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2010年7月8日木曜日

自民、民主のマニフェストを見比べて

 さすがに投票も直前になったので、そろそろ選挙関係の記事を書いておこうと思います。一応ネタは前々から仕込んでいて、街頭で配られているマニフェストを取っておいたので今日はその内容を自民と民主とで比べて見ようと思います。

 まず全体の構成ですが、見栄えで言うなら今回は民主党の方が出来がいいように思えます。分野ごとに政策案がまとめられており、巻末には自画自賛ではありますが今年の国会で挙げた実績と達成できなかったとして今後の課題を分けており、内容面はともかくとしてまとめ方でいえば及第点です。
 それに対して自民党はというと、なんていうかもっとまともなデザイナーはいなかったのと言いたくなるようなマニフェスト冊子でした。こちらも各分野ごとに政策案がまとめられてはいるのですが、部分部分に入れられている絵がなんと微妙な感じの人物の透かし絵で、悪気はないんだろうけど見ていてどうも斜陽産業的な印象を感じました。私だけかもしれないけど。

 それでは肝心の内容についてですが、結論から言えばどちらも前回の衆議院選挙時同様に何の参考にもならないと言っていいでしょう。理由は幾つかあり、

1、書かれている内容が前回マニフェストとあまり変わっていない
2、自民も民主も八割方内容がかぶっている
3、書かれている政策同士で矛盾がある
4、議員の責任について調子のいい事を書いている


 ざっと挙げるとこんなもんで、どちらもいい格好を見せようと調子のいい事しか書いていないというのが私の感想です。

 細かく説明するとまず1番目については言うまでもないですが、前回マニフェストに書かれていたのにどうして今だ実現できずにこれからできるというのか。格好いいセリフで言うと、「今日戦う事が出来ない奴がどうして明日を戦えるか」で、特に民主党は与党という立場にあったのだから実現できなかったというのであれば何度も同じネタを投下すると言うのはどんな物でしょうか。論語でも、「できもしない事を口にする奴は愚かだ」って言ってるし。

 2番目についてはまさに今の日本政治の駄目な部分の象徴ともいうべき箇所ですが、自民も民主も、「公務員の総人件費の二割削減」や「国会議員の定数削減」、「高校大学進学の奨学金を作る」などといった主だった政策が完璧なまでに一致しております。どうして議席第一党と第二党が共通した政策を持っているにもかかわらず前回選挙から今の今まで実現できないのか、答えは簡単でどちらも本気でやる気がないからでしょう。っていうかここまで一致してんだったら、この際連立なり合併するなり一緒にやっていったらと言いたくなるくらいの一致ぶりです。

 3番目についてはこちらもあまり説明する必要はありませんが、片方では財政健全化を目指すと言っておきながら、もう片方では社会保障にもっとお金をかけると言っており、一体どっちに重心を置いているのか全く訳がわからない内容に二冊ともなっています。民主については新たな歳出には無駄遣いを減らした分を充当すると書いていますが、今年の予算で全然その目論見が上手く行かなかったにもかかわらずまた書いてくるなんてちょっと呆れた態度です。

 でもって4番目。これは一つ一つ抜き出しておきましょう。

・法律で政治家の責任を明確に規定し、違法行為を「秘書の責任」にできないようにします(自民)
・国会議員の歳費を日割りにすると共に、国会の委員長手当てなどを見直す事で、国会議員の経費を2割削減します(民主)


 まず自民について、確か自民党も過去にたくさん「秘書のせい」にして言い逃れをしてきた政治家がたくさんいたはずです。こういったことを主張すると言うのならまずはその過去に秘書に責任を負わせた政治家らをすべて除名してから言うべきじゃないでしょうか。
 次に民主党ですが、国会議員の歳費を日割りにすると言っていますがほんの少し前、今年の四月と五月にそれぞれ一日しか登院しなかったくせに議員歳費約460万円を受け取った河上満栄なんていう駄目な人間を除名せず、ちゃっかりボーナスを受け取らせてから衆議院議員職を辞職させてから今度の参議院選挙に出馬させる組織が言うセリフではまずないでしょう。真面目な話、タイゾーの方が全然まともだった気がする。

 こんな具合なので、この二党についてはマニフェストをいちいち参考にする必要はないと思います。

 最後に一つ付け加えておくと、仮にどちらかのマニフェストに嘘でもいいから、「郵政民営化を元のレールに戻す」という一項目が書かれていれば私はそれだけでその党に投票するつもりでした。タイムリーに今、ゆうパックの遅配問題が起きていますが、小泉政権下で行われたこの郵政民営化は天下り、無駄な財政支出、中央集権から地方分権、族議員の排除といった広範囲の問題に関わる非常に重要な改革であったと私は評価しております。それが現在、小泉政権を引き継いだ安部内閣で野田聖子などといった郵政造反組の復党に端を発して民主党政権に至った今ではとんでもない内容でまた国有化されようとしています。

 この辺についてはまた今度解説しますが、もし民主党が今国会で提出された郵政改革法をそのまま通せば、恐らく郵政は集めた貯金をすべて国債につぎ込んでしまう事になると思います。今回の遅配問題で、これに待ったがかかれば言う事なしなんだけど。

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