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2018年5月4日金曜日

電子書籍に関する現況 前編


 上記画像は先日ネットの海をさまよっている最中に見つけたものですが、もし意地悪く相手の力量を試そうとするなら、「この表はあまり参考にはならないが、参考にならないと言える点を画像内から指摘せよ」と聞いたりするでしょう。もったいぶらずに言えばそのポイントというのも一番上の冒頭にある「初版発行部数」という言葉で、要するにこのランキングは実体書籍の流通数しかカウントされず、電子書籍の配信数はカウントされていないため、実際の総合売上げというか人気を正確に反映したデータとはならないということです。

電子コミックスの売り上げ、紙コミックスを初めて上回る(IT media)

 上記の記事の通り既にコミックスの販売部数は電子書籍版が実体書籍版を上回っており、電子書籍の部数というか配信数を無視した売上げ統計なぞ無意味に等しいです。敢えて例えるなら東日本だけの調査統計を日本全国の統計とは言えないといったところでしょうか。

 ここで話は変わりますが、他の人は何故か誰も指摘してませんが去年の年末あたりから集英社も新刊コミックスの電子書籍版発売日が実体書籍と同じ日になりました。他の出版社はとっくのとうに発売日を共通にしていましたが集英社だけが何故か電子版の発売日を遅らせており、三年くらい前は三ヶ月遅れ、二年くらい前から一ヶ月遅れと徐々に縮小していましたが、ようやくやっと他の出版社に追いつくというか合わせてくるようになりました。
 集英社が何故電子版の発売日を遅らせて来たのかというと、それはやはり印刷会社への配慮であると思われます。業界の話を聞いていると出版社はどこも印刷会社に頭が上がらなかったとのことですがそれももう過去の話で、今回の集英社の動きを見ているとリコーともども電子化の発達によって苦境に追いやられている印刷会社が増す松発言力を失ってきたのではと伺えます。

 以上を踏まえた上で予言すると、多分来年あたりから電子書籍版を実体書籍版に先駆けて先行配信する出版社も出てくるのではないかと思います。こう思う根拠としては単純に、こうした方がより高い売上げが見込めるからです。

 通常、新刊コミックスはゲームほどではありませんが発売したてが一番売れます。しかし発売したてのコミックスほど中古価値も高いというか、購入して読んですぐ古本屋に売り、古本で買って読むという消費者も少なくありません。
 しかし仮にコミックスを最も早く読む手段が電子書籍版しかないとしたら、今話題の漫画村などの海賊版サイトがないことを前提にすると、読者は電子書籍版しかすぐ手に入れる手段がなくなりこの形式での購入を選ばざるを得ません。言うまでもなく電子書籍だと古本市場には流通しないため、発売日直後の古本も出回らなくなるため、きちんと購入して読む層は増えるのではないかと考えられます。

 何もかつての集英社みたく一ヶ月とかずらす必要はなく、一週間、なんなら三日くらい早く電子書籍版を売るだけで、上記効果が得られるのではと私は思います。もっともこれやったら苦しむのは古本屋だけでなく、印刷会社と小売店こと通常の本屋もですけど。それでも利益の増大につながる手段というのであれば、迷わず選択するのが経営者だと私には思るのですがね。

 ただこう語る一方、電子書籍での配信にも欠点というか問題が山積みなのも否定できません。具体的にはフォーマットの共通化に関する内容ですが、この辺最近になっていろいろ気づくきっかけが得られたこともあるので続きは次回に解説します。

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