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2009年7月25日土曜日

麻生首相の通信簿

 選挙も近いことで最近政治関係の記事が多いですが、今日もその関係で昨年九月に総理大臣に就任した現麻生首相の夏休み前(卒業前?)の通信簿ことこの約一年間の業績をポイントごとに評価、解説しようと思います。先に申しておくと私は次回の選挙で民主党を大勝させる事が現状で許される選択肢の範囲内で最もマシな未来だと思うので、基本的にこの記事は麻生首相への批判記事にするつもりなためにそれを前以って了解した上でお読みください。

 まず最初に本日入ってきた麻生首相と細田自民党幹事長の失言ニュースから紹介します。選挙の真っ只中でこんな発言飛ばしてくれるあたり自分らウォッチャーにはネタに事欠かなくて助かるのですが、どちらももう少し自分を大事にしたほうがいいと思えるニュースです。

麻生首相、高齢者は「働くことしか才能がない」
国民程度低い?自民・細田氏が発言撤回(どちらもYAHOOニュース)

 どっちもどっちとも言えるニュースですが、麻生首相に至ってはこの一年でどれだけ失言をしたのかもはやいちいち挙げる気にすらならないほどの量でした。麻生首相の擁護派はそういった麻生首相の失言について「言葉のあや」や「たとえに使った言葉をマスコミがあげつらっている」などと弁護していましたが、確かにいくつかの発言に関しては一部のマスコミと野党が過剰に糾弾しすぎていたものだと見受けられますが、肝心なのはそういった失言が麻生首相の本心から出ているものかどうかだと私は思います。それで結論から言うと、私はこの一年の麻生首相の失言はどれも言葉のあやとかそういうもんじゃなく、はっきり言って本当に言葉どおりの認識をしていたからこそ出ていた言葉だったと考えております。

 さすがに今まで私もこのブログでは書きませんでしたが、この前の佐野眞一氏の講演会でも佐野氏が言及していたし別に麻生首相に温情をかける必要も無いのでもう紹介してしまいますが、麻生首相は首相になる以前の党内の会合において、

「野中弘務は部落出身だから、首相にしてはならんな」

 と発言したことがありました。
 これはさすがに内容が内容だけにテレビでは一切出てこない過去の発言履歴ですが、書籍などではあちこちで書かれているので政治を勉強している人間ならほぼ誰もが知っている有名な発言です。まぁ佐野氏はこの前に出たCSの番組で言ってのけたそうで講演会でも、

「首相としての資質以前に、こんな発言をするあたり麻生太郎は人間性的にも非常に疑わしい人物だ」


 と激しく批判しており、私の友人も以前にこの話を聞いたときは激昂せんばかりに怒ったことがありました。私自身もこんな考えを持つこと自体が異常な人物だと思えますが、思うばかりだけでなく口に出すところまで来るともはや理解不能です。
 こうした発言に限らず、麻生首相の失言というのは割と単純に思ったことが口に出たというような内容ばかりです。鳩山邦夫氏も麻生首相のことを、「自分にも他人にも非常に正直な人物で、それが長所でもあり短所でもある」と言っており、恐らく思ったことを正直になんでも口に出す人間なんだと思います。それゆえに私は麻生首相の今日の失言を含めたこれまでの失言は、言葉の勢いとかあやとかいうレベルではなく本心からのものだったと考えるわけです。ちなみに私の中の麻生首相の在任中の失言でMVPだと思うのは、下記の日本医師会への発言です。リンク先は当時にこの発言について私が書いた記事です。

「自分が病院を経営しているから言うわけじゃないけれど、大変ですよ。はっきり言って(医師は)社会的常識がかなり欠落している人が多い」

 そんな失言もさることながら、在任中に行った政策でもはっきり言って何も評価するものがありません。就任直後こそ世界同時株安が起こって経済的環境が不安定だったことから財政出動を行いましたが、それも自動車業界を始めとしてやはり一部の業界にしか行われず、中小企業向けの融資枠などもわざわざ大きな補正予算を組んで作りましたがこっちはなんと以前に作った予算枠が余ってしまって全然使われずに終わってしまいました。仮にその融資枠をもっと別のところに使ったり、もしくは予算枠自体設けず無駄に国債を発行しなければと思わずにはいられない結果でした。
 そして極め付けが定額給付金です。はっきり言ってこの政策が全体の景気を押し上げたというデータは何も無く、六月に与謝野財相が景気は底を打ったといいましたがその根拠も何もありませんでした。まぁこの辺はやりだすと延々と長く続くのでもうやめておきますが。

 ただこうした経済政策以上に私が麻生首相が行ったこととして一番我慢がならなかったのが、メドベジェーフロシア大統領に誘われてほいほいとサハリンに行ったことでした。この辺は北方領土問題にいろいろ絡むのでまた今度説明しますが、日本は日露戦争後に結んだポーツマス条約がロシア他との最後の領土条約で、二次大戦時にソ連軍が進軍して得た南サハリンと北方四島は不法占領だと主張して、北方領土の返還を現在要求しているのです。それがロシア側の招きに応じてサハリンに行くということは暗にサハリンの領有権をロシア側に認めてしまったと言うことに国際的になるので、そうした認識をとられないためにもこれまで日本の戦後の首相は誰一人としてサハリンに行ったことはありませんでした。それが今回麻生首相が行ってしまったので、これははっきり言ってかつてありえないほどの外交的大失敗であったと私は見ています。

 本人は自分が経済通だ、外交通だと主張していますが、私から見るとこの人は本当に政策の基礎すら欠けているのではないかと思わされたのがこの一年でした。おまけに政治家として、特に首相としてはアキレス腱になる政策の一貫性については言わずもがなで、かつてこのブログの記事で私は麻生首相をころころ気が変わることで「二心殿」と呼ばれた徳川慶喜と比較しましたが、結果を見るとそれでやはり間違いが無かった気がします。

  補足
 この記事で言及している、「麻生政権が設けた中小企業への融資枠がほとんど活用されずに~」の内容は二週間くらい前に私がテレビ番組で見た内容だったのですが、改めてネット上で調べてみるとどうもそれにあたる情報の裏づけが取れませんでした。お恥ずかしい限りですがもしかしたら内容を誤解、もしくは勘違いして書いてしまった内容かもしれません。一応それに近いニュースとしては信用公庫の中小企業向け融資の信用保証のニュースですが、裏づけの取れていない情報をお出ししてしまい、まことに申し訳ありませんでした。

3 件のコメント:

弓式 さんのコメント...

はじめまして、弓式と申します。
一応、私は一家で中小企業を営んでいるのですが
>>中小企業向けの融資枠などもわざわざ大きな補正予算を組んで作りましたがこっちはなんと以前に作った予算枠が余ってしまって全然使われずに終わってしまいました。

この件で区役所に行ったのですが、非常に限定した融資内容でうちの会社では使えませんでした。
そういう会社が多かったんだと思います。お金はみんなほしがってますが、政府は本当に中小企業向けの融資をやろうとしているのでしょうか?

花園祐 さんのコメント...

 弓式様、コメントありがとうございます。

 私も専門家で無いのではっきりと断言こそできないのですが、二週間ほど前の報道によると件の中小企業向けの融資枠は去年の追加経済対策時に新たに設けられましたが、安倍政権時に作られた融資枠とほとんど内容が被っていたため、新しく作られた融資枠の予算はほとんど使われなかったそうです。

 その理由として報道していたテレビ番組では新たな融資枠の周知や広報が不徹底であったため、恐らく弓式様のような融資を受けたいと考える方から役所の人間までその存在すら知らずに放っておかれていた可能性が高いと報道されておりました。

 私としてはあれだけの額の定額給付金を設けるのであればそれを丸ごと中小企業向け融資枠に放り込み、またあれと同等の広報を行っていれば全然状況が違っていたと思います。私のほうでももう少しこの新たな融資枠について調べてみますので、もし新しい情報が入りましたらまた記事に書いてみます。

花園祐 さんのコメント...

 上記の融資枠についてすこし調べたのでご報告申し上げます。
 まず私が引用したニュースの内容はネット上で見受けられませんでした。お恥ずかしい限りですがもしかしたら何かを誤解して、「融資枠」と書いてしまったのかもしれません。

 今回弓式様が言及されている融資の内容は恐らく麻生政権時に成立した、信用公庫の中小企業対策向け融資の保証拡大のことだと思います。この件については日系BPに書かれているこの記事(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090702/199197/)に経緯が書かれていますが、やはり制度内容が一部で誤解されていて本来は融資対象に当てはまる企業への融資が思った以上に進まなかったそうです。

 私は現麻生政権、というより麻生首相はすべての経済対策は個人消費を増やせば問題が解決されると信じ込んでいる節がある気がします。前のコメントでも書きましたが、もしあの定額給付金がそれこそ政府から直接中小企業へ貸し出される資金として使われていれば、現状では全然状況が違っていたように思えます。

 最近は景気は底を打ったと一部で言われていますが、私もある会社で貿易部門で働いておりますが全然そのような兆しは見えません。このご時世で大変かと思われますが、乗り切るまでどうかがんばってください。