2017年4月16日日曜日

主語を言わずに会話する友人

 このブログでもちょこちょこ書いていますが、先々週に九州地方の大学に通っている私の友人を上海に招いて観光案内していました。その際ですがここだけの話、普段温厚な私ですら何度か「てめー殺すぞ」と喉まで出かかって言いかけました。理由は何故かというと、その友人が会話で言っている内容がまるで理解できなかったからです。
 確かにそいつは昔から変にマイペースというか次に何するかが読めない奴でちょっと変わっているということは百も承知でしたが、成人となった後もそれが全く変わりがなく、本気でどうしてこうなった、安西先生ばりに「まるで成長していない……」と何度も思わされ、少し観察してみることにしました。その結果わかったことは、どうも会話や文章で主語を省略して話す癖がありそれが周囲とのディスコミュニケーションを生んでいるようだという結論に至りました。

主語がない人との会話の特徴と対処方法まとめ(結婚生活・お役立ちブログ Web論)

 上のサイトで紹介されている主語を出さずに会話する人なんかまさにその友人の話し方そっくりで、「ああ俺だけじゃなくみんなストレス感じてるんだな」と少々ほっとするやら、友人の先が思いやられるやらという感じを覚えましたが、やはり私の見立ては間違いなくこうした癖を友人は持っています。さらに詳細に述べると、主語だけでなく目的語も明示しないために主客関係が会話で掴めなくなり聞いてる方は訳が分からなくなります。

 まず大前提のお話をすると、日本語は他言語と比較して主語の省略が非常に多い言語で、日本語を学ぶ外国人からすると文章を読解する上で大きな障害となります。具体的には、

「彼は私の友人だ。昨日ディズニーへ行ってきたそうだ」

 第二文の文章の様に、前文に主語となる人物が出てきていたら大体の場合は省略されてしまいます。日本人からすれば「行ってきたそうだ」という動詞を伝聞系にするだけで省略された主語には前文に出てくる「友人」だということがすぐわかりますが、英語や中国語だったら文章が接続されていなければ必ず「友人」という主語を入れなければなりません。
 またその場で話し合っている二者間会話の場合も、時制や受身形、疑問形かどうかで主語が誰かを判断させるために省略することが多いです。一つ例を出すと二人の人間がレストランで飯食いながらの会話で、

「そういえば例のゴルフに行ってきたけど」
「そういえば例のゴルフに行くの?」

 どちらも主語が明示されていないながらも上の文章なら話主が、下の文章なら目の前の相手が主語になります。過去形か未来形か、疑問形かどうかだけで判断しなければなりませんが、状況から登場人物がその場の二人に限定されるので日本人なら普通は理解します。
 しかし先ほどの友人にかかれば、この文章を以下のような意味合いで以って平気でこんな風に言ってくるわけです。

「そういえば(その場にいない共通の知人が)例のゴルフに行ってきたけど」
「そういえば(その場にいない共通の知人は)例のゴルフに行くの?」

 以上の様に、何故か二者間対話の中で第三者が登場する話題にも拘らず第三者の名前を出さずにいきなり動詞をぶっこんできます。聞く側からすると「誰がゴルフに行ってきたんだよ?/行くんだよ?」と聞かなければ会話が通じないわけですが、決して冗談ではなくこういうことを普通に口に出すので、その友人と一緒だった間は真面目な話結構疲れました。

 大体二日目あたりで主語を省略する癖があることを見抜いて動詞の前に必ず主語を入れるようにと何度も言いましたがさすがに一日や二日ではどうにかなるレベルではなく、何度も「主語はなんだ」と最後の方なんか常にキレ気味で言い続けました。
 なお、実際にその友人が口にして私が全く理解できなかった会話文は以下の通りです。

「行きの飛行機で一緒だった人が福岡で働いている人で、子供が前は中国の学校に通ってたんだけど今は日本の学校に通っていて、上海で通訳の仕事をしているから何度も中国に来るんだってさ。空港からその人の車に同乗させてもらって集合場所までこれたんだ」

 上の会話文を見て違和感を感じる人がどれだけいるかはわかりませんが解説すると、まず最初に「福岡で働いている人」と言ってしばらくすると今度は「上海で通訳の仕事をしている」というので、「一体その人はどこで何をして働いているんだ?」と問いただしたところ、福岡で働いている人というのは日本人男性で、上海で通訳をしている人というのはその日本人男性の妻である中国人女性であることがわかりました。この時点で、「中国人の嫁さんなんて一言も出てきてねぇだろ!」と怒鳴りました。
 上の会話文の場合、仕事内容の紹介の所で主語が切り替わっているにもかかわらず何故か全く言及されなかったために混乱を招いたわけです。何故主格が入れ替わるのに口にしないのだろうかあいつは……。

 なお当初は気が付かなかったのですが、後から色々聞いたりしたところ飛行機で座席が隣り合ったのは実は日本人男性ではなく中国人女性だったとのことです。しかも日本の学校に通っているお子さんも春休みということもあって一緒に乗っていた一方、そもそも日本人男性の方は飛行機には乗っておらず会ったこともなかったとのことです。何故その事実を最初に言わないのかあいつは……。

 以上の様にまた愚痴が大半な記事ですが、日本語での会話がどうもわかり辛いという相手がいたらまずこの「主語(+目的語)が抜ける」という線を疑った方がいいということを少し言いたかったわけです。本当にびっくりするくらい変な省略の仕方をすることが多く、言って直るもんじゃないですが言わなければより悪化するきらいもあるのと、また会話文以上に文字文章では主語をはっきりさせる必要が多いため、わかりやすい文章を書こうというのであれば意識して主語を書くようにした方がいいというのが私のスタンスです。

 それにしても、上司が外語大出の語学マニアということもあるからか自分もこういう日本語のメカニズムを分析、解説するのが上手くなった気がします。最近その上司から教わったのは、大和言葉の数詞の発音(ひいふうみい)は古代インドのサンスクリット語に通じるというあまり使いどころのないトリビアです。

2 件のコメント:

  1. ラブレターを書く時に、主語が間違えば大変な事となりますわ。ご注意ください。

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    1.  なんや経験あるんかいな。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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