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2017年1月3日火曜日

酸素魚雷の恐怖

 今日何気なく星占いを見たら「上司に無理やり仕事を押し付けられ自分の仕事がはかどらない」とか書かれてあり、三が日なのに仕事する人いるのかよと言いつつ、「ここにいるぞ」とオフィスで思いました。でもって上司にも、「今日何か自分に振る仕事あるんですか?」と無駄に聞いてみました。

 さて中国では今日からまた平常運転に戻りましたが大晦日から昨日まではお休みで、おせち食べに昆山へ行った以外は家の中で割合過ごしてました。でもって「ウォーシップガンナー2」という戦艦とか使って海上で戦う、何度もクリアしたゲームをまた遊んでたのですが、このゲームに出てくる兵装の中で地味に好きなのは何を隠そう酸素魚雷です。

酸素魚雷(Wikipedia)

 そもそも酸素魚雷とは何かってところから始まるでしょうが、平たい言葉で説明すれば燃料の推進剤に通常は圧縮空気を用いるところを敢えて純酸素を使った魚雷の事を指します。圧縮空気から酸素に変えたところでどうなるのかというと、単純にすべての面で魚雷の性能が桁違いにアップする上、推進後にでる排気ガスが水に溶けやすい炭酸ガスとなって水泡もほとんどでなくなり、検知することも非常に困難になるというおまけつきです。
 性能に関してまず爆発力ですが従来の魚雷に比べて酸素魚雷は数倍にまで跳ね上がると言われ、射程に関しても従来品を遥かに凌駕する性能を見せました。二次大戦時に日本軍が酸素魚雷を使った例だと、目標だった艦船には外れたもののその外れた先にあった艦船に当たり、戦艦一隻を中破、駆逐艦一隻を大破してのけました。その射程距離たるや9.3kmもあったそうで、米軍はまさか外れた魚雷が当たったとは思わず近くに潜水艦が潜んでいたと勘違いしたほどでした。

 この酸素魚雷を二次大戦時に置いて実際に開発、運用にまでこぎつけられたのは地味に日本だけでした。一体何故日本だけが開発できたのかというと、この酸素魚雷は威力が桁違いである一方、非常にデリケートな兵器でしょっちゅう爆発事故を起こし、ほかの国では安全に使用できないとのことから開発が投げられたからでした。
 それに対して日本海軍は徐々に酸素濃度を挙げるという作り方で爆発事故を回避した上、運用にまでこぎつけられましたが、それでも結構な頻度で事故は起こっていたそうです。現在の世界において酸素魚雷はロシア海軍だけが使用しているのですが、そのロシア海軍でも2000年、搭載していた酸素魚雷が爆発して原子力潜水艦クルスクが沈没し、中の乗員118人全員が亡くなるという事故が起きています。

 そんな酸素魚雷に対して米軍も存在を知ってからは激しく警戒し、日本の駆逐艦相手には絶対に横っ腹を見せるなと訓示を出すほどでした。それでも不意の攻撃には太刀打ちできず、終戦間際に置いても酸素魚雷によって沈没させられた例があります。
 それは1945年7月30日の例で、海上で敵艦を発見した日本の潜水艦伊号第五十八は見つからないうちに潜水し、酸素魚雷を初めに3本、数秒後にもう3本の計6本を発射しました。何も知らない米軍の重巡洋艦にこの酸素魚雷は見事3本が命中して、地味にすごいですが3本で見事撃沈してのけました。

 この撃沈例が日本にとって最後の、そして米軍にとっても最後の撃沈例となったのですが、非常に皮肉というかこの時に撃沈された重巡洋艦とは一時期は米軍の旗艦ともなった重巡洋艦インディアナポリスで、サイパン近くのテニアン島へ広島、長崎投下用の原爆資材を運んだ帰りでした。撃沈せしめた伊号の乗員らも後の投下後、その事実を知ることとなります。
 またインディアナポリスが撃沈させられた際、中の乗員らはそのままの状態で海に投げ出され、救命ボートもなく救命胴衣で浮かんだまま救助を待つ羽目となりました。その救助が来たのは5日目で、その間に体力の低下やサメに喰われるなどして生き残ったのは乗員約1200人中約300程だったそうです。

 日本の兵器というと零戦ばかり脚光を浴びますが、地味にこっちの酸素魚雷も注目されたらいい、もといもっと魚雷の撃てるゲームで遊びたいと思いつつこういう記事も書いてみました。

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