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2013年5月21日火曜日

共通体験の少ない現代

 ちょっと前に以前はテレビに集中していた娯楽がネットやゲーム、携帯電話などに現代は分散していると書きましたが、娯楽を構成するコンテンツに関しても現代は依然と比べて激しく分散する傾向があり、そのため共通体験というものが極端に減少してきていると言われます。

 この話をしてくれたのはデータ整理を手伝ったことからおねだりすれば何でも本を買ってくれる友人(「あんぽん」に関しては「佐野先生を助けてやれよ」と言って自分で買うようにと諭された)なのですが、その友人によると「最近の子供はドラゴンボールに対する反応が俺たちと違う」そうです。私の世代にとってドラゴンボールは男の子で知らない人間はいないと言ってもいい作品でしたが、今の20代前半の世代になると単行本とかを読んだり伝聞で聞いてて知ってはいるものの、リアルタイムでのアニメ放送を見ていなかったことから、「そんなにすごい作品だったの?」と言う人が多く、同時に「あれ以上の興奮はなかなか得られない」と誰もが思うような作品があまりないそうです。

 これは漫画やアニメに限らずゲームでも似たような傾向があり、私が子供だった頃は「ドラゴンクエスト」とか「ファイナルファンタジー」はほとんどの男の子は一度は遊んだことがありましたが、こういうような誰もが一度は遊んでいるというゲームもこのところは減ってきているように思えます。漫画であればまだ「ワンピース」とか「ナルト」は今の子供たちはみんな接しているようですが、それでも私たちの世代と比べるとみんなが楽しんだことがある、やったことがある共通体験というものが確実に少なくなってきている印象を友人同様に私も感じます。
 子供の世界に限らず大人の世界でも、ブームとなって誰もが買ったり、体験するような活動はこのところだとアップル製品以外ではあまり思い浮かびませんし、先にも言った通りに娯楽が分散化しているので自然と言えば自然ですが、この状況をどう見るかはちょっと難しいものがあります。

 共通体験が少なくなることによって何が起こるかというと、「あれ知ってる?」、「もちろん知っている!」というような会話が成り立ちづらいというか、特に初対面でのコミュニケーション時は今までよりとっかかり辛くなります。言ってしまえば互いに未知の領域が広がるわけで、こちらが当たり前と思うことが通用し辛くなる可能性もあります。
 ただそう考える一方で、私なんか昔から趣味とかやることが常にマイノリティだったため、社会全体の多様性は広がるんじゃないか、そうなったら自分も目立たなくなるんじゃないかと期待する心もあります。それでも一個や二個くらいはその世代は共通に体験したというものがあると結びつきは強くなるのだし、もうちょっとくらいは共通体験が現代はあってもいいというのが私の意見です。

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