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2009年8月4日火曜日

北京留学記~その九、北京の気候、環境

 自分が日本に帰ってきてから一番周りから聞かれた中国に関する質問は反日運動についてでしたが、二番目は今日のお題の一つの環境問題についてでした。
 中国の環境について日本のテレビを見ていると、よく汚い川や排気ガスでスモッグのかかった空などが映されていかにも劣悪な環境とばかりにこれでもかというくらい報道されていますが、結論を言えばそれらの報道に大きな間違いはないというのが私の意見です。

 では具体的に北京はどのような環境なのかというと、日本人の多くが想像している通りで夏場は空気が汚く、排気ガスの臭いも東京などと比べてもなかなかきついほどです。第一北京は元々乾燥した気候なので街全体が埃っぽく、路面もやや汚く映ります。
 ここまで書くとやっぱり中国というのは環境問題のひどい国だと思われるかもしれませんが、これはあくまで東京と比べた限りです。ずっと日本にいるとこういうことはわからないものなのですが、実は日本はどの都市も非常に環境が整備された国で、日本に比べたら北京は確かに環境の悪い都市ですが北京クラスの環境の悪さだったら世界的には結構ありがちだと私は思っております。

 はっきり言わせてもらえば、排気ガスの臭いについてはロンドンの時の臭いのほうが遥かにがひどかったように思えます。なにせ街を歩いている間ずっと排気ガスを直接吸っているかのようなひどい臭いがするかと思えば案の定、少し汚い話ですが宿舎に戻った後に鼻をかむと鼻水が真っ黒になっていました。恐らく街じゅうにすすが飛び交っていたのでしょう。
 それが事実であるかのようにイギリスの道路は本来ねずみ色をしているはずのアスファルトがどこも本当に真っ黒で、試しに手で触ってみるとやっぱりべっとりと黒くなってしまいます。北京も汚いといえば汚かったですが、ロンドンに比べれば全然きれいな方だったと思います

 ついでに書かせてもらうと、私は行ったことはないのですが人づてによるとフランスの首都のパリはロンドンにもっと輪にかけて街が汚いそうです。そこら中に犬の糞はあるしロンドン同様排気ガスの臭いがひどいらしくて、北京ばっかり「空気の汚いところ」と批判するのはやっぱりよくないでしょう。ただもし私が行った中でワールドワーストインバイロメンタルキャピタルこと、世界最悪環境首都を挙げるとしたら、心苦しいのですがインドのデリーが最もふさわしい気がします。

 私はインドを心の底から愛していますが、あのデリーの厳しい環境にだけは長くは耐えられないとはっきりと感じました。空気が汚いのはもとより夏場は激しく暑く、自動車用道路は常に渋滞していてそこらかしこでインド人がみんなで怒鳴り合っているという、私に言わせるとこれで本当に人が生きていけるのかというほどの厳しい環境でした。なお「国家の品格」の作者の藤原正彦氏も、インドに行ったときだけは趣味の散歩を断念するほどだったそうです

 少し話が横道にそれましたが、環境について結論を言えば北京は潔癖すぎる日本人にとってはやや厳しい環境であるものの、世界的に見ればそれほどひどくはないところです。

 その一方、気候については文句なしに北京は厳しい場所でした。
 まぁこちらもインドの夏に比べれば屁でもないのでしょうが、北京の夏はとにかく暑かったです。日本ほど湿気はありませんがその分直射日光がやけにきつく、九月半ばにおいても肌をじりじりと焼かれているような感覚がありました。最も暑いと言われる八月の日中は軽く40℃を越すらしく、北京特有の埃っぽさもあいまって相当のものでした。

 夏がこれだけ暑いのに冬でも厳しいのがこの北京です。生憎、私が北京に留学していた年は例外的に暖冬だったのですがそれでも一日中気温が氷点下を超えることはなく、日本の天気予報を見て最低気温が2度とか3度と紹介されるのを見て、どれだけ暖かいんだよと日本人仲間と突っ込みを入れてました。
 また私自身が元から寒さに強い人間(日本だと真冬でもコートを着ない)なので、暖冬もあいまって北京の冬はそれほどつらくはありませんでした。

 むしろ北京内の建物は日本にはそれほど多くない循環式の暖房がどこも備え付けてあり、確かに外は気温が低く風も強いのですがどっかに入ってしまえばすぐに体も温まり、外に出る際にコートを羽織っていれば十分に我慢が出来る程度でした。
 ただコンビニで冷やされていないペットボトルのジュースを買ってしばらく歩いてから寮に戻ると、ジュースがキンキンに冷えていることがあり、ああ自分は冷蔵庫の中の気温で生活してるんだと何度か自覚させられました。

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