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2013年4月30日火曜日

相手を怒らせたら者勝ちのマスコミの文化


 上記の写真は本題とは何も関係がありませんが、ネットで見つけてインパクトが強かったので自分も紹介しようと思いました。それにしても「まぼろし」って、命名した人は凄いセンスをしている。売れたのだろうか……。

TBSの記者がつまらん質問をしてプーチン大統領がブチギレ呆れる…日露共同会見(痛いニュース)

 久々というか国際政治の話です。先日、安倍総理はロシアを訪問してプーチン大統領と会い、北方領土問題を含めた日露間の平和条約について前向きに交渉を行っていう事で共同声明を出しました。国際政治と社会学が専門ではあるもののロシア情勢についてはあまり詳しくないので、共同声明自体を取り上げようとは思ったのですが実は一回断念しております。にもかかわらず何故今回こうして取り上げるかですが、上記の「痛いニュース」などでも取り上げられている、共同記者会見でのTBS記者の質問を見ていろいろ気が変わったというか、自分からも書ける話があると感じたからです。

 まず今回の騒ぎについて簡単に説明すると、安倍首相、プーチン大統領の共同記者会見でTBSの記者が質問に立ち、「北方領土は現在ロシアが実効支配しており、日本側としては受け入れられない状況下であるのに交渉なんてできるのか」という内容の質問を行いました。これに対してプーチン大統領は質問を行ったTBS記者に対し、「メモを読みながら質問していたがそのメモを書いた人間に言っておけ。北方領土問題は我々が作った問題ではなく先人が作った負の遺産であり、我々はその解決に向けて努力していく方針で、日本側に対してもよき信頼関係を築き上げたいと思っている。そうした我々の姿勢に対してこのようなぶしつけな質問を出すことによって交渉を妨げるという方法もあるだろう」というように回答したと伝えられています。

 これらのやり取りについて日本のメディア、またはネットの掲示板では「TBS記者の質問の仕方は失礼なのでは」という意見が出ているようで、今朝もやけに体調が悪くて体温計で測ったら36.1度(平熱36.6度)でしたが各ニュースを見ていると、「ある記者の質問にプーチン大統領、不機嫌」という見出しなどで報じられておりました。

 まずこのやり取りを見て私が思ったのは、今頃この質問を行ったTBSの記者は高笑いをしているんだろうなってことです。というのも、マスコミの世界では「回答者を質問で怒らせれば勝ち」という妙な文化があります。私自身もメディアの世界に身を置いていた頃に上司から、「もっときわどい質問をぶつけろ。そんな優しい態度でどうするんだ」などと厳しく叱責を受けておりましたが、日本国内での集団質問会見などではこれ以上にレベルが激しく、「そんな回答でどうするんだこの野郎っ!」、「そんなんで記事が書けるかっ!」という罵声の様な怒鳴り声が飛び交うと聞いております。

 一体なんで相手を怒らせたら勝ちなのか、理由を述べると単純に怒らせれば記事が書けるからです。「XXという質問に対しA社の広報は気色ばんだ様子で回答を拒否し……」なんていう風に書ければ、「必死の形相で詳細を隠した」というようにも書けます。また相手を怒らせるほどのきわどい質問をぶつけなければ、核心部の情報が得られないというような哲学もあるようです。

 ここまで読んでもらえればわかるでしょうが、上記のようなメディアの文化に対して私は反感とまではいきませんが疑問を感じております。確かに核心に迫るような質問、それこそ内容によっては相手を怒らせてしまいかねないような質問は重要だと思うし価値があると思いますが、末端の広報に対して非開示の情報、そもそも広報の人が知らされていないであろう内容をしつこく嫌らしく聞き続けることはどんなもんかなぁという風に思えてなりません。また概して相手を怒らせようとする質問は相手を怒らせることに比重が置かれており、内容があまり価値を持っていないことが多いようにも思えます。

 上記のような観点からすると、今回のTBS記者の質問は何が聞きたいのと言いたくなるようなくだらない質問です。プーチン大統領の言っている通りに北方領土問題は日露に跨る懸案事項ではあるが、この北方領土問題を含めて幅広く平和条約締結に向けて今後交渉を続けるという共同声明を出したのに、なんでそれを復唱させるかのような質問を出すのか意味が分かりません。意味が分からないけど、メディアの世界では「いい質問だなぁ」などと思われるんじゃないかなぁ。同じようなことを何度も、しつこく怒らせるほど聞くのがいいというような世界観だし。

2 件のコメント:

すいか さんのコメント...

こんにちは。

新装開店の陽月秘話も、楽しく読ませていただいてます。
なるほど、、マスコミ界では、「怒らせた方がスゴイ」のですね~。だから、TVなどでみてると、あんなにぶしつけで失礼なのですね。納得。

ところで、調子はいかがですか?
わたしは、毎年、春先は理由もなく落ち込んだり、不安定になります。季節病です。
でも、今年の春は、「ほめ日記」というものをつけていて、ずいぶん持ち直してきました。ただ、自分のことを、小さなことでも褒めちぎる、というものですが、心身の安定に大変効果があります。
最近の日記を読み直してみたら、「陽月秘話を読んで、韓国の近現代史を興味深く読んだ。知的好奇心旺盛なわたしは、ステキ!」など、陽月秘話を読んでる自分をよく誉めてました。おもしろく読めて、私の自尊心までUPしてくれている陽月秘話、これからも楽しみにしています。
お体を大切に、ご活躍くださいませ。

花園祐 さんのコメント...

 昔に読んだ欧州の童話に、どんな逆境でもポジティブに考えるという少女の話がありましたが、すいかさんの話に通じるものがありますね。
 実は自分も3~4月は同じというか、毎年しんどい時期になっており、来るだけでも嫌です。今年もその例に洩れず心身ともに疲弊する2ヶ月でしたが、ようやく明るい兆しが出てきて、5月からはまだ気分良く過ごせそうです。
 韓国史の話はいまいち反応が良くなく、自分もあまりいい感じにかけていないと思っていた矢先なので、こうして感想を聞かせてもらえてうれしいです。それにしても、何か一ひねり入れないとなぁ。