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2017年3月15日水曜日

再配達関連記事の反応を見て

 最近も―忙しくて家帰ってくるのもいつも夜遅くです。仕事が忙しいののはともかく、連夜で会合があったせいというのが何より大きいのですが。

「再配達地獄」を解決するシンプルで効果的な方法(JBpress)

 そういうわけでもはや恒例となった自分で書いた記事に対する自分のリファレンスです。上記記事は今週月曜に配信された記事で、普段中国に住んでるくせして何故だか日本の物流業界について語ってます。一応、中国的要素も含まれていますが。
 記事内容は読んでもらった方が早いですが最近何かと話題の再配達問題について、中国のネット通販では基本的に自宅ではなく職場で荷物受け取るから再配達ないよとこちらの物流事情を紹介してます。その上で日本だと公私混同と受け取られて反発を招くだろうが、そんなの価値観次第の話だからそういう余計なのを改めて、日本でも職場配達を普及させればノーコスト、ノーニュープランで再配達を大部分減らせられる可能性があると主張しています。

 この記事の内容ですが元々はJBプレスの記事に書く予定はなく、ブログでササッと書いて終わらせようと考えていた内容です。ただ執筆前に友人へ簡単にプロットを説明した所、「その発想はなかった。絶対JBプレスで書くべきだ」と猛プッシュに遭い、たまたま編集長も上海に来て会った頃だったので「こんなん書いて載せてええ?」と聞いたら即OKだったので書くことにしました。
 書いてみた感想としては正直何の取材もいらず構文さえ組み立てればいいだけだったので非常に楽でした。そんなラクラクに書いた記事で当日JBプレスサイト公開記事でアクセス数1位(久々)を取った上、2ちゃんねるにもスレ立てられるというのだから、つくづく世論というのはわからないものです。

 一応というか国の再配達に対する調査や対策案など資料をあらかた調べてはいるのですが、対策検討会では記事中にも書いていますが宅配ボックスとコンビニ受取りの二案しか提唱されておらず、さらに両プランのデメリットには触れられておらずはっきり言えば既定路線を歩むだけの検討会なのではという疑念がよぎりました。私が紹介した職場受取りなんて海外の物流事情を調べれば一発でわかる内容だというのに指一本触れられておらず、先ほどの友人ともども急に宅配ボックス設置に補助金出すとか政府も言い出していることから、何か裏があるのではとこれまた疑念がよぎってきています。

 で、この記事は例によってYahooにも配信されてそっちの方の記事ではコメントもたくさんついています。コメント読んでて思ったけどまさかこういう記事書いてる奴が昨年末に上海大江戸温泉について取材記事書いた奴だとは思わないだろうな。
 そのYahoo記事のコメントについてまた先程の友人とも二晩に渡って議論したのですが、友人ともども気になったのはなんかやたらと細かい理由を挙げてはこの職場受取り案を全否定する人間が多いという点でした。実際にコメントの方を見てもらえばわかるでしょうが、やれ重たい荷物なら持って帰れない、日本は電車通勤だから無理、宅配ボックスで十分などと、なんでこんな日本はネガティブな思考の連中が多いんだと正直思いました。

 職場受取りを否定する理由として、「日系企業はこうした行為を公私混同と捉えいい目で見ないだろう」という意見を上げている方らについては私も記事中で触れており、至極真っ当な反論だと思います。しかしさっき上げた三つに関してははっきり言うと「記事全部読んでないだろ」と言いたくなる意見で、記事中である程度あらかじめ潰しておいた反論意見だっただけにいくらか言う奴はいるだろうと思いつつもその多さをみて、たまたま前夜に日本の子供の読解力が落ちているという日経の英語講座聞いてたから大人も結構深刻なんじゃないかと思いました。

 まず重たい荷物は持ち帰れないという意見について、これは記事中で「大きい荷物ならともかく~」と書いて、かなり明示的に除外しています。家電やお米など重たいものは自宅に届けさせるのは仕方ないとして、職場で受け取れるものは職場でっていうのがこの記事のスタンスなんですが、あれ以上さらに詳しく言わないとわからないのかと軽くショック受けました。
 次の電車通勤だから無理というのも上と少し被りますが、書籍や化粧品、雑貨程度の荷物も電車通勤なら持って帰れないものなのか。やや大きめの手提げ紙袋でもあれば10×25×30くらいのパッケージは持って帰れると私は思うし、そもそも既に職場受取りが一般的な中国では上海や北京だと普通に電車通勤です。これは読解力というか想像力の問題かもしれませんが。
 そして最後の宅配ボックスで十分という意見については、これも記事中で収容能力に限界があるのと設置に当たり投資がかかるというデメリットを強調しています。だからと言って宅配ボックスを全否定する気は私にはさらさらありませんが、持って帰れるような荷物なら職場で受け取った方が社会全体のコスト的にプラスじゃないのかというのが一番の記事の骨子なのにそれを無視してこういう発言来るのかなぁと見ていて言いたくなりました。

 このほか見ていてうーんと唸ったのは、見られて恥ずかしい物を買ったのが職場にばれるなどという意見で、「俺はいちいちこういう意見に対しても記事中で除外を明示しなきゃならんのか」と、本当に口から出てきましたこういう文句が。
 そうした個人的に納得いかないコメントばかりの中、「可能な職場で、可能な荷物だけそうするだけでも、それなりの効果はあるんだろうから。別に全面否定する必要はないでしょ。」、というコメントしてくれている人がいて、誇張ではなくこのコメントにマジ救われました。やれる範囲で導入して社会全体の負担を下げると提唱しているのに頭ごなしに、しかもあらかじめ潰している反論意見で頭ごなしに否定する人が多い中でこうしたちゃんとメッセージを受け取ってくれる人がいたのは至上の幸いでした。

 結論としては、いくらか反論は出るだろうと予想はしていたものの、合理性の比較をする前からなんかくだらない理由で頭ごなしに否定する人間が想定以上に多く、日本社会はなんてネガティブなんだと驚いたことが一番の発見でした。なおコメント見ている最中、USJ復活の立役者である森岡毅氏がバックライドを初めて提案した際に社内から反論が出て、「やってもないうちに出来ないなんて言うな!」と言ったというエピソードがずっと頭に浮かんでました。

2017年3月12日日曜日

生存説が叫ばれた歴史人物

 歴史上、死んではいるものの実は落ち延びて生きていたと噂される人物は古来より数多く存在します。かつてのその代表格は源義経で、何故だか大陸に渡ってチンギスハンになったというちょっとトンデモすぎる伝説が横行しましたが、概してその人気の高さから「実は生きていてほしい」と思われる人物ほどこういう生存説が叫ばれる傾向があります。

 もうひとり、現在ではそれほどではないものの当時生存説が叫ばれた代表格としては西郷隆盛がおり、彼に至っては大津事件でロシア皇太子を切りつけた巡査が「西郷が亡命先のロシアから戻ってくるため、西南戦争で功績を挙げた自分が処分されると思って切りつけた」と証言したことから一気にその生存説が横行しました。もちろんこれは根も葉もない主張で、また切りつけた巡査自体がちょっと精神が不安定であったことから眉唾であったものの、当時としても西郷人気が非常に高かったことをうかがわせるエピソードです。

 続いて最近になって俄然と生存説が叫ばれることの増えた人物を挙げるとしたら、私の中では明智光秀が上がります。彼は知っての通り本能寺の変の直後に起こった山崎の合戦で敗戦し、居城へと落ち延びている最中に落ち武者狩りに遭って死んでいますが、実はこの時に本当は落ち延びて、徳川家康のブレーンである南公望天海となって政界へ復帰していたという説が10年くらい前からよく見かけるようになってきました。
 この説の根拠として南公望天海の年齢が光秀と近似していること、政治手法が似ていることなどが挙げられている他、花押(サイン)が似ていたというのも挙げられています。実際に両者の花押はよく似ていて以前に見たテレビ番組で筆跡鑑定も行われていましたが、鑑定人の判定としては同一人物であるとは断定できないというものでした。ただ、筆跡が似ていることは事実でもしかしたら親類である可能性は有るという説明も加えられていましたが。

 そのほかに生存説が叫ばれた者としては近頃流行りの真田幸村で、彼も人知れず鹿児島に落ち延びていたという意見がありますがさすがにこれは願望が入りすぎていると私も感じます。一方、生存説とは違いますがなかなか「実は死んでいないのでは」とその死亡に疑義が呈されていた人物とくれば旧日本陸軍参謀の辻政信を置いてほかにいないでしょう。彼の場合は一度GHQの摘発から逃れるために戦後直後に行方をくらましており、ようやく戦犯指定から外されると再び表舞台に現れ国会議員にまでなってしまった後、東南アジアに向かうと出国して再び行方が分からなくなりました。
 現在も辻の最後については議論がなされているものの、さすがに年数を経過して寿命を迎えていることが予想されることから「実は生きているのでは?」という生存説はもうでなくなりました。ただ彼の場合は「生きていてほしい」という生前の人気の高さからくる願望というよりも、「あの辻ならやりかねん」というような一種の怪しさが往時の議論を巻き起こしたものだと私は考えます。

2017年3月10日金曜日

パククネ韓国大統領の弾劾罷免決定について

 本日、既に国会で弾劾決議を受けていた韓国のパククネ大統領について向こうの司法も断崖決議に同意し、彼女の罷免がようやく決まりました。そもそもだいがい決議前にあそこまで支持率落として毎日デモされてたんじゃ政権なんて維持できるわけもなく、その時点で自ら辞職していればすぐに大統領選挙を行って後任を選べたというのに、無駄に抵抗したせいで三ヶ月も浪費した挙句に外交でも金正男暗殺にTHAAD導入で国を追い込むなど、最後の最後まで空気の読めない奴だったなという印象しかありません。歴代韓国大統領と比べても、真面目に狂人だったとしか思えないかつての盧武鉉大統領といい勝負だったんじゃないかとすら思います。

 そんなパククネ大統領について罷免が決まったこともあっていろいろ執政成果に関する記事が出ていますが、結論から言えば外交を完全に履き違えていたというのが私の見方です。日本に対しては当初からケンカ腰で「告げ口外交」と言われるほど外国を訪問する度に日本の悪口を言いふらし続けた挙句に首脳会談にはなかなか応じず、ようやく日中韓の三ヶ国首脳会談をやろうと決まった矢先に弾劾決議を受けるなど、対日外交に関しては何がしたかったのか全く分かりません。
 そうして日本との友好の道を自ら閉ざした代わりににじり寄った先は中国でした。もともと中国にも留学していたことから親近感があったのだと思いますが、中国に対しては異常に親密ぶりをアピールするなどしていたからこそ北朝鮮のミサイル対策に米国のTHAADを導入しても問題ないと踏んでいたものの、実際に導入を決定するや中国からマジ切れされ、当時の印象からするとパククネ大統領からすればあの中国の反発は完全に想定外だったのだろうと私には見えました。

 しかもそこでもう少し外交的な駆け引きをやればよかったものを、具体的にはTHAAD導入を見送るか、THAADの能力や設置場所に制限をかけ中国を対象圏外する代わりに中国へ北朝鮮に対する制裁や説得を真面目にやらせるとか、交渉の仕方はいくらでもあったはずです。結局そうした努力は何もせずにロッテ財閥の保有する中国も一部射程圏内に納める敷地へ導入を決定したもんだから、ご覧の有様になっているわけですが。
 軍事に関しては正直素人ですが、私の目から見てTHAADを導入したからと言って韓国の防衛能力的に意味があるのかというと疑問です。北朝鮮からすれば中・短距離ミサイルによってはTHAADの撃墜対象外で韓国に打ち込めるでしょうし、何なら潜水艦からのSLBMだっていいでしょう。またミサイルが韓国本土に撃ち込まれるということはもはや戦争状態に突入するということを意味しており、その場合であればミサイルを防いだとしても休戦ラインにほど近いソウルの防衛はどうなるのか。そんな時点においてミサイル一発を防ぐことに意味があるとは私には思えません。

 なもんだから米国も本気で韓国の防衛用としてTHAADを導入したというよりは、通説の通りに中国への牽制と在韓米軍基地を守るために置いたのではないかと考えています。そう考えると中国との外交関係をここまで悪化させてまで導入する意味はあったのか、疑問以外の何物でもありません。

 ともあれようやくこれで次の韓国大統領選びが本格化するわけですが、日本の報道を見ていると最大野党党首のムンジェインが有力候補だそうです。慰安婦問題合意すら破棄すべきと主張する彼が大統領に就くとなるとますます日韓関係は悪化するだろうと日系メディアは予想していますが、パククネ大統領について就任前に「朴正煕の娘だから親日派だ」とどの日系メディアも公言してはばからなかったことを考えると果たしてこうした解説を素直に受け入れていいものか非常に疑問です。韓国に限るわけじゃないですが、日本の国際報道はもっとまともにならないのか不満で仕方ありません。

 なお中国の政治関連とかに関する実態については、香港の報道が個人的にお勧めです。本土と違ってメディア活動が活発であり自由であり、また中国人自身が割かし政治議論好きということもあって新聞や書籍でも中国の政治家や派閥関係の解説で様々な観点から報道がなされています。っていうか本土メディアもこの手の報道では香港記事の引用が多いです。

朝日新聞の東大合格発表記事の違和感ある写真

Q、漫画の登場人物の中で「こいつ、仕事ができるな」と思うキャラは?

3位、島耕作(島耕作シリーズ)
2位、トネガワ(中間管理職トネガワ)
1位、瞳さん(ヒナまつり)

東大で合格発表 掲示板復活、ただし胴上げは禁止(朝日新聞)

 話は本題ですが上記の朝日新聞の記事に添付されている写真を一目見て、強い違和感を覚えました。もっと率直に言えば、気持ち悪ってはっきり感じました。

 記事の内容は東大構内での掲示板による合格発表現場について書かれてあり、件の写真は写っている登場人物が右手で口を押えて笑いをこらえている場面を写しているのですが、何故か写真の中の老若男女四人が揃いも揃って全く同じポーズを取っており、しかも目線まですべて同じ方向向いています。目線に関しては掲示板の方を向いていると解釈すればまだわかるものの、何故みんな右手をべたっと口につけて笑いを堪えたような表情をしているのかは理解できず、一人や二人ならまだしも四人そろってショッカーみたく同じポーズ取っているのには不思議を通り越して違和感しか感じません。

 また合格発表の現場ということを考えると、私個人の主観で述べれば受験番号が書かれた用紙を普通確認するのではないかと思うのですが、写真に写っている面々はみんな右手で口を押えつつ左手はだらんと下がっており、そうした用紙を確認している素振りは見られません。はっきり言ってしまえば、なんでこんな不自然な写真を記事に添付したのか、朝日のデスクは馬鹿なんじゃないかという気がしてなりません。
 そしたら案の定というかYahoo記事のコメントでも気持ち悪いと言及しているコメントが一番上に来ています。正直記事内容よりもこの写真がどのように取られたのかという方がニュースだと思うのだから朝日もその辺を検証すればいいのに。

2017年3月9日木曜日

日本史の暗黒時代

 余り頭使う余裕のないのでしばらくは趣味の話でもと思ってまた歴史話です。
 さて暗黒時代と一言でいうとなんとなく苦難に満ちた時代を想像しがちですが、歴史学においてはむしろ資料などが少なく詳細がはっきりしない時代の事を指します。日本史においてそのような暗黒時代の定義に当てはまる時代を挙げるとすれば私の中では二つあり、一つはこれは公にも一致するでしょうが弥生時代から飛鳥時代(推古朝)に至るまでの期間がそれに当たります。

 正直、そろそろ弥生時代と縄文時代という区別をつけるのはやめるべきだとは思うのですがそれはひとまず置いといて、魏志倭人伝で邪馬台国と卑弥呼の記述が書かれて以降、日本に関する記述は推古朝に至るまで全くなくなります。その理由というのも中国が三国時代以降、異民族が中原に侵入して五胡十六国時代という大混乱期に入って安定した政権が生まれず、外交など周辺国に関する記述が全く残されなかったからです。
 中国で再び日本について触れられるのは隋書においてで、日本から外交官の小野妹子が派遣されたことが書かれてあります。この記述というか小野妹子の存在は日本側資料でも一致していることから自然と彼を派遣した聖徳太子についても実在性が確認され、推古天皇が本当に天皇だったのかなどについてはまだ疑問符がつくもののそのような形態の政権は当時の日本にあったことが史実であると検証されています。

 この間の日本はどうだったのか、大和朝廷というか天皇家は存在していたのかなどいろいろ議論はあるもののはっきり言って詳細は全く分からず、あるのは日本各地に作られた古墳だけです。その古墳も詳しく調べれば色々わかるというのに、宮内庁が妨害しているせいで歴史の検証が妨げられるなんて今時中国じゃあるまいしとすら思います。もっとも中国は古代史研究に関しては割と真面目で、また陸地が広いことから恐竜の骨も多数出土することもあって白亜紀時代などの発掘研究では地味にメッカとなりつつあります。
 上記の日本の暗黒時代を敢えて言葉にするならば、「前飛鳥時代」ともいうべきで、近畿に安定した王朝が生まれる前の日本がどのような形だったのかは今後の研究を待たなければなりません。そんな前飛鳥時代と並んで日本史において暗黒時代と呼ぶべきだと思う時代を私の方からもう一つ上げるとすれば室町時代中期、というよりは戦国時代初期がそれに当たると考えます。

 戦国時代とくればある意味日本で最も研究の盛んな時代でありますが、その初期、具体的には1467年の応仁の乱以降しばらくの時代についてはほとんど語られることもなく、大枠についてすらもあまり調べられていない気がします。一体何故この時代が手垢が付けられていないのかというと、先ほどの中国の五胡十六国時代と同じく当時の日本も室町幕府がガタガタで安定した政権がなく、きちんと整備された資料が少ないということに尽きます。
 また資料がない以上に、この時代は日本全国でカオスな時代で、ファイナルファンタジーで言えば「無とはいったい……うごごご」(CV:エクスデス)みたいなくらいわけわかんない状態となったため、存在する資料を眺めてもまるで把握できないことも原因として大きいかと思います。

 あくまで私見ですが私の意見を述べると、この戦国時代初期の日本の中心はそれ以前の中心であった京都というか近畿ではなく、関東にあったかと思います。というのも当時の関東地方では足利家一門の古河公方、堀越公方と呼ばれた各棟梁がそれぞれ武士団を率いて主導権を争っていたかと思えば、本来ならばその配下であるはずの関東管領職にある武家が主人を差し置いて勢力を伸ばした挙句に主家とも敵対して、さらにはその関東管領の上杉家の家中でも一門同士が争ったりするなど、カオス極まりない状態でありました。
 それだけカオスなだけあって外からもよくわからない流人が一旗揚げようと侵入してきて北条早雲が躍進したり、近在の今川家や長尾家なども介入したり、百戦百勝と呼ばれた名将の太田道灌が上杉家の配下として出現したものの警戒されて主家によって暗殺されたりと、書いてるだけでもうお腹いっぱいです。

 当時の関東地方がめちゃくちゃカオスだったのは間違いありませんが、ほかの地域も似たり寄ったりで下剋上が繰り返されたのと、時代を把握、読み解く上での主役的人物、たとえば後の織田信長のような主導権を取る人物がいないため、極端に読み解くのが難しくなっているのがこの戦国時代初期です。それゆえか小説などの娯楽に取り上げられることもほとんどなく、普通の人が文物として触れることもほとんどないこともあって実質的に「何があったのか全く分からない」という暗黒時代になっていると私は考えています。
 何度か私も、古河公方と堀越公方を中心に解説記事とか作ろうかなと思ったのですが、生半可な気持ちでこの時代に当たろうと思ってもほんとに理解するのが難しく、やろうと思ってから現在に至るまでなんか全力疾走的に忙しくなっているため未だに着手できていません。ただこの時代を読み解かない限りは室町時代と安土桃山時代の間に明確な断絶が起こるため、誰かがきちっとカバーしないといけない時代であることは間違いありません。願わくば誰か頑張って歴史小説を書いて、この時代に対する興味を世間一般で高めてもらいたいというのが個人的な意見です。

2017年3月7日火曜日

技術不正に対するリスクアシュアランス

 「平成の怪物」と検索してみると、「松坂」や「大谷」といったプロ野球選手に並んで「新田」という苗字が出ることをつい最近知り、安くなるまで待とうと思っていた「ヒナまつり」という漫画の12巻を即購入してしまいました。わからない人向けに説明すると、新田というのはこの漫画のキャラクターで作中での異名が「平成の怪物」なのですが、最新巻では妹に殴られまくったり、肺炎なのに空中で一回転させられています。

 話は本題に入りますが、元の記事を失念というか去年の8月くらいに見たので忘れてしまったのですが、昨今流行りの企業リスクに「技術不正」が加わってきたと指摘する立派な記事がありました。技術不正とはその言葉の通り技術に関連した不正で、これを経営視点で見るならば自社商品やサービスの品質や内容を誇張し、それが発覚することにより被る損害に対するリスクとなります。最近仕事が仕事だから言い回しが自分でも変になってきたような気がします。

 具体的にどういうのが技術不正に当たるのかというと、代表格としては東洋ゴムの免震ゴムの機能詐称、有名だけど微妙に違うのが三菱自動車の燃費虚偽表示です。三菱自動車の例の場合は会社ぐるみというか経営陣もほぼわかっていながら放置してなおかつ隠蔽までしようとしていたので、「経営者側にとっての企業リスク」とは言えないので技術不正とは言えないと私は考えており、敢えて言うなら「倫理観の欠如」といったところです。技術不正とはあくまで経営者目線のリスクであって、そういう意味では経営者の預かり知らぬところで現場の検査担当者が検査業務をサボっていたとされる東洋ゴムの事件は技術不正と言えると考えます。
 もう少し例を挙げると、旭化成の杭打ちが足りてなかった事件を始め、建築不正も技術不正の一種といってもいいと思います。むしろサンプル数ではこうした建築業界のが圧倒的に多いでしょうし。

 そんな技術不正ですが、一言で言えば「見えない爆弾」といったところでしょう。というのも横領や怠慢などといった会計不正や業務不正であればちゃんとした監査法人の監査を受ければある程度検出できる可能性は高いものの、技術不正となると製品の機能の問題であるだけに、監査で検出することはほぼ不可能です。内部監査も同様に部署ぐるみとかで口裏合わせられたらそれで終わりでしょうし、また技術に関する偽装なので、たとえばタイヤの性能がカタログと一致するの可動とかなんて専門の検査機関とかでなければわかりようがなく、外部から指摘を受けるのも難しいでしょう。まぁ外部から指摘受けてる時点でリスクが実現し、損害影響はもう出てるんでしょうが。

 一応、国とか大学、一部団体などが独立した検査機関として活動を行ってはいるものの、企業側も義務付けられていない限りはそんなしょっちゅう性能検査を外部に委託するなんてことはまずありません。建築業界においては色々と検査義務が課せられているにもかかわらず欠陥マンションが続出しているので制度や検査機関に問題があると言わざるを得ませんが、工業製品とかだと客先の検収通り抜けて市場に製品が出てしまえばその影響は膨大で、また社会もこうした問題に対する意識が年々増していることからもリスクレベルも一緒になって増大し続けているという状況です。

 こうした技術不正にどう対応していくか。やはり一番いいのは外部検査機関に性能・品質検査を委託することに尽き、会計に対する監査法人みたいに製造業も共同出資とかして独立した検査機関とかを作るとか、一部重要製品に対しては義務化させたりした方がいいのではないかと思います。軽く商売の話をすると、そうした第三者検査機関による検査確認体制を確立することで、そのような外部検査を世界でもスタンダードとさせれば日本初で監査法人ならぬ検査法人みたいなのを作れるんじゃないかとも考えることが出来ます。
 もっともあらゆる工業製品、極小の針から複雑なロボット製品までやろうってなると検査機器や検査員がいくらあっても足りなくなりそうですが、その辺は世界のミツトヨさんとかに頑張ってもらう、っていうかミツトヨの方でこういう検査機関作ってくれるとありがたいなと他力本願な結論でまとめるわけです。



2017年3月6日月曜日

韓国THAAD導入に対する中国の反発

 土曜は今年初めて1日100kmオーバーの120kmを自転車で走ってきましたが、夜の9時から12時にかけて50km連続で走り、体が興奮したのかその晩は眠れず、翌日昼間に少し寝入ったら右足が軽く動かない上に突然右太もも外側が何かに撫でられるような感覚がしてビビりました。多分硬直が解けたからだと思うのですが、最初幽霊か何かに撫でられたと思ったよ。

 話は本題に入りますが韓国は先日、同国の財閥ロッテが保有する土地に高高度防衛用ミサイルシステムのTHAADを導入することを発表しました。この発表を受けて真っ先に反応したのは北朝鮮でもなく中国で、かねてから「導入したらえらいことになる」と散々脅して来ただけに実際に導入されるや中国国内の旅行会社に「韓国旅行ツアーを売るな」と規制したり、中国にあるロッテの小売店を様々ないちゃもんつけて営業停止に追い込んだりと、もうなんていうかやりたい放題です。
 そもそもTHAADはミサイルにミサイルをぶつけて守るミサイル防衛システムだからそこまで心配しなくてもいい、っていうか狙おうと思えば米国はICBMを太平洋などからも余裕で中国に打ち込めるのだから今更慌てる必要なぞないと思うのですが、むしろ中国側は敢えて慌ててこの問題を軸に韓国に攻勢をかけようとしているのかもしれません。

 私の観点で述べると、中国はこの問題を口実にして韓国に無理難題を言っていろいろふんだくろうという外交戦略をやっているのではないかと思います。そもそも韓国がTHAADを導入したのは北朝鮮がミサイル開発を加速させているからであって、その北朝鮮を甘やかして図に乗らせたのはほかならぬ中国だからこの問題に関して私は韓国の方が正しく、中国の方こそいちゃもんをつけていると考えているのですが、当の中国はそんなのお構いなしに、敢えてこのタイミングで韓国を狙い撃ちにしてきているようです。

 というのも韓国はパククネ大統領の職務停止を受け事実上、外交活動が展開できない状態にある上、日本とは慰安婦像を巡ってかつてないほど、といっても李明博政権時の「天皇土下座発言」よりかはマシだと思いますが、日本とは関係が冷え切っており、トランプ政権とも何もコラボできず文字通り八方ふさがりな状態です。おまけにサムスングループは寄付金問題でトップが逮捕されるは、スマホのギャラクシーは火を吹くわで経済状況もあまりよろしくなく、隣国相手に言うのもなんですがサンドバッグ状態です。だからこそ中国もここぞとばかりに韓国を追い立てようとしているのでしょうが。

 では中国国民はどうなのかですが、パッとニュースとか見ていると政府の韓国批判を受けてか韓国に対する反感が日に日に高まってきているような気がします。友人などから送られてきたニュースを見ていると、なんかあちこちで韓国製品を叩いたり壊したりする田舎者も出ているそうで、また都市部でも「米国の言いなりになりやがって」などと、なんかやたらと批判を口にします。
 既に周りにも話していますがこの状況は日本にとっては非常にお得で、特に4月の連休時には韓国旅行が制限されている分、また訪日旅行に来る中国人が大幅に増えるのではないかと予想しています。ちょうどまた円安に振れてきている上に、恐らく中国人が一番日本に期待している花見ができる桜シーズンであることから、「爆買い再燃」という見出しがまたみられるかもしれません。