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2009年6月7日日曜日

日本の司法制度の問題点

 以前によく友人と言い合っていたセリフで、こんなのがありました。

「よく日本って、小中学生向けの教科書に三権分立とか書けるよな」

 この言葉が意味するのは、日本の三権こと立法、行政、司法が名目上は独立し合っているといっておきながらも、実際にはほぼ一体の権力と言ってもいい状態にあるからです。

 今日もテレビ番組のサンデープロジェクトでは足利事件の無実の罪で収監されていた菅家氏が出演していましたが、何でも菅家氏は刑務所にいるときもこの番組を見ていたそうです。というのも菅家氏のDNA再鑑定を巡って彼の弁護士が奔走している際、いち早くこの番組が菅家氏の事件を取り上げていてその際の放送がきっかけとなって世論が盛り上がった事が再鑑定に繋がったとして、弁護士もよくぞ取り上げてくれた田原氏らに今日はお礼を述べていました。
 それにしても今回の冤罪事件、菅家氏の釈放日には私の友人も激怒していてこれでもかといわんばかりに私へメールを送って来たのですが、サンデープロジェクトの出演者らも菅家氏を誤認逮捕した警察にDNA鑑定のイロハもわかっていなかった裁判官を激しく糾弾し、まだ他の番組では私は確認していないのですが菅家氏の再鑑定を阻んだ裁判官名を実名を挙げて紹介する辺りはさすがはサンデープロジェクトと思わせられました。

 その番組内でも色々取り上げられていたのですが、今後菅家氏への補償は金銭的な面はもちろんのこと、今回のような冤罪を防ぐにはどうすればよいかというところに議論が向かいました。私自身日本の司法制度は問題があると以前から感じており、ひょっとすれば年金を含めた社会保障などよりもこちらの司法制度改革の方が今の日本において喫緊の課題なのではないかと以前から考えており、このブログを始めた際もそういった司法改革の問題を以下の記事にて取り上げております。

裁判の可視化について
刑事裁判について

 私が日本の司法制度に疑問を持つようになったきっかけは、ちょっと変かも知れませんが自衛隊の存否を巡る裁判の結論を聞いてからです。いつのものかまではわかりませんが、自衛隊が憲法の陸海空の軍隊保持を認めないという記述に違反するかしないかの裁判において、「それは行政の判断する内容だから、知らないよ」というような結論で結審したのを中学生くらいの頃に見て、司法権というのは行政や立法を監視する立場なのに行政だから知らないよで済まされるのかと、自衛隊は災害救助のために日本にとって絶対に必要だと考えつつも裁判所の妙な態度に激しく疑問に感じました。

 そしてその後も鈴木宗男氏に絡む事件で捕まった佐藤優氏の裁判を知り、映画「それでもボクはやっていない」などに代表される痴漢冤罪事件の深刻さを知るにつけ、日本の裁判と言うのは何のためにあるのか、司法権はちゃんと機能しているのかとますます疑問に思うようになりました。
 手っ取り早く結論を言うと日本の司法権は実態上、行政権とほぼ一体と考えてもおかしくなく、いわば行政の敵を潰すための追認機関と言われても仕方ないと私は考えております。まず最高裁の裁判官の任命権が内閣にあり、この前新しく裁判長に就任した人は裁判員制度の導入に熱心だったことから一足飛びに就任しています。

 そして検察についても基本的には警察の挙げてきた犯人を疑うことなく訴追するだけで、これはホリエモンの意見ですが彼らは訴追権だけでなく捜査権も持っていることから、やりようによっては自分たちだけでいくらでも国民を犯罪者に仕立てて刑務所に送ることだって出来ます。こうして見るのであれば司法の中では、山口県光市の殺人事件の弁護士みたいに変なのもいますが、まだ弁護士はそういった塊の中からは独立している方でしょう。
 何が問題なのかといえばやっぱり検察、裁判官、そして警察組織がほぼ一体として存在していることだと私は思います。この組織構造をどうにかしない限り、まだまだこういう冤罪事件や国策捜査は生まれてくるでしょう。このような悲劇を繰り返さないためにも、何よりも優先して司法改革を政権のみならず、国民全体で行っていく必要があると思います。

 最後にもう一つこの足利事件に対して私が言いたいことは、まだあまりマスコミも関連した報道をしてないのですが今回の足利事件にて冤罪を引き起こす端緒を作った栃木県警はその後の1999年、あの悪名高き栃木リンチ殺人事件で杜撰な対応を見せ、被害者を救える可能性が当初あったにもかかわらずむざむざ犯人による殺害を誘引までしております。しかもそのような失態を見せた警察官の処分も甘く、足利事件と合わせて考えるとこの栃木県警という組織自体に何かしら大きな欠陥があるのではないかと思えてなりません。こうした点も今後、厳しく追及されていくのを心から願います。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いい発想を提供してくださって、ありがとうございます。

花園祐 さんのコメント...

 また古い記事なのにコメントいただきありがとうございます。このころは冤罪関連事件が多かったなと思いますが、今現在も見えないだけでこういう案件あるんだと思います。