいのは人物画の配色です。各部位の色は基本一色で塗りたくり、なんというか全体的にのっぺりとした絵になってしまいました。「ペルソナ2」の主人公なんか、髪の毛を原色に近い茶色一色で塗りたくっているから、ヘルメットかカツラを被っているようにしか見えないし。

 そしてこの作品の最大の失敗は、このシリーズの戦闘における最大の醍醐味である、悪魔との交渉が非常にめんどくさく面白みのないものとしてしまったことです。これは他のRPGにもいえますが、基本的にザコ敵との戦闘は一分以内に終わるものがベストです。一回の戦闘に三分以上かかるとレベル上げの作業が非常に面倒になるだけでなく、ゲーム全体のプレイ時間、テンポに大きく影響させてしまいます。ドラクエ、FFシリーズなどはどれも短く終わるように設計されており、逆に駄目なRPGほど戦闘時間は長いものが多いような気がします。

 それでこのペルソナシリーズですが、大体一回五分くらいかかるのがざらです。なぜならこのゲームはドラクエ5以前に悪魔と交渉して敵を仲間にするシステムを導入しているため、戦闘中にあれこれ選択肢を選ぶように作られています。これが「ペルソナ1」の頃なんかは面倒と思うこともありましたがなかなか面白く、各キャラクターごとに「歌を歌う」とか「おだてる」などと交渉コマンドが決められており、キャラクターの個性化に成功したのですが、「ペルソナ2」になるとこの交渉がただただ面倒な作業になり果て、しかも交渉の結果得られるものが明らかに前作より少なく、前作以上にこの交渉を多くしなければならなくなるという不手際を犯してしまいました。

 こんな感じでもうどうしようもなかったのですが、多分そうだろうなぁと思っていたら悪乗りして「ペルソナ2 罰」という作品まで作ってしまいました。しょうがないからやりましたけど、これもまた面倒なだけの作品で、「ペルソナ1」でよかったシナリオはどこ行ったのかと思うようなくだらない自己完結作品でした。またこれは「ペルソナ2」全体に言える事ですが、確かに「ペルソナ1」ほど不条理に満ちたゲームバランスではなくなり難易度も落とされているのですが、前作は難しいなりに、ボス戦などには抵抗属性などを用いた対策が非常によく効き、戦闘に戦略を持ち込むことができたのに対して「ペルソナ2」は全くそういったものがありませんでした。まぁ、「ペルソナ1」の場合は対策が効き過ぎて、私の場合ラスボス戦がノーダメージで終えられたというのがありますけど。

 そんなわけで多分今後もこのシリーズは駄目だろうと、その後にアトラスは「女神転生Ⅲ」とか出しましたけど、私は一切手を出しませんでした。しかし全然知らなかったのですが一昨年に「ペルソナ2」の発売から七年も経過して、いつの間にやら「ペルソナ3」を出していたことをちょっと前に知りました。そしてあれこれレビューを見てみると非常に高評価だったので、ちょうど手持ち無沙汰だったのもあってつい最近に購入してやってみました。結論から言うと、前作よりは大分マシになっています。

 まず悪魔のイラストはこれまでどおりに金子一馬氏ですが、キャラクターのイラストを副島成記に変えており、これは高く評価できます。私に限る話ですが、キャラクターに対して前作にはできなかった感情移入が非常にしやすいデザインとなっており、また声優陣もどれもキャラクターにあった人を選んでいます。
 肝心のゲーム内容も、今作は「弱点システム」というのが搭載され、非常に戦略性が重視されるものになっており、現段階でなかなか評価できます。

 まだやり始めている途中ですが、この作品はまだ人にも薦められる内容です。でもこれをやるよりも、やっぱり一作目をやったほうが全然いいと思ってしまいます。何もゲームに限るわけじゃないけど、早くに作品として完成させてしまうと、続編を作り続けるのが非常に難しくなってしまいます。同じような例だと、KOEIの「三国無双2」とかかな。これなんて2で完成しちゃったもんだから、その後はどんどんつまらなくなっていくし。特に「戦国無双シリーズ」の一作目に、本田忠勝を使用キャラに選ばなかったときはKOEIは頭がおかしくなったのかとすら私は疑いました。

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