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2010年4月26日月曜日

死神に名づけられた子供

 今日の関東地方は昨日は暖かかったのに昼過ぎから急激に冷え込み、このあまりの気温の落差に体も音を上げたか、私も夕方に激しい嘔吐感を伴う頭痛を起こしました。そういうわけで昨日も休んだ上に今日も長い記事を書けないということで、一つ私が気に入っているとある寓話を紹介しようと思います。

 題名は忘れましたが話の元ネタは欧州の寓話集からで、中世頃のある村の夫婦に一人の子供が生まれました。父親はその子供に世界で最も平等な人に名前を授けてもらいたいと考えていると、父親の前に悪魔が現れて私が名付け親になってやろうと申し出てきました。しかし父親は、
「いや、あんたが人間に配る不幸は個別に違っているから、平等じゃない」
 と言って、この悪魔の申し出を断りました。

 すると今度は父親の前に神様が現れ、私が名付け親になってやろうと申し出てきました。しかしこの神様からの申し出に対しても父親は、
「いや、あんたが人間に配る幸福は個別に違っているから、平等じゃない」
 といって、神様からの申し出も断りました。

 こうして名付け親になろうという悪魔と神様からの申し出を続けざまに断った父親に対し、最後に死神が現れてまたも名付け親になろうと申し出てきました。すると父親は、
「あんたはどの人間にも最後に平等に死を配る。あんたが一番平等だから、あんたに子供の名付け親になってもらおう」
 そういって、この父親の子供は死神に名前をつけてもらったそうです。肝心のつけられた名前までは書いていないのが残念ですが……。

 この寓話は人によって不幸、幸福の度合いは異なれど、最後の死は誰にも平等に訪れるということを説明しております。なかなか良く出来た寓話だと思うのでドラクエ6の主人公張りに心に深く刻み込み続けているのですが、これとは別にまた作者の名前を忘れてしまいましたが欧州の絵画にて、生まれたばかりの赤ん坊が天使に祝福される横で死神と将来死ぬ契約書にサインするという絵がありましたが、誕生の祝福とともに死の宿命を人は受けるという意味が暗示されていて非常に気に入っております。

 割と東洋思想は死んでも輪廻転生してもう一回生き返るという思想が強い分、死について見てみぬふりをするようなところがある気がします。そういう意味では生と死を深く対比させて考える面については、寓話や芸術に出るだけあって欧州の方がずっと進んでいるのかもしれません。

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