2017年6月5日月曜日

書評「でっちあげ」、「モンスターマザー」

 なんか最近Amazonの広告載せた書評ばかり書いていて自分がさも広告料目的で書いているかのように見えてきますが、ここだけの話Amazonから入ってくる広告料なんて雀の涙もいいところで、数ヶ月に一回500円程度が入ってくるという小学生の小遣いレベルのようなもんです。なおGoogle AdSenseならこの陽月秘話は4ヶ月くらいで1万円、企業居点なら2ヶ月くらいで1万円入ってきます。前にも書きましたが、ブログで金稼いで生活しようなんてよほどの知名度やテクニックがない限り、いくらか悪さしないと難しいと思います。

福岡市「教師によるいじめ」事件
丸子実業高校バレーボール部員自殺事件(どちらもWikipedia)

 話は本題に移りますが、正直に言えば私は今の今まで福田ますみ氏の著作「でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―」と「モンスターマザー―長野・丸子実業『いじめ自殺事件』教師たちの闘い―」をこれまで読まなかったことを深く後悔しています。どちらも面白いルポルタージュであると噂には聞いていてそれとなく気になってはいたもののなかなか手に取らず、繁忙期が終わってプライベートでいくらか体力的にも余裕が出てきたことと、タブレットPC(HuaweiのMedia Pad)買って電子書籍が読みやすい環境となったこと、やたらと活字が読みたくなったことから、上記の二冊のうち文庫版が出ており安かった「でっちあげ」を先に購入して読んでみました。
 なおよく人から「いつもたくさん本を読んでいるんでしょう?」と言われますが、実のところ普段はそれほど本を読まず、ネットで読む活字量は膨大ですが書籍の読書量はあまり人に言えるようなレベルではありません。むしろ冷凍たこ焼きを常備している友人の書籍購入量とかかなりやばい。

 話は戻しますが、初めて「でっちあげ」を読んだ際は素直に衝撃を受けました。本当に数年ぶりかともいうべきページを読む手が止まらないという感覚を覚え一気に読み終えると、すぐそのまま「モンスターマザー」も、文庫版がまだ出てなく高かったものの迷わず購入しました。でもってこっちも鎧袖一触するかのように昨日一瞬で読み終え、今こうしてレビューを書いています。

 各本の概要を簡単に説明すると、いわゆるモンスターペアレントに翻弄される学校現場を取り上げたノンフィクションのルポルタージュです。取り上げられた事件は冒頭に掲げた二つの事件、福岡市の「教師によるいじめ」とされた事件と、長野県丸子実業高校のバレーボール部員の自殺をめぐる事件で、どちらも目と耳と感覚と自分の常識すら疑いたくなるようなセンセーショナルな事件の実態を丹念な取材の基に詳細な形で描かれています。
 どちらの事件でも共通している点としては、小学生児童と高校生生徒が学校で、しかも教師らからいじめを受けていたとセンセーショナルに全国で報じられた事件が実は、そもそもいじめと言えるような事実は初めから存在しなかったという点です。いじめがそもそも存在していないにもかかわらず、被害者とされた児童と生徒の親がさもいじめが既成事実であるかのようにマスコミ各社に喚き散らしたことで、周囲の教師や無関係の生徒が冤罪と言ってもよい激しい報道被害に遭い、実際に裁判にまでかけられてしまう(丸子実業高校の例では校長が「殺人罪」で刑事告訴までされた)という事態にまで発展します。

 事件の大まかな概要については各Wikipediaの項目の中で紹介されておりあらかじめそれら記事を読んではいたものの、改めて福田氏の書籍を読んだところその事態の経過、振り回される教師たち、そして何より教師らを何の怨みがあってここまで追い詰めようとするのかと言いたくなるような、モンスターペアレントの異常極まりない所業の数々には息を飲みました。同時に、教師らの言い分は聞かずにモンスターペアレントの異常極まりない言動を真に受けて報じるメディアたち、さらには自ら支援を名乗り出て実際に裁判まで起こしてしまう自称人権派弁護士の数々など、果たしてこの国に理性はあるのかと誇張ではなく本気で疑いたくなるような事態の連続は、下手なミステリー小説などよりもずっと続きが気になり、ぐいぐいと引き込まれる内容となっています。

 ただ、どちらも同じモンスターペアレントによる異常な騒動を取り上げられているものの、内容というか状況においてはやや差があります。具体的には「でっちあげ」の事件では担任教師単独が狙われた一方、学校や市の教育委員会はモンスターペアレントに屈し、教師をほとんど支援しないどころか彼の不利になる証言や行動までとってしまい、教師はよくこの状況を耐え抜いたと思うくらいの孤立無援の状況が続きます。もう一つの「モンスターマザー」の事件では、担任教師、部活顧問、学校校長、教育委員会、そして同じ部活の生徒が早くから生徒の親に問題があることを認識し、裁判となっても一致団結して協力して苦境を乗り越えています。
 このようにモンスターペアレントに狙われた対象という意味では「でっちあげ」の事件の方が不憫この上ありませんでしたが、ことモンスターペアレントそのものでみるならば、「モンスターマザー」に出てくる人物の方が桁違いでした。「でっちあげ」は徐々に徐々に周囲がおかしくなっていきある日突然「殺人教師」に仕立て上げらえるという風に段階がありましたが、「モンスターマザー」に関しては初めからフルスロットルで、裁判で徐々に状況が不利になっていくにも関わらず変わらずに嫌がらせやわけのわからない主張を繰り返す有様で、どうして嫌がらせにここまで行動力を発揮できるのかと読んでるだけでも恐ろしさを覚えるレベルです。

 このほかにも内容面で紹介したい話がたくさんありますがそろそろまとめに入ると、取り上げられた二つの事件はメディアや周辺から謂れのない批判を受けつつも、最終的には、特に「でっちあげ」の事件では奇跡的にも裁判でモンスターペアレントの主張が誤りであることが認められ、読後感も悪くなく終わりますが、こうした教師側の主張が認められる例は果たしてどれだけなのかという点が少し気になります。現実には謂れのないモンスターペアレントの批判に屈し、望まぬ担任交代や異動、そして実際にありましたが自殺に追い込まれる教師は日の目を見ないだけでたくさん存在すると思われ、それらの社会的影響を考えるうえでも福田氏の著作はいいきっかけになりました。

 そもそも取り上げられている事件は最初のいじめ報道後、何年にもわたって裁判が繰り広げられており、その経過を最初から最後まで双方の関係者に取材しつつ一冊の本にまとめた福田氏のお手並みには舌を巻くというか恐れ入り、今の自分の中では日テレ報道部の清水潔氏と並び尊敬する記者に入ってきました。
 その福田氏自身も独白部で語っていますが、「でっちあげ」の福岡市の事件に関わるきっかけとなったのは「児童に激しい暴力をかける殺人教師がいる」という他社の報道を追いかける形で取材したからで、それこそ自分も当時に一歩取材を間違えていれば、他社報道と現場取材との間に疑問を覚えなかったら、無実の教師を激しく糾弾する側に回っていたかもしれないと書かれていたのが特に強く印象に残っています。恐縮ながら私自身も過去の取材中に何度も、「もし自分が現地取材を怠っていたらどうなっていたのか」と思う経験が多々あり、正直他人事だとは思えないという体験があっただけに言いようのない気持ちを覚えます。

 私は基本的に自分が買った本、読んだ本しかこのブログでは紹介せず、内容がそれこそ「総理」のようなクソみたいな本は紹介はしてもバナー広告はつけません。しかし今日紹介したこの二冊に関しては胸を張ってお勧めできる本で、もし興味があられればぜひ手に取っていただきたい本です。


  

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