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2009年10月11日日曜日

柴田亜美氏の作品について

 自分くらいの年代の人間には、「南国少年パプワくん」の作者といえば覚えがあるかもしれませんが、この漫画の作者こそ今日のお題になっている漫画家の柴田亜美氏です。実はうちの姉がこの人の漫画の大ファンで、世に出ている作品であれば片っ端から買ってきていたので私も一通り読んできました。

 そんな柴田氏の漫画についてレビューがてら意見を書かせてもらうと、まず何よりも言いたいことはこの人は漫画家としては絶望的にストーリーを作るのが下手な人だという印象が強いということです。デビュー作の「パプワくん」にしろ「自由人HERO」にしろやたらと自分が過去に描いた別作品のキャラクターを登場させては世界観に矛盾を作り、結末も伏線を回収しきれずに終わることが多く、ひどいのになるとまとめきれず未完結で終わってしまっている作品も珍しくありません。

 それでもうちの姉のように熱狂的なファンが付く理由は何かとくれば、やはりその独特な絵柄と短いシーンの中で見せる絶妙のギャグセンスに尽きると思います。先ほど挙げた「自由人HERO」においては本編は途中からかなりグダグダになるものの、短編ギャグ作品の「バード~幸せの青い鳥」では各キャラクターの個性が見事に引き出されていて非常に面白い作品になっています。

 このようにストーリー製作に関わる漫画は途中から破綻をきたす事が多いのですが、逆に製作に関わらない取材レポート漫画においては遺憾なくその実力が発揮される事が多く、現在は連載を止めておりますが柴田氏はちょっと前まで長い間ゲーム誌の業界取材漫画を描いており、「Gセン場のアーミン」、「ドキばぐ」といったこれらの漫画は作者の個性も強いこともあってこれらは素直に面白いと思える作品です。個人的に一番笑ったのはスターオーシャン3の取材時の話で、いろいろ失敗ばかりしているトライエースの開発担当者を励ます漫画を描いたところ、入稿直前に発売延期が決まり、急遽オチとなる4ページ目が差し替えられた話でした。

 そんなもんだから私はかねてより、この人は原作者を付けて漫画を書かせたほうがいいのではともう十年位前から考えていたのですが、唯一と言っていいほど柴田氏の作品で非常に収まりがよかった漫画として私が進められるのは、「ジバクくん」という漫画です。この作品はアニメ化もされましたが、本当にこの人の漫画の中では唯一と言っていいほど初めから終わりまで一貫した世界観とストーリーで、話の折々に挿入されているギャグシーンも秀逸なものばかりです。アニメ版は多少結末が漫画版とは異なっておりますがこちらもとても面白く、よければまた再放送とかしてくれないかと一人願っています。

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