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2009年8月23日日曜日

目指すべき国家モデルの類型~その四、福祉税率編

 今日紹介する国家モデルも現在の日本において議論が必要な話題で、本来なら政治家が争点にしなければならないのですがいくつかここで私が分類を出しておくことにします。今回の国家モデルの分類に当たって着目する点は福祉と税率で、そんなに難しくないので早速分類を紹介します。

1、高福祉高税率(北欧諸国)
2、低福祉低税率(アメリカ)
3、中福祉低税率(現在の日本)

 見てわかるとおりに福祉政策と税率を上中下に分けてはいるのですが、何故だかそれぞれが対応しない妙な組み合わせを三つだけ載せています。何故こんな組み合わせを三つだけ紹介しているのかというと、ちょっと今の日本の状況と今後の行く末を合わせて解説するために敢えてこの三つに分類いたしました。

 まず一番目の高福祉高税率モデルについてですが、これはスウェーデンを初めとする北欧諸国で現実に実施されている政策モデルです。これらの国は国民の税負担率が日本などの先進国と比べると極端に高いものの生活費から教育費まで何から何まで国が出してくれるので、日本人のひきこもりが生活費などを親に依存するのに対して、スウェーデンのひきこもりはそれを国家に依存して生きているそうです。

 こうした北欧諸国に対して日本の福祉税率モデルは私の見るところ巷では二番目の低福祉低税率モデルだと思われている方が多いように思えるのですが、私は日本の現況は実際には三番目の中福祉低税率モデルだと考えております。
 これは何も私自身が編み出した考え方ではなくどこかの評論で見たのですが、医療費が完全自己負担のアメリカに対して日本は国民皆保険制度や失業保険があり、現実的には今でも立派な中福祉国家であってそれをアメリカに次ぐ世界的にも低い国民税負担率で実現しているという指摘がありました。この指摘については私も同意見で、何故日本が低税率でありながら中福祉を実現しているのかといえばひとえにこれまで高い経済力があったことに尽きると思います。

 しかし現在の日本では社会的セーフティネットが崩壊していると各所で言われるだけでなく、年金問題でも未だ収拾の目処がつきません。この様に日本の福祉政策に綻びが見えるようになったのは何故かというと、これまでの日本の政策決定者が日本経済が高成長を維持し続けることを前提に福祉政策を作ってきたためだと断言できます。言ってしまえば仮に20年前、大目に見ても15前の段階で低成長を見越した政策路線に変更していれば福祉政策はおろか、財政状況も今の日本とは段違いに見栄えがいいものになっていたと思います。
 では今から、たとえ経済一等国の名を捨てることになってでも、そのような低成長路線で国を維持させられる方向に舵を切るべきなのかですが、残念ながらすでにこれは手遅れだと先ほどの中福祉低税率の指摘をした評論家の方が述べていました。日本がそのような低成長路線に舵を切るにはすでに財政は火の車で、なおかつ少子高齢化の進行のためこれからの日本の老人を養うためには高成長を維持しなければならないそうです。無論、維持できなければそれまでということです。

 ついでに書いておけば、一番最初の高福祉高税率モデルも日本で実現するのは不可能だと言われております。何故かというと日本は北欧諸国と比べて段違いに人口が多いため(日本:約1億2700万人、スウェーデン:約1000万人)、これで高福祉を実現するとなると財政が回らなくなるのは目に見えております。
 じゃあどうすればいいかですが、敢えて私の意見をここで述べると内容が内容なのでぼかして言いますが、誰か一人が大久保利通のよう殺される必要があるのではないかと考えているわけです。

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