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2008年12月12日金曜日

なぜ大麻に手を出すのか

 最近大麻所持や吸引で捕まる人のニュースが増えており、特に先月には各有名大学の学生がそれこそ全国で次々と逮捕される事態まで起こりました。もっとも今回の場合、大麻を自分で吸う人間よりもむしろ生育し、常習者にネットなどを介して販売していた人間の逮捕が多かったのが特徴で、以前はこういう話だとよくイラン人とかが違法テレホンカードなどと一緒に「密着警察24時間」とかでやってたのですが、その時代と比べると日本人もいろいろやるようになったもんです。

 さてそれでは本題ですが、何故これほどまでに社会で大麻に手を出してはならないとあちこちで注意されているにもかかわらず、日本人は大麻に手を出して常習するようになるのでしょうか。それこそ一度吸引して快感を覚えて常習化するならまだわかるとしても、これだけ危険視されているにもかかわらず最初の一回目の吸引をしてしまうのは何故なのでしょうか。
 これはあくまで極論であって自分で言っててもやりすぎじゃないかと思うのですが、やっぱり大麻が「禁止されている」ものであるがゆえに、手を出してしまう人もいるんじゃないかと私は思います。

 報道などで見ていると過去の常習者がよく、「当時の仲間が吸っていたから」とか、「友達に勧められたから」という風にきっかけを話すことが多く、こういうものは日本人お得意の盃の交換や集団いじめなどに代表される「同一儀式の実行による親睦強化」によるものです。こうしたものともう一つ、私がにらんでいる大きなきっかけとなるものは先ほどの、禁止されているがゆえにやってみたいという、いわゆるタブー欲求です。
 タブー欲求については心理学などでよく研究されている題材で、たとえば恋人がいるのに浮気をしてはいけないと考えると自然と浮気の何がいけないのか、どこからどこまでが浮気なのかという風に意識が浮気のことばかりに集中してしまい、何故だか逆に浮気をしたくなるようになる現象を言います。なおこの場合、「絶対にしてはいけない」と考えれば考えるほどどつぼにハマるので、「今の相手が嫌になったらやろうかな」という具合に、禁止態度を緩めることがかえってタブー欲求を回避にはするいい方法のようです。

 私が見ていると、特に中高生から大麻に手を出す連中にはまさにこういうのが原因でやり始めたのも少なくないんじゃないかと思います。第一未成年がタバコに手を出すのも、煙を吸いたいというよりも大人が吸うなと言うから逆に吸いたくなったというのが大半でしょうし、この大麻もその延長線上にあるような気がしてなりません。

 じゃあどうすればいいのかで、大麻を吸うな吸うなと厳しく言うべきじゃないのかという風に思われる方もいるかと思いますが、私としてはそんなことを言うつもりは毛頭ありません。というのも先ほど大麻はタバコの延長線にあるのではないかと言ったように、大麻もまた更に害のある刺激物の通過点になりかねないからです。
 先ほどに説明したタブー欲求ですが、言ってしまえばこれは「禁止されている」がゆえに覚える快感も大きくなります。よく背徳は最大の幸福だと説明する人もいますがタブー欲求に限ればまさにその通りで、逆にその行為が大手を振って皆で行っている、行える行為になってしまうと、身体に感じる快感も急激に少なくなってきます。よく不倫恋愛の末に結婚した人間同士が互いに元の伴侶と離婚をして、大手を振って結婚した途端に不仲になるという話がありますが、これなんかまさにこのクールダウンの好例でしょう。

 私は大麻もタバコも、やっぱりそういうところが少なくないんじゃないかと思います。私は喫煙をしませんが現に喫煙者の方に聞くとその大体が本音ではやめたいと、なんだか中途半端な快感を求めて吸っているようにしか聞こえません。まぁタバコの場合は中毒性や常習性があるがゆえですが、大麻の場合はよくタバコより中毒性は低いと言われますが、先ほどのタブー欲求に照らすと吸い始めた当初は高い快感を覚えても、慣れてしまうとそういったものがだんだんと薄れます。そうなるとどうなるかですが、いちいち言うまでもなくもっと刺激の強い薬物を求めていくという風にどんどんとエスカレートしていく恐れが高くなります。
 そういった先のことを考えると、いやむしろそのような先のことを考え、今以上の快感を求めたところでどんどんと得られるものは逆に少なくなっていく。それならむしろ今合法的に許されるものの中で満足していくべきだと言うように、荀子の「唯、足るを知る(現状に満足できるようになればよい)」を行っていく、指導していくことも薬物対策の上で一つの手段になるのではないかと私は思います。

  追伸
 私はイギリスのロンドンに一ヶ月ほど語学研修に行ったことがありますが、イギリスでは大麻は室内で吸引する分には合法で露店とかでもよく吸引機が売っていました。
 そんなある日、私が相部屋の先輩格の日本人と話をしていると相手の携帯が鳴り、何でも日本人仲間の一人が大麻を吸ってオチてしまい、今大変だと別の日本人仲間から連絡が来ました。

 よく大麻はタバコより身体に害がないと考える人が多くいるようですが、その先輩格の友人によると、何でも大麻を吸った直後は気分的には非常にハイになるのですが効果が切れると急激にテンションが落ち、物事を悲観的に考えたり自傷行為を行ったり、ひどい場合にははずみで自殺までしてしまうことが起きるそうです。そのような猛烈な気分の落下のことを「オチる」といい、こうした影響を考えると決して大麻は無害ではないそうです。

 一応付け加えておくけど、私はイギリスだろうが日本だろうが中国だろうが、こうした薬物には一切手を出していませんからね。

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