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2008年10月9日木曜日

銀行の貸し渋り問題にみる日銀政策について 前編

 まずは昨日の情報の続きです。

危機的状況のアイスランド(YAHOOニュース)

 リンクに張った記事によると、私の予想通りにアメリカの新自由主義路線に乗って金融が強かったアイスランドにて、国家破綻すらも懸念されるほどに経済が混乱しているようです。

 そんな続報は置いといて、前回の記事にて私は今の日本の課題は株価の下落以上に銀行の貸し渋り問題だと指摘しました。というのももともと株式というのは何故あるかと言うと、単純に言って自前で運営に必要な資金を集めるためです。逆に銀行がきちんと会社に対して運営資金を提供してくれると言うのなら、株式をわざわざ公開する必要などないのです。まぁその代わりに銀行の言うことに逆らえなくなるけど。

 実は日本はここ数年で株式市場にて資金を集める企業が急速に増えていきました。その理由というのも、バブル崩壊以後の長い不況の中で銀行が一切企業に資金を提供してくれず、主だった企業はそれならばとばかりに自分で資金を集める手段に出たからです。アメリカの策謀もあるけど。
 その結果どの業界にもブイブイ言わせていた銀行の力が弱まったのは良かったのですが、その分外的要因、今回のような世界同時株安などの影響を受けやすくなったと言えます。バブル崩壊時なんて株価は大きく下がったものの、まだ企業同士の株式の持合が多かったから目に見えて資金運営に苦しむ企業は今ほどなかったと思います。

 そんなんで私が今の状況で何が言いたいのかというと、株価が下がっている今だからこそ、代わりに資金を安定的に提供する銀行の存在が必要不可欠だというのに、今の日本の銀行というのは一切資金を提供しないどころか、前にも書きましたが利益を出しているのに運転資金が足らず不渡りを出してしまい倒産する、黒字倒産がここしばらくで急増しています。
 昨日も経済解説ニュースで銀行の話題が取り上げられていましたが、企業への貸付が減ったばかりか、何でも銀行同士の短期融資すらほとんど行われていないそうです。この短期融資というのは文字通り短い期間にお金を貸しあうことで、急な大口預金者の引き出しや融資に対応するために銀行同士で行う貸し借りのことを指しますが、これがお互いにいつ潰れるか疑い合ってなかなか行われず、地方銀行なんてこれで結構困っているそうです。

 なもんで、銀行がお金を貯め始めると普通は社会全体で資金の流通が硬直し、あまりよくない影響が出てきます。では端的に言って、銀行に貯めている資金を吐き出させてまともな企業を救うにはどうすればいいかですが、通常こういったときに行われるのは中央銀行の利率引下げです。今同時株安のために世界中のどの国でもこの利率引下げが行われていますがこれがどういった効果を表すのかと言うと、ちょっと専門外なので間違っているかもしれませんが、基本的にお金は中央銀行、日本では日銀が発行しています。そのお金は民間の銀行が日銀から借りるという行為を経て、それから一般の市場へと出回ります。なので一般人が銀行からお金を借りると利息を払わねばならぬのと同じように、民間銀行も中央銀行へと利息を払わねばなりません。その際の中央銀行の利率のことを公定歩合といい、これが経済政策の舵取りとも言えるものです。

 話だすと長くなるので、要するに中央銀行の利率が低ければ低いほど民間銀行は中央銀行からお金を借り、それを市場にどんどん流して儲け、逆に高ければ払う利息が大きくなるので控えめに抑えていきます。景気の悪い時などは利率を下げることによって市場にお金が流れ、バンバンと皆物を買うようになって景気を刺激し、逆に過熱し過ぎの場合は逆の方法で景気を押さえつけます、もっとも、後者の政策は日本で行われたことがあるかどうかは知りませんが。基本的に能天気だから、景気がよければめでたしめでたしとしか考えないし。

 で、今の日本の公定歩合は0.5%、なんと1%すらも切っています。私の考える普通の利率は3%くらいで、日銀だからといってこれは特別なものでなく、世界的にみても異常な数字です。何でこんなに利率が低いのかというと、長引く不況の中でどんどんお金を流せという、「0金利政策」が日本で行われたせいです。これは世界でも例がない日本発の政策で、結果的に言うとそこそこの成功は収めました。
 しかし、これは竹中平蔵氏が口をすっぱくして言ってましたが、0金利政策は既にその役目を終えていたと私は思います。これだけ低いといざ今みたいに景気が悪くなっても利率を下げて景気を刺激しようにももはや下げようのない、壁を背につけるような状態だからです。竹中氏同様にせっかく株価が落ち着いてきた2006年の段階で次代の景気変動に備え、一歩でも二歩でもこの公定歩合を上げていれば、今のよな事態に対してまだ対応する選択肢は多かったでしょう。

 そこでここが肝心なところなのですが、この公定歩合というのはそのまま一般預金者に対する民間銀行の利率に直結してきます。何故なら銀行は中央銀行からお金を借りて、それを一般人や企業に貸し付けて利益を取るからです。仮に100万円を利率10%で民間銀行が借りるとしたら、一般預金者にはそれ以上の利率、10%以上でこの100万円を外へ貸し出さないと損します。ですがこの利率が3%なら、3%以上あればそれが十分になり、また少ない金利でも民間銀行の儲けは大きくなります。この動きはそのまま一般人の預金金利にも援用され、公定歩合によって預金金利も基本的に変わってきます。なので、今は公定歩合がありえないくらいに低いので銀行の預金利率もありえないほど低いのです。

 通常、金利は低ければ低いほど銀行は儲けるので、貸し出す資金量が増えるはずです。しかし、日本では一向に増えないどころか、逆に貸し渋りすら起きています。これは一体なぜかということですが、思ってた以上に中央銀行政策に時間をとられたので、続きはまた明日に。結構説明飛ばしているけど、読んでいる人はついてこれているのかなぁ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 この辺の内容は、たしか高校の政治経済でもあったのでついていけてます。僕もついていけているから、他の人も大丈夫だと思いますよ。(--)b

花園祐 さんのコメント...

 うん、確かにこれは高校の政経をやっていれば十分理解できるはずの内容なんですが、最近どこの学校でも受験志向が強くて、政経を一切教えない学校も珍しくないので、ちょっと私は心配しているのです。
 以前にも世界史が必修にもかかわらずいろんな高校が教えていなくて卒業に必要な単位不足になると問題になりましたが、この政経も恐らくほとんど教えられていないでしょう。私のいた高校も選択で取らなかった人は一切教わりませんでしたし、恐らくK君のとこの学校も教えてないだろうな。彼、高校で世界史の授業をやっていなかったし。