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2012年11月5日月曜日

万里の長城ツアーの遭難事件について

 本題とは関係ないですが、中国では今週から開かれる中央党大会の影響でネット検閲が非常に厳しくなっています。たとえを挙げるとプロキシサーバーを使うことで見られたYoutubeとか完全に見られなくなり、気になる記事があったので潮風大使さんのブログにもコメント書こうとしたけど駄目でした。おまけに電話も盗聴されているのか、会社の電話は以前は聞こえなかった「サー」って砂嵐みたいな雑音が急に聞こえるようになり、さっきも携帯電話で友人と話してたら2回も突然切れました。実にファッキンです(・ω・)
 話は本題に入りますが、既に大きく報じられているように中国で日本人ツアーの遭難事故が起こりました。

万里の長城遭難:日本人死者3人に 旅行会社下見現地任せ(毎日新聞)

 内容については皆さんわかるでしょうから今回は説明しませんが、このツアーの企画会社であるアミューズトラベルの名前を見た際は正直言って「まだ存続していたのか」と驚きました。こちらも既に大きく報じられているからわかるでしょうがアミューズトラベルは3年前に死者が9人も出たあのトムラウシ山遭難事故を起こしており、とっくに解散していたと思っていただけにエレベーター事故のシンドラーといいどうしてまた同じ過ちを繰り返すのかとやや陰鬱な気持ちにさせられました。早めに予想を言うと、さすがに三度目はもうないでしょうけど。

 それで今回の遭難事故ですが、中国現地でもきちんと報じられております。北京一帯は史上稀に見る大雪だっただけにこのツアーだけでなくあちこちで雪害による影響が出ているためにトップニュースではないものの、注目度としてはそこそこ大きく扱われているように感じます。リンク先に貼ってある記事では「救援隊150人が救助のために全力を尽くした」と書かれてありますが、この点に関しては素直に中国のレスキューの方々に感謝したいと思います。

 恐らくこの事故を見た日本の多くの方は、「どうして一大観光地の万里の長城でこんな遭難が起こるんだ」と考えたのではないかと思いますし、現にネットの掲示板を見ると、「こんな観光地で遭難なんておこるわけない。中国だから何か別の理由で死んだんだろう」などということを書いている人も見受けられました。
 まぁそんな書き込みしたバカはほっといて私の方から解説させてもらうと、万里の長城は確かに観光地ではありますがそれはあの長い長城の一部分だけで大半は奥深い山の中で連々と石塁が連なっているだけです。観光客が主に訪れるのは今回の遭難現場から数十キロ離れた八達嶺(パーターリン)というところでテレビなどに映る長城の姿は大抵はこの場所ですが、この八達嶺ですらかなり山深いところにありたどり着くまでには北京市からバスに乗って数時間かかります。ただ八達嶺は観光地として整備されていることもあり、周辺には道路も作られているだけでなく観光しやすいよう長城を上る階段などが設けられているのですが、実際行ったことはないものの観光地になっていない長城はそういう類のものは一切なく、移動するのも大変だし緊急連絡手段も限られていたのではないかと思います。

 そしてこれだけは強く言っておきますが、長城というのは行ったことがある人ならわかるでしょうが日本人が想像するような生易しい物じゃありません。自分も初めて行った時に驚きましたが長城の通路は意外に地上高が高く、落ちたら確実に死ねます。しかもその通路は平坦ではなく、文字通り山の傾斜に沿って建てられているため勾配が半端じゃありません。それこそ八達嶺にある観光ルートですらなんかSWATとかの訓練場と見まごうかのような急勾配、しかも階段がなく坂になっている箇所が数多くあり、足を滑らせたら大怪我しそうで本気で怖かったです。
 そんな長城に十月なのにやけに暑い時期に行ったもんだから、汗をかきながら必死で傾斜を上り下りしたのを今でもよく覚えています。この時はお袋が一緒でしたが、お袋も急勾配に参ってぜぇぜぇ言っていたものの私の方も必死で上り下りしていたため手を差し伸べる余裕がなく、後ろを振り向いたらいなかった、というようなシチュエーションも有り得ると思いつつ通路を渡り切りました。幸いながらお袋も一時は大分自分と距離が開いたものの無事渡り切ることが出来ましたが、助けなきゃと思いつつ助ける余裕がないというのをこの時に強く感じ、もしかしたら遭難時の心境はこういうものなのかもしれないと、なんか今作ったように見えますが当時は本気でこういうことが頭に浮かびました。

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