ページ

2017年5月11日木曜日

ゼロ金利政策が破綻している理由

 パソコンをマウスコンピューターに取り換えたのですが、移行作業自体はあらかじめ準備していたこともあって割と滞りなく終わったものの、イヤホンジャックが本体左側ではなく右側についているというのが微妙に嫌です。またUSB3.0のポートも右側ではなく左側、それも本体手前側についているのがやや不便ですが、設計上でこっちのほうが何か有利なのかな?

 話は本題に入って久々にマジな話をすると日本は安倍政権の成立以来、日銀は公定歩合を実質ゼロ、現時点においてはマイナス金利にするなどして市場の資金流通量を増やすため様々な政策を実施していますが、円安とともに日経平均株価こそ上昇したものの、目標としていた国内インフレ率の上昇は達成せず、また最終目標である国内景気の上昇も建設業以外では目立って好転したという話は耳にしません。さすがに一年や二年程度で失敗と決めつけるのはひどいとは思いますが、2012年末から政権が継続していることを考えるとすでに丸四年は経過しており、この四年で当初掲げていた目標が達成できてないことはおろか、目標値にまるで近づかない現状についてはもっと議論されるべきかと思います。

 結論から述べると、安倍政権と日銀が実施しているゼロ金利政策には致命的な欠陥が存在しており、それによって破綻して機能を果たせていないと私は考えています。その私が考える欠陥とは以下の通りです。

国内設備投資10.9%増 16年度計画 政投銀調査
企業の海外投資、増勢続く 直接投資150兆円超え 15年末時点(どちらも日経新聞)

 この二つの記事を読んで意図が分かった方はもうこの先は読まなくても結構です。逆を言えば、上の記事だけで私の意図が分かったとしたら、多分私同様に海外で働いているとなのではないかと思います。今回の主張は日本国内にいる人にはまずわからない内容ですし。
 もったいぶらずに具体的に解説すると、ゼロ金利政策によって金融機関から民間企業へと貸し出された資金は国内には投資されず、ほぼすべて海外投資に使われているから失敗したのではと私は見ています。

 ゼロ金利政策の狙いはどこにあるのかというと、中学の公民で習う内容と一緒で要するに貸出金利を低く抑えることによって民間企業の金融機関からの借入を促し、設備投資などの投資を行わせ社会全体にマネーがより多く流通させるように仕向けるというところにあります。しかし私が見る限り現在、日系企業は金利の低い日本の銀行から借り入れた資金を日本国内での投資には使わず、ほぼそのまま海外での投資に使用している現状があります。
 自分が何故この現状に気付いたのかというと、単純に日系企業のキャッシュ・フローを眺めていたら大半の大手企業は三大メガバンクの中国支店などを通してリボルビングローンなどを組んでたりしていることを見ていたからです。気が付いたらもうそれまでで、何故日本国内投資ではなく海外投資なのか、その必然たる理由もすぐにわかりました。

 はっきり言えば、日本国内に投資を行う価値はもう全くと言っていいほどないからです。日本はすでに少子高齢化に伴い人口も減少しており、若年層を中心に個人所得も年々減少するなどして国内市場は縮小の一途を辿っています。そのためたとえ日本国内で投資を行い原価を下げたり生産量を増加させたとしても、その投資が実を結んで売上げが増大する可能性はほとんどなく、仮にあったとしてもその実りはほとんど小さく海外投資ほどの価値は普通に考えればまずないでしょう。

 整理して述べるならば、確かにゼロ金利政策によって企業は金融機関から低利でお金を借りやすく投資がしやすい環境になってはいるものの、そもそも市場が縮小している日本国内で投資をする価値はほとんどなく、借り入れた資金はそのまま海外投資に使われてしまっているため、日本国内で資金が回らず景気は良くならない上にインフレも発生していないというのが私の分析です。なお極端な言い方をすれば、借り入れられるそばから海外投資に回されているので、事実上資金の海外流出が続いているともいえるでしょう。

 結論を述べるならばいくら金利を下げて資金を流通させようとしても、日本国内自体に投資価値がなければ資金は流出する一方でほぼ無価値だったというのが私の見方です。ただ為替操作という意味では確かにゼロ金利は効果を出しており、その点については私も評価します。しかし今後も続けようというのならせめて中国のように海外投資額や投資先に制限をかけるか、海外投資については金利を少しいじくるとかしたほうがいいような気がします。
 そのうえで国際競争力の高い産業を、きちんと国内で育成する必要があります。現在のところ私が見る限り観光産業ぐらいしか今後発展の余地がなく、本気で成り上がりたい若者は観光か、飲食か、あとは宗教かなぁ。

2 件のコメント:

川戸 さんのコメント...

日本のポップカルチャー産業は目覚ましい成長を遂げているようなイメージがあります。漠然としたイメージなのですが最近は趣味にたくさんのお金を使う人が増えている気がします。元々オタクの個人消費で成り立っていた産業だったのが、オタクが増えすぎたことでついでにオタクという言葉も意味を成さなくなってカドカワやバンダイなどの大企業を生み出したのだと思います。

僕は投資で成り上がりたい若者です。国内外世の中全ての道理と相場の基本についてこれから勉強して参りたい所存ですのでアンテナを一本立てておくつもりでこれからも花園さんのブログを拝見させていただきます。

花園祐 さんのコメント...

 いつもコメントありがとうございます。
 正直なところ投資方面で自分の記事が役に立つかと言われたらやや自信はありませんが、なるべく面白い記事を今後も努力して書いていきます。個人的にアドバイスするなら、投資テクよりも財務諸表が分析できるように会計学ぶのが役に立つ気がします。
 日本の文化系産業についてはそのコンテンツ力については私も評価していますが、カドカワなど法人側の商売がやや下手なように思え、先行きについてあまり有望視していません。特にこれからネットが発達することによりクリエイターも個人で発信する機会が増えていくと思え、そうした発信プラットフォーム業者の方が案外力を持つかもしれません。