2013年5月29日水曜日

中国で苦戦する日系デパート

 本当は別の記事を書く予定で下調べまで住んでおりましたが、前から追っかけていた中国の経済ニュースで関連記事が出ていたので、今日はこっちを優先して書くことにします。

日本資本のデパート、伊勢丹が瀋陽から撤退(人民網日本語版)

 第一報は今年初めに伝えられていたようですが、日系デパート大手の伊勢丹が瀋陽市の店舗を今月31日にたたみ、撤退するそうです。リンク先の記事では閉店セールの様子が写真に撮られてありますが、伊勢丹に限らず日系デパートはどこも、中国市場では苦戦を強いられております。

高島屋、上海店の売り上げ目標下方修正 年80億円に(日経新聞)

 どうでもいいですが上の日経新聞の記事は最初、中国語版で何故か読んでいました。百度で検索したせいだけど、冷静になって日本語で検索かけたらあっさり同じ記事が出てきたよ。
 内容は見出しの通り、去年の12月に上海市でオープンした高島屋が売り上げ目標を引き下げたそうです。この上海高島屋は私も追っていてオープン初日にはカメラ持って取材に行ったので(ただ書いた記事は自分自身でも納得できないほど悪く、実際に上司にもかなり叱られた(;Д;))思い入れがあるのですが、はっきり言ってしまうと「人気は出ないだろう」と私も感じていました。

 なんで上海高島屋が駄目だと思ったのかいくつか理由はありますが、一つはまず立地です。この辺は中国で小売業界にいる人なんかみんな知ってるでしょうが、上海高島屋はデパートが集中する浦東や南京路周辺ではなく、外国人が多く住んでいてどちらかというとビジネス街である古北でオープンしました。小売業界では、「いくらなんでもあんな立地では」という声もあれば「いやでもビジネスマン向けの需要を獲得できるかも」などと言われていましたが、結局のところ地元住民がどうも根づかなかった様です。

 その上でこれは私と以前の同僚の間で一致した意見なのですが、中国のデパートにしては致命的なまでに天井が低いと感じました。中国の建物は日本と比べ基本的に部屋の高さが高く、とくにデパートといった商業施設ではそれが顕著です。なおかつ中国のデパートやホテルには風水的な概念があって必ずと言っていいほど1階から3階くらいまで、多い所だと最上階に至るまでの吹き抜けをこしらえるのですが、上海高島屋には吹き抜けがありませんでした。
 最初に入ってみて私が感じたのがまさにこの点で、恐らく日本人からしたら平均的な天井だと思う一方、中国の感覚からしたら素直に狭い店舗だという印象があり、吹き抜けもなかったことから窮屈な感じを覚えました。厳しく述べると、ローカライズが上手くいっていないと思えます。
 その上で致命的だったのが、以下のニュースです。

高岛屋未过消防关先开业 多家商铺仍在整改(東方網)

 上記の記事は中国語ですが、ネットで調べてみるといくつかの個人ブログでは既に取り上げられています。内容を私なりに簡単に翻訳すると以下の通りです。

「上海市当局によると、昨年12月にオープンした上海高島屋に入居する複数のテナントに対して実施された消防安全設備、営業許可の査察で、数多くの不備が見つかった。テナント各社は12月のオープン時に出店が間に合わなければ保障金を没収されるという契約となっていたため、設備や許認可が不十分であることを認識しながらも開店を強行したとみられる」

 ざっとこんな感じです。高島屋本体というよりは入居テナントの問題ですが、開店から5ヶ月も経つのにまだこういう問題を残していたというのはちょっと問題だと言わざるを得ません。実際オープン当初、いくつかのテナントが非常にバタバタしていたのが強く印象に残ってます。

 以前にも書きましたが、小売りというのは手法が万国共通に見えて、実は非常にローカル臭い分野だと私は思います。日本には日本、アメリカにはアメリカ、中国には中国の小売りの仕方があって、外資というのはなかなかそういう文化的な障壁を破ることが出来ません。そういう意味ではこれまた厳しい言い方になってしまいますが、日本国内ですら売り上げの落ちているのだから、中国にオープンさせてもなかなかうまくいかないのではというのが今日の私の意見です。

2 件のコメント:

  1. ご指摘の通り、デパートのlocationが非常に大事と思います。
    分析してみれば、人気No.1の上海ヤオハン(すでに上海企業に買収された)は浦東中心部にあり、久光百貨は賑やかな静安寺にあるからこそ、売上が順調に伸びるわけです。
    ところが、高島屋は日本人が多く住んでいる古北地区にあり、そもそもあそこには上海人が少なく、ほとんどは欧米人と日本人です。彼らは上海人と地方の観光客より購買力が低いと思われます。
    いずれにせよ、観光客は古北地区に行きませんね。

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    1.  そうそう、古北には観光客が来ないのも大きいね。高島屋の挑戦する姿勢は嫌いじゃないんだけど、オフィス需要を狙うならランチコーナーをもっと充実させる、規模をもっと小さくするなどもっと方法があったんじゃないかなぁ。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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