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2010年8月10日火曜日

日本の首相の選ばれ方

 近年、日本の首相は猫の目のようにめまぐるしく一年ごとに変わっておりますが、そもそも日本の首相はどういった基準で選ばれるのでしょうか。法的には日本の首相は国会議員の中から選ぶという制約以外は自由ですが、憲政の常道という事で与党の代表者が就任する事が戦後では慣例となっているため、日本の首相は基本的には与党の代表者とイコールだと考えてもいいです。ではその与党の代表者が選ばれる基準は一体何なのかというと、結論から言えば選挙を有利に運べるような知名度があってイメージのいい人間ということだけしかなく、この事実こそが近年の日本政治を最も混乱させている原因の一つだと私は考えております。

 話は昔に遡って戦後から平成に至るまで首相はどう決まっていたのかですが、この頃は数の力というか、自民党内の派閥の人数が首相を決める上で大きな指標となりました。それでも佐藤栄作の頃までは前任者が在任中に暗に後継者を指名するような形で決まっていましたが、田中角栄が首相になったあたりからは派閥を構成する力こと資金力が徐々に物をいうようになって行き、竹下登内閣でのリクルート事件発覚を受けてこうした金権政治に対して国民の倦んでいったような印象を覚えます。

 その後自民党の下野や社会党との村山富一連立内閣を経て橋本龍太郎内閣に至り、また元の自民党政治こと派閥で大勢が決まる政治体制に戻りかけたのですが、小渕敬三の急逝を受けてこの流れが大きく変わることとなりました。小渕敬三の後はこれまた派閥の兼ね合いから密室の談合を経て森喜朗氏が首相となったわけですが、これがまた結果が悪くかつてないほどの支持率を受けて当時はリアルに自民党は次の選挙でまた下野するだろうとみんな考えていました。そんな世論を自民党側もよく理解しており、ここで最大の奇手こと、従来の価値観からすると最も首相から遠いと思われていた小泉純一郎氏を総裁とすることでこの危機を見事に脱す事に成功しました。

 ここまでいえば分かると思いますが、日本の首相が国民受けがいいかどうかで決まるようになったのはまず間違いなく小泉内閣からです。ただ仮にこの小泉内閣が失敗していればこの動きはその後も続かなかったのかもしれませんが、皮肉な事に小泉内閣ががけっぷちだった自民党を見事に立ち直らせてしまったのでその後釜にも国民的人気の高かった安倍晋三氏が後継につくこととなってしまいました。

 もうそこからはあまり語る必要もありませんが安倍氏以降の日本の首相は、福田康夫氏は多少微妙ですが、どれだけ知名度が合って国民受けがいいかの基準でもってしか選ばれず、言ってしまえばそれ以外の面にについては全くと言っていいほど問われる事がありません。麻生太郎氏に至っては明らかに政治家としての資質が非常に疑わしかった人物にもかかわらず自民党は総裁に立て、案の定その資質のなさから自民党を本当の意味で壊してくれました。
 その麻生氏を選挙で下した民主党からは鳩山由紀夫氏が出て首相となりましたが、こちらの在任中は惨たるもので、政権末期には思わず「どうしてこうなった……」と言いたくなるような状況でした。この鳩山氏も麻生氏と同じく政治家としての資質、というよりも毎年1500万円も母親から金をもらっていながら知らぬ存ぜぬと言い張る辺りかねてから一般人として見ても相当に疑わしい資質の人間ではありましたが、そんな人間でも首相になってしまっています。まぁこの人について言えばその金の力でなれたんだろうけど。

 そんな鳩山前首相の後継が今の菅直人首相ですが、こちらも私の目からするとかつての「O-157カイワレ原因説」を過去に不用意に口にしているなど、やはり政治家としての資質に疑わしい点が多い人選だという気がします。もちろん他に首相を張れる様な政治家が現在いないというのも原因かもしれませんが、それにしたって知名度以外にももう少し選ぶ基準という物がある気がします。また知名度や国民受けがいいというだけで首相が選ばれるというのであれば、その時点で「選挙のための政治」というより他がない状態でしょう。

 かつての派閥の力関係で首相が決まる自民党のやり方が正しいと私はいうつもりはありません。ただ知名度だけで選ばれるという今の状況よりは、以前のやり方のほうが確実にマシだったとは主張します。またこうした議論となるとすぐ「首相公選制」の導入が叫ばれますが、首相公選制ではますます知名度だけで決まりかねないために私は反対です。

 さらに苦言を呈すと、日本国民も知らず知らずのうちに知名度だけで首相が選ばれる事に慣れてしまっている気がこのところします。ちょっと前に菅氏の後には誰が来るのかという論評をどっかのメディアが行い、仕分けで名を挙げた蓮舫氏を挙げたらそれに対してネット上でいくらなんでもそれはありえないなどと反応が起こり、なんだかんだ言って盛り上がっていたのを見たことがあります。
 別に蓮舫氏が悪いと言うつもりはさらさらありませんが、そのネット上の反応を含めて彼女がどのような政策案を持ってこれまでどのようなスタンスを取ってきたかについて言及がなく、ただ仕分けについてだけでしか議論がなかったのをみて私には物足りなさをどうにも感じました。中には蓮舫氏が台湾系日本人だからという意見を言う人もいたけど。

 じゃあ私は誰なら首相にいいかといえば、この際日本のためにまともにやってくれる人なら男性だろうが女性だろうが、少年だろうが年寄りだろうが、なんだったら外国人であっても構わないという考えをしています。そもそも戦後の日本で最も偉大な政治家を挙げるとしたら、いつもダグラス・マッカーサーを挙げてる位だし。

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