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2009年5月1日金曜日

年次改革要望書について

要建て替えマンションが146万戸!全国で実質“野ざらし”の深刻(YAHOOニュース)

 上記にリンクを貼ったニュースはこのところ不況が報じられるマンション業界について、新築の着工や販売よりも建替えや補強の必要な「要建替え住宅」の対策がほとんど進んでいない現状を伝えるニュースなのですが、この記事を読んでちょっと疑問に感じたことがあるので今日はその点について書こうと思います。

 自分でもやや穿ち過ぎた見方をしているかもと思うのですが、記事中にてかつての耐震基準で建てられたマンションや建築物では阪神大震災クラスの地震が来た際に倒壊の恐れがあるものの、費用などの関係でこうした対策が現在進んでいないと報じているのですが、専門家ではないので断言こそできないものの、私の記憶では日本の建築基準法の耐震基準は阪神大震災以後、それ以前の基準より確か緩和されていたと思います。もしこれが仮に今でもその通りであれば記事中の、

「先の阪神・淡路大震災で倒壊したマンションの多くが旧耐震だったこともあり、早急な耐震補強や建て替えが求められている。」

 という記述は旧耐震基準の建物の方が頑丈なのだし、なんだかおかしな内容になってきます。まぁ本当のところはどうなのかは私では確認できないのですが。

 ところで何で文系のくせに私がこんな耐震基準について細かいことを知っているかですが、これはかつて読んだ関岡英之氏の書いた記事を読んだことから知りました。
 関岡氏はリンクに貼ったウィキペディアの記事でも書いてある通りに一旦は就職して企業で働いていたものの一度退社し、建築家になろうと大学に入りなおして建築の勉強をしていました。その勉強の途中、関岡氏は前述したように阪神大震災以後に日本の耐震基準が何故か緩和されていることに気が付き、震災によってたくさんの建物が倒壊した後にもかかわらず何故逆に耐震性の基準が緩められたのかを追っていったところ、あの悪名高き日米の年次改革要望書に行き着いたわけです。

 この年次改革要望書は事実上、関岡氏の活動によって初めて大きく取り上げられたといっていいでしょう。私も確か文芸春秋に載った関岡氏の記事で初めて知りましたが、これは宮澤喜一が無能だった割には首相だった頃、当時のアメリカの大統領のビル・クリントンとの間で日米双方で互いに要望する政策意見を交換し合おうという名目の下に始まった制度で、現在も毎年日米間でこの要望書が交換され続けています。
 もしこれが本当にただお互いの意見を交換するだけなら何も害はないのですが、よくよくこの要望書の中身を見てみるとそれ以後の日本の政策にアメリカ側からの要望が色濃く反映されているのに対し、日本からアメリカへの要望書の内容は全く実現されない、というより無視されているのに近く、実態的にはアメリカが日本に対してアメリカにとって都合のいい政策を押し付けている内政干渉なのではないかと、関岡氏が自著の「拒否できない日本」において発表したことによって日の目を浴びました。

 私はこの年次改革要望書を読んだことはないのですが(外務省のHP上で公開されているらしい)、過去の内容では郵政民営化、ホワイトカラーエグゼンプション、三角合併、法科大学院の設置などが盛り込まれていて、これを読めば日本の未来がわかるとまで皮肉っぽく言われています。
 差し当たって目下この年次改革要望書が強く影響したと思われる日本の政策変更を私から一つ挙げると、開始まで一ヶ月を切った「裁判員制度」が挙がってきます。この制度も数年前の年次改革要望書の中に入っていたそうですが、何故この制度が日本で行われるのかといえば単純にアメリカの司法制度に近づけるためだと言われています。アメリカの司法制度に近づけることでどうしてアメリカが得をするのかというと、ゆくゆくはまるまんまアメリカと同じ司法制度にしてしまい、アメリカの弁護士免許を持っている弁護士が日本でも働けるようにと、常に供給過剰と言われるアメリカ人弁護士の救済のために盛り込まれたと言われていますし、私もまさにその通りだと思います。

 郵政民営化についてはアメリカの策謀というよりは小泉元首相の私怨によって実現したと私は考えていますが、建築法、ひいては現行の司法改革については関岡氏の言う通りにアメリカの影響によるものでしょう。それにしてもくだらないニュース一つから年次改革要望書を持ってくる辺り、自分らしい書き方だなぁと思います。

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