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2013年7月11日木曜日

中国にある「高温手当」という制度

 7月に入ってからめっきり暑くなってきたので温めていたというか単に書くのを忘れていた、中国にある「高温手当」という制度について今日はちょこっと紹介しようと思います。

 この高温手当という制度はその名の通り、高温時の屋外作業を行う労働者に対して事業者が手当を支払うことを義務付けている労働法です。具体的には気温が摂氏35度以上、もしくは相対湿度80%以上に達した際の屋外作業時に支払いが義務付けられており、手当額や支払方法は地方によって異なっております。
 たとえば上海市だと期間と金額が一律に定められており、今年だと6~9月の4ヶ月間、制度の対象となる作業者に対して通常の給与額に対して月額200元(約3200円)を上乗せするようになっております。中国語がわかって興味がある方は下記ニュースページに詳しく載っておりますのでご参考ください。

上海迎来高温日 企业高温津贴标准仍为每月200元(東方網)

 ではほかの地域はどうか。上海と接している江蘇省は上海と全く同じで6~9月の4ヶ月間に月額200元と一律に定められているようです。上海なんかよりずっと暑さの厳しい広東省では期間が6~10月と上海や江蘇省より1ヶ月多くなっておりますが、支給額は月額150元に定められております。

 この高温手当は毎年6月頃にその年の支給額など政策内容が発表され、大量のワーカーを抱える企業、特に屋外作業が多い建築分野の企業などはその内容と対策に頭を悩ませます。またこれは今回調べている最中に自分も初めて知ったのですが、「中国三大ストーブ」に数えられるほど暑い重慶市では室内温度が33度以上に達した場合、オフィスワーカーも高温手当の対象になる指針を出しております。まぁ理には叶ってるな。

 もっともこうした制度があるものの、実際には手当を払おうとしない事業者も多いそうです。そんなこと言ったら大半の企業が残業代を払おうとしない日本も一緒ですが、少なくともこの高温手当の制度に関しては中国政府の考え方に深く得心させられます。言われてみれば確かに夏場と冬場では屋外作業のキツさは段違いに異なり、特に夏場では熱中症の危険性も存在します。この高温手当の条文では事業者に対して手当の支払いを義務付けているほか、労働者に対して適度に水分を補給させること、休憩させることも義務付け、体調不良者を出さないようにしっかり注意することが記載されております。

 この時点で勘付いている人もいるかもしれませんが、率直に言って日本もこの制度を見習うべきではないかと私は思います。恐らく作業現場単位で熱中症対策などが施されているとは思いますがやはり夏場の屋外作業は危険であり、労働者に対して相応の手当を支給する制度を導入するべきなような気がします。クールビズなどと政府は言いますが、そもそも猛暑時には作業量を減らすことこそが最もエコな気もしますし。

  おまけ
 前職の職場ではちゃんと社内にクーラーがあったものの古いせいか度々故障して、真夏の物凄い暑い中で延々とノートパソコンに記事原稿を書くという、「これなんていう修行?」と言いたくなるような事態が度々起りました。またきちんと動いていてもどうも設定温度通りに室内を冷やしてくれないことも多かったことから上司がよく、「おい花園、クーラーの設定温度をもっと下げてくれ」と指示が来てました。その際に、

自分「今日も暑いっすからねぇ」
上司「そうなんだよなぁ。特にこの席だと余計暑くってさ」
自分「ああ、そこ窓際ですからね

 という風に暑さのせいでボーっとしていたせいか何も意識せずに口走ってしまい、しばらく上司から白い目で見られる羽目になりました。上司も上司で、「俺は座席でも社内でも窓際なんだよ」などとすねちゃうし……。

2 件のコメント:

上海忍者 さんのコメント...

キミの会社にも(高温手当)を設定したら如何でしょうか?そのほかに、「低温手当」も当然必要となりますわ。ご意見は?

花園祐 さんのコメント...

 高温手当どころか残業手当すら生涯一度ももらったことがない。日本人ももうちょっと、法律を守るべきだと思うんだよね。