ページ

2016年7月28日木曜日

水原希子氏の謝罪騒動について

水原希子 天安門中指写真に「いいね!」で謝罪の背景(NEWSポストセブン)

 久々に前置きなしで本題に入りますが、女優の水原希子氏(変換し辛い名前だ)が中国に関わる件で謝罪を発表し、その謝罪の仕方を巡って日中両国でヒートアップしています。結論から言うと水原氏の対応の仕方が私にはいまいち理解できず、正直この人はもう顔も見たくなくなったいうのが率直な感想です。

 騒動の発端は水原氏二つの写真からでした。問題となった写真の片方はネット上で、「これ水原じゃね?」という感じで流布されたもので、中国人からしたら目の敵にされる靖国神社らしきところで水原氏らしき女性が歩いている写真なのですが、この写真について当の水原氏は写真の人物は自分ではないとして(ネット上の一説では妹ともいう声もあるが真偽不明)否定しています。
 この写真について一部メディアとかでは靖国神社だから中国人を色々刺激したとか書いていますが、私の感覚で言うと中国でももう靖国神社は旬を過ぎてやや飽きられたコンテンツ、例えて言うなら「イナズマイレブン」みたいなもんでそこまで反応するようなものでもなくなっている気がします。まぁ本人がわざわざ否定してるんですから何も言いませんけど、これは別に無視してもよかったんじゃないかと考えています。

 次にもう一枚の写真ですがこちらこそがある意味本題で、これは水原氏のSNSに掲載された写真です。それはどんな写真かというと、中国にとってある意味国家的シンボルの一つである天安門広場に向け中指を立てた手が写っている写真でした。これは何も水原氏が撮影したものではなく北京オリンピックのメインスタジアム、通称「鳥の巣」を設計した艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏が撮影したものです。
 「鳥の巣」を設計しておきながらと言ってはなんですが、アイ氏はかなり反体制派なアーティストで過去にも政府を挑発するような行動を取っては政府からいろんな妨害を受けたり、ビビった欧州の会社(レゴ)がアイ氏への協力を拒否したりするなどかなり激しい活動を繰り広げています。件の写真も下品な行動というよりは、「自由にピース、共産党にファック」みたいなメッセージ性が込められていると考えていいでしょう。ちなみに私は上海で以前、目の前で地下鉄に乗り損ねた際に「ファック」と呟いたら前にいたおっさんがやけにビビりながらこっち振り返ってきたことがありました。

 話を戻すと友人がアップしたこのアイ氏の写真に対し水原氏はどうも、「いいね!」をクリックしたそうで、その画像がネットに流出したそうです。これを見て中国のネットユーザーは反応して怒ったそうですが前後関係の説明なしだと、また仮にあったとしても中国人からしたらそりゃ起こるのも当然だと思え、仮に皇居に向かって中指立てた写真がアップされたら尊王派じゃないけど私もカチンとは来ます。鳩山元首相や舛添前都知事に向かって中指立てるのなら「いいね!」押しますが。

 件の写真はアップしてからすぐ消去されましたが流出した画像は今もネットの海をさまよっており、こうした事態を受けて水原氏は今回謝罪動画をアップロードしたわけなのですが、この謝罪の仕方が逆に新たな議論を引き起こすこととなりました。
 詳細はニュース記事にも書いてありますが、まず中国の人を侮辱するつもりもなく友人から送られてきた写真になにも考えずに「いいね!」を押してしまったと述べており、これはまぁわかります。全く理解できないのはその後に続けられた言葉で、元動画は見てないのですが報道などによると、「私は英国人と日系韓国人(在日韓国人)のハーフで日本人ではありません」というような内容をやけに強調してきたそうです。恐らく私だけでなく、これを聞いて不信感と共に「だからなんやねん?」という疑問を大半の方が覚えたことでしょう。

 敢えて好意的に解釈するというのであれば、水原氏としては自分の出自は多国籍でありグローバル的な価値観を持っているため、特定の人種や民族、国家に対し偏見のような見方は持っていない言いたかったのかもしれません。しかし仮にそうだとすると、単一国籍の出自を持つ人間だと偏見を持ちやすいとでも言うのか、また多国籍な出自だからといって偏見がない人間だと言い切れる根拠はどこにあるのかという疑問を覚えます。 
 次に穿った見方ですが、靖国神社の写真の件も合わせて謝罪していることもあるだけに、自分は日本人じゃないからこの手の問題とは関係ないとでも水原氏は言いたかったのでしょうか。何を考えて何を言うのはもちろん各人の自由ですが、同じ行為でも人種や民族によって免罪符が付されるか変わると考える価値観こそ偏見に満ちたものであるように私には感じられます。

 またどちらの意図、もしくはこれ以外の意図で言ったのかもしれませんが、何故この問題でわざわざ出自をピーアールしようとするのかがそもそも理解できません。お仕事の関係もあるから理不尽だと思うものの中国に対して謝罪するのはわかりますが、素直に「はい、ごめんない」とだけ言えばいいのに出自をわざわざ語ろうとするなんて、全く関係ない問題について何故言おうとするのかその神経を疑います。それこそ私が同じようなことをやって謝罪する羽目になった際、「生まれは葛飾柴又……」と言っても渥美清のファン以外は許してもらえるはずなどありません。
 念のため言っておきますが、近くには住んでたけど別に生まれも育ちも柴又ではありません。この手の問題とは関係ありません。

 以上のような観点から今回の騒動を見て水原氏はつくづく見下げた野郎だと思ったわけですが、果たして中国のネットユーザーはどういう反応しているのか少し調べてみました。百度で検索していろいろ見たところ、もしかしたら事務所などが火消しにもう動いていたのかもしれませんが騒動の内容と謝罪動画の内容を伝えるニュース記事は数多く見られるものの、中国のネットユーザーが批判するコメントを並び立てるような掲示板はなかなか見つかりませんでした。まぁ、ニュースに対するワンクリック感想では「怒」が圧倒的に多かったけど。
 むしろ気になったのは水原氏とちょうど同じ台湾映画に出演するはずだった戴立忍(レオン・ダイ)も同時期、台湾独立運動に関わっていたと槍玉に挙げられて謝罪文を発表していたことの方が扱いが大きく、彼とセットで水原氏がニュース記事に取り上げられていることが多いように感じました。

水原希子とレオン・ダイはなぜ謝罪したのか?:垣間見えた「文革の亡霊」(フォーサイト)

 最後にこの騒動は水原氏が最初に謝罪動画を出した数日前から徐々に大きくなっている気がしており、最初にリンクを付けたNEWSポストセブンの記事もどちらかといえば水原氏を擁護する論調ではあるものの、逆にこの記事から騒動を知る人も多いだろうということを考える記事を出したこと自体が逆効果だったのかもと思うところがあります。自分も最初にこのニュースを見た時は別に記事化するつもりなかったけど、Yahooニュースに取り上げられたのを見てやっぱ一発書いておかなきゃと思ったし。

0 件のコメント: