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2017年10月9日月曜日

書評「元日銀審議委員だから言える 東京五輪後の日本経済」

 この前帰国した際にダウンロード版が500円と安売りされていたので買った「アキバズトリップ」というゲームを先ほどクリアしました。名前の通りに秋葉原を舞台にしたゲームですが、「松戸を舞台にしたゲームならどうなるのだろう?」などということばかり考えていました。やっぱヤクザと闘い合うのだろうか。

 話は本題に入りますが、発売前からタイトルが気になっていたので見出しに掲げた「元日銀審議委員だから言える 東京五輪後の日本経済」という本を買ってこちらも今日読み終えました。作者の白井さゆり氏はつい先日まで日銀の審議委員、つまり日銀の重要決定に賛成か否かを投じる9人の投票者の一人で、今年に5対4で可決されたマイナス金利導入に反対票を投じた人物でもあります。
 そうした経歴の人物なだけに前から興味を持っていたことに加え、リアルに私以外に周囲で誰も懸念する人間がいない日本版2020年問題こと、東京五輪後の日本経済をテーマとした本だったため、割引を気長に待つ自分にしては珍しく発売してすぐ購入しました。

 そんな期待値の高かったこの本ですが、結論から言えば「東京五輪後」の予想よりも日本経済の現状に対する分析、特に日銀の政策に関する課題や問題点の解説に重きが置かれており、2020年問題については一応分量としては3分の1はあるものの、具体的にどうなるとか事細かには書いていません。この点については恐らく読んだ人間からは賛否両論が出ると思われ、実際に私より早く読んだ友人は不満点に挙げていたものの、逆を言えば現状でほぼ確実と言える予想しか書かれておらず、ノストラダムスの大予言めいた誇大な予想などというものは一切排除されており、私は逆にその点を評価しています。

 簡単にこの本の中で提唱されている内容を少し述べると、一つは現在の日銀の異次元緩和についてはもはや完全に失敗している上に出口戦略も見えないという内容です。この点についてはあらかじめこの方面を学んでいる人間からしたら特に真新しい内容はないものの、非常に整理して説明されているため初見の人間にはわかりやすいかと思われます。
 次に東京五輪後に日本はどうなるかについては、主に以下のポイントが挙げられています。

・急激な円安にまではならないだろう
・景気回復の好材料は何もない
・全国的に住宅価格の下落は免れない
・日銀の軌道修正によっては株価の大幅下落もありうる

 大体のところはざっとこんなもんでしょう。細かい点を挙げるとすれば、現在の日銀の異次元緩和は黒田総裁の任期いっぱいは意地でも続けられることはほぼ確実で、その次の日銀総裁次第だと指摘しています。これについては誰も異論はないでしょう。

 私はかねてより、2020年以降の日本はすごいことになると予想していますが、案外そうなる時期は予想よりも早く来るかもしれません。日本全体を見ていても危機感ないし、この問題に備える動きも見られず、今回こうした本も私が知る限りはあまり出ておらず議論も進んでいません。
 そういう意味では日本の現状を知る上でば割かしベターな本だと思え、今回こうしておすすめではあるとして紹介することとしました。ただ、先にも書いている通り五輪後の日本経済については控え目な予想に留まっており、この面の内容については過度に期待しない方がよく、むしろこの本の中で書かれている内容を叩き台にして別の誰かと議論することをお勧めします。


2017年10月7日土曜日

次回総選挙の真の勝敗ライン

 昨日壊れた自転車のギアについて今日いつもの馴染みのGIANT店舗(長寧路×遵義路)に持っていったら、あっさり直してくれました。原因はギア内部のワイヤーが傷ついて奥に入り込んでしまったことが原因で、えらい細かい箇所をドライバーなりで広げてワイヤーを引き抜き、ワイヤーとっかえるだけで直してくれました(修理費80元)。
 最悪、ギア機の交換も覚悟して1000元近くの出費も行くと予想していましたが、この結果にはサービスマンの技術にただただ感謝するばかりです。

 話は本題に移りますが段々と盛り上がってきた次回衆議院総選挙について、安倍首相をはじめ自民党は勝敗ラインを「与党過半数」としていますが、実際はそうじゃないだろうというのが私の見方です。ではその真の勝敗ラインはどこかというと、「自民党単独過半数」であり、これを下回れば安倍首相はもう持たないでしょう。

 一体何故自民単独過半数が勝敗ラインになるのかというと、公明党がキーマンとなるからです。それこそ小池新党と公明党が連立することで過半数を取れることとなれば、公明党は政権選択のイニシアチブを握ることとなり、かつてないほどその影響力を高めることとなります。
 もちろん、たとえそのような状況になっても公明党が裏切るかと言ったらまた別問題で、実際にはその可能性は低いと私も考えす。しかし自民党内の反安倍勢力がこうした状況でどう動くか、場合によっては数十人のグループが小池新党への転籍を目論んだりしたらどうなるのか。こうなった場合、安倍首相では多分もうだめだってことで内輪で話が付くでしょう。

 あくまで私個人の勝手な勘で述べると、次の選挙で自民党は一応は単独過半数を確保するものの、ほんの少し議員が抜ければ過半数を保てない議席数になるのではないかとみています。こうした状況で自民党内の寝返り組が出てくるのか、そしてその寝返り組の動きに公明党がどう判断するのか、さらに小池都知事がどうアプローチかけるのかが重要になってくるように思え、選挙自体よりも選挙後の駆け引きの方がずっと大事になってくるかもしれません。
 そしてその駆け引きの末、安倍首相は次回総裁選に出馬せず降りることを条件に連立維持が確認され、場合によっては小池新党が連立に加わってくるかもしれません。一部報道で出ていますが、小池新党は首班指名に公明の山口代表ではなく自民の石破氏を推すという可能性もあり、自民の一部勢力と結託して安倍首相を引きずりおろし、連立入りというのはあり得ない話ではないと私も思えます。

 なお、小池都知事の腹の底について勝手に考察すると、恐らく現時点で政権を取ることは考えていない、というより取ってはならないと考えているのではという気がします。理由としては人材不足な上に党組織が固まっていないからで、次の選挙で足場を固めた上でその次が本番と見据えているように思え、だとすればこそ都知事職を今降りることはあり得ないという結論にもつながります。

 ただ、今回の選挙の意義について違った視点で見るのであれば、ある意味果たすべき政界再編をようやく果たせた選挙と言えるかもしれません。本来ならば民主党が政権から陥落した際に起こるべきだった民主党内の保守層、護憲層の分離が今回の希望の党への合流によってようやく起こり、明確に政策と意見が各党毎に色分けがなされることとなりました。これは本来、2012年に起こっておくべき結果でありましたが、ある意味それを5年遅れとはいえ果たしたという点でも小池新党の登場は日本政治史上で価値を持つかもしれません。

2017年10月6日金曜日

ギア壊れた( ;∀;)

 昨日100km走った反動なのか、自転車の変速ギアが壊れました。完全にスイッチ押しても全く動かず、チェーンは一番重いところで微動だにせず正直困っています。まぁ昨日のサイクリング中にこうならなかっただけマシか。
 早速いくつかのGIANTのお店へ修理に持って行ったところ、ギア内部の部品が壊れており、大体パーツがないため修理できないとの回答でした。明日別の、よくお世話になっているお店にも持っていく予定ですが、なんか最近やたらと金が飛ぶなぁ。

 それにしても今日はちょっと昼食にと出かけて行ったところ、探していた別のお店は見つからないわ(移転していた)、ギアは壊れるわ、GIANTのお店はどこも対応できないとか結構散々な日でした。連休中だから心折れないけど、なんていうか一事が万事なこういう感じは最近の中国だとあまりなかっただけに久々な感じがします。昔の中国はいつもこんな感じだったから忍耐力ついたけど。

 字数が少ないので少し宣伝しておくと、来週水曜にまたJBpressで今度は中国の車載電池市場について書いた記事出します。最近こういうスタンダードな経済記事書いていなかったなと思うとともに、車載電池市場に関しては意外とあるようでない記事になったなと思います。なんかどれを見ても日本国内、それも株価関連のニュースしかないし。

2017年10月5日木曜日

浦東空港までのサイクリング

 今朝9時、天気予報では「くもり」で夜から雨と書かれていたので、自宅から上海浦東空港まで片道約50kmのサイクリングに出ました。出発して30分もしないうちに雨降ってきましたが。
 この時点で帰ろうかなという考えがよぎったものの、既にその途中、携帯電話の地図アプリに私は「高徳地図」を使っていますが、都市部でアクセスが混線するからなのかやたら現在位置の更新が遅く、途中で地図確認したところずれた表示されて無駄な遠回りをさせられてしまい、防具なしの状態でティガレックスに挑まんばかりのテンションというか頭に血が上り、「撤退」の二文字を選ぶことはできませんでした。もっとも途中で川を渡るためフェリーに乗らなければならないため、乗船する前にもう一度天気状況を見て判断しようと決めました。

 そうして途中、地図アプリへの憤懣から携帯電話の画面や当たりの木や柵を殴りつけながら自転車で走行しましたが、その間も雨は激しさを増していきました。ゲリラ豪雨とまではいかないまでも土砂降りと言っていいくらいで、体温的には問題はないものの自転車が泥だらけになるのが嫌で仕方ありませんでした。そうして出発から約一時間後に目的のフェリー乗り場に着きましたが、この時も空は大雨のままだったのですが何故か条件反射的に交通カード取り出して気が付いたら通過していました。通った後でリアルに「しまった!」と思いましたが、もうこのまま最後まで乗っていこうとあきらめました。
 フェリー乗船中、友人に「予報間違えた奴殺す」とアルカイダもびっくりな殺害予告を出し、対岸に着いたところで再びサイクリング再開です。なお友人からは「はよ帰れ」と返信きました。

 対岸の浦東側についてしばらくたってからようやく雨はやみましたが、道は水たまりがあちこちにできていて自転車もチェーン周りはびっしりと砂が付いてしまいました。ただ、道は「中環路」という道路を横一直線に走ることができ、信号も少なかったことから走っていて非常に楽しかったです。昨日地図を見ていた時点でこの道を走るのが楽しみで仕方ありませんでした。
 なお途中で地図持った若い男に対して若い女性が何やら強い口調で問い詰める場面に通りがかりました。女性の方はいかにも委員長っぽい眼鏡な風体で見るからに怒らせると怖そうで、そのまま少し見ていたかったですがチラ見して通り過ぎました。

 それ以降は自転車が汚れるのを除きトラブルはなく、途中に「川沙」という繁華街のある場所を通った際に昼食休憩を取ろうかとも思いましたが、残り15kmくらいなのだしと思って飢えと闘いながらそのまま走り続けました。浦東空港に近づくにつれて歩行者はおろか車も少なくなっていく中、ひたすら走り続けて、気が付いたら自分が空港を利用する際に毎回通るターミナルタクシー乗り場への最後のカーブのところまで来ました。
 そのまま進めば2階出発ターミナル前に着きますが、多分自転車を駐輪するところはないと思って途中で少しまがり1階の到着ターミナルへと向かったところ、恐らく空港に出入りする従業員らのものと思われる電動バイクが停められている場所を見つけ、そこへそっと自転車を置いて空港へと入りました。この時の時刻は12時半です。

 この日の浦東空港は連休中日ともあってやや静かで、職員らも少し余裕のある表情を見せていました。せっかく空港まで来たのだからいいもの食べたい、と行く前は思っていましたが、この時点で相当腹減っていたのでとにかく腹にたまるものをと思って結局マクドナルドでダブルチーズバーガーの大セットを頼み、そのあとコンビニでメロンパンを食べ、少し休憩して再び戻ることとしました。
 やや慌ただしく帰路へ着いたのは理由があり、また天気予報で午後3時から雨だと出ていたからです。ただ結果から言えば、そのあと雨に降られることはありませんでした。

 復路は途中まで往路と同じですが川を渡るフェリー乗り場を往路の時のより北の乗り場を使うことにして、再び自転車に跨りました。なお自転車のロックを外す時、今朝叩き過ぎたのか右手を開くと痛かったです(今も)。
 この復路ですが、もっと疲労があってペースが落ちるかと思っていましたが案外そうでもなく、雨がやんで道路も少し乾き始めたこともあってか非常にいいペースで進めました。また今年の夏場は30分も自転車こぐとほぼ確実に頭痛に苦しむ事となっていましたが、この日は昼食直前の飢えを除くとそういった類は一切トラブルはありませんでした。

川沙のロータス前

 ただ、帰りは先ほど少し触れた「川沙」という場所のロータスというショッピングモール前で小休憩を取り、レモンジュース飲んでいました。実はこの場所、今から六年前の2011年に同じく浦東空港までのサイクリングにチャレンジして、途中でギブアップした場所でもありました。
 その時はガチなゲリラ豪雨に降られたのと、乗っていったのがタイヤの小さな折り畳み自転車という性能の低いマシンであり、尚且つ7月の猛暑の最中に敢行したことから市に悶えながらこの場所に辿り着き、あまりの豪雨から写真奥にあるケンタッキーへ避難して撤退を決めたところでした。本日、晴れて6年前のリベンジを果たしたこととなります。

 それ以降については取り立てて書くようなことはなく、普通に走り続けフェリー乗って、また走って自宅まで行って、五時ごろに家に着きました。着くとともに自宅から水汲んだバケツや潤滑油を取ってきて自転車に着いた泥を落とし、注油を済ませて再び自転車を家の中に入れましたが、今家じゅうが油臭いです。

 一応、今日だけで100kmは走っていますが、全く疲れていないわけではないものの体調的にはかなり余裕があります。道が走りやすかったということが何よりも大きいですが、今年の夏場は前述の通りに少し走っただけでその日一日立ち上がれなくなるほど苦しくなることが多く、体力落ちたのかと思いましたがただ単に気温の影響なだけだったことが分かってほっとしています。っていうか、6年前より今の方が体力あるんじゃないかな。

 一応これで、自宅から東西南北に50kmにある地点をすべて制覇したことになります。大方の上海の境界を見ており、なんとなく全体像もつかめるようになりましたが、だから何だと言われればそれまでです。それにしても今日はガチで自転車泥だらけにしてしまい、前の自転車のように水没させることは今までないもののなんとなく悪い気がしてなりません。これを機にバーテープとか取り換えてみようかな。

2017年10月4日水曜日

平成史考察~ミドリ十字の破綻(1998年)

 自分が中学生だったある日、自宅ポストにうちの親父宛てで「ミドリ十字から○○(失念した)者に転職いたしました」という手紙が届けられているのを私が見つけました。あとで話を聞いたところ手紙の差出人は親父が学生時代に家庭教師をしていた相手とのことで、その後も親交があった、というよりかは今よりもお歳暮とかずっとマメだった時代でもありわざわざ転職報告の手紙も送られてきたわけですが、「なんやその人、あのミドリ十字やったん?」と両親に当時聞いたことは覚えています。
 この「ミドリ十字」という会社名について、恐らく私と同年代の人間でもこの会社のことを覚えている人は少ないと思え、私より後ろの世代となると知っている人間はごく限られるでしょう。この会社がどんなことをしたのかというと、端的に言えば薬害エイズ事件を引き起こした張本人的な会社です。

ミドリ十字
薬害エイズ事件(どちらもWikipedia)

 薬害エイズ事件については本題ではないためその内容の説明は割愛したいところですが簡単に概要を説明すると、血友病患者に必要な人間の血液を原料とした血液製剤と薬があるのですが、事件発生当時は加熱処理されておらずエイズ患者の血液が混入することで血友病患者へのエイズ二次感染が日本でも広がってしまったという事件です。この二次感染については1980年代には危険性が認識されており対策となる加熱処理製剤も存在していましたが、当時の血液製剤大手のミドリ十字は加熱処理製剤の開発で遅れをとっており、同社のために時間稼ぎを行うため、政府審議会でこの方面の権威でありミドリ十字とも関係の深かった安部英が非加熱製剤の使用継続を敢えて認め、いわば人災によって感染を広げる結果を招きました。

 最終的にこの問題は1990年代中盤、二次感染被害を受けた血友病患者やその支援団体らの抗議によって社会の日の目を見て、政府もその非を認めた上で被害者へ謝罪することで救済が始められることとなりました。そしてその結果というべきか、当時としては超優良企業と持て囃されていたミドリ十字も世間の激しい批判受けることとなり、1998年に一部部門が日本赤十字に買収されたほか、同業の吉富製薬(現田辺三菱製薬)に吸収合併されその歴史を終えることとなります。

 当時私は子供だったこともあってミドリ十字という会社が社会的にどのような地位にあったかは今でもいまいちピンとこないものの、就職先としては超優良とみられていたようで、「ここに入ればもう安心」とされる会社であったそうです。それだけに突然の破綻は当時としてもインパクトが大きく、同年には山一證券も破綻していますが、「まさかあの会社が……」と言われる類に入っていたのは覚えています。

 事件当時のことで私が覚えていることとしては、この問題の対応に動いた当時の厚生大臣の菅直人氏が高く評価され一躍その名を高めたことと、ニュース番組でやたらとミドリ十字という単語が繰り返されていて「赤十字と何が違うんだ?」と思ったことが今浮かびます。事件内容については正直、事件当時はほとんど把握できておらず、後年になって被害者団体を支援してその世間への周知で大きな貢献を果たした漫画家の小林よしのり氏の「ゴーマニズム宣言」を読んでようやく理解できた始末でした。
 ただもう一つ付け加えることとして、なんとなくですがこの当時はエイズ問題についてはやはり世間の関心が強く、その対策や対応、感染拡大を食い止めようとする声が今より多かったような気がします。あまりこの方面に詳しくはないのですが先日、九州地方でエイズがやたら感染拡大しているという報道があったように思え、なんとなく昔と比べてエイズ問題への世間の感心が冷めているようだし、対策も後進しているような印象を感じました。

 最後に、上記の安部英について以前うちの親父が「あいつは元731部隊だ」と言っていましたが、これは明確な間違いです。戦時中に軍務経験こそあれども731部隊のあった陸軍ではなく海軍であり、また731部隊に在籍した経歴もありません。恐らく親父は、ミドリ十字の創立者である内藤良一が731部隊出身であることと混同したのだと思います。
 この内藤良一なる人物については実はこの記事を書こうと思って少しネットで下調べした際、つまり数十分前に知りました。私はこの問題について過去何度もWikipediaを中心に調べているにもかかわらず今回初めて知ったということは、そう遠くない時期に誰かがWikiの記事を加筆したと思われます。非加熱製剤自体、731部隊が行った人体実験結果を元に米国で作られたという事実自体は知ってはいましたが、ミドリ十字がその出身者によって創立された会社というのは今回初めて知るとともに、つくづく因果の深い歴史であると思えてなりません。

2017年10月2日月曜日

今年記憶に残ったプロ野球の試合

 リンクを結んでいる潮風太子さんが千葉ロッテマリーンズの記事を載せているのを見てじゃないですが、今日下記のニュースが気になって読んでいました。

V阻止打ヤクルト大松、空気読んで広島ファンに謝罪(日刊スポーツ)

 簡単に記事内容を書くと今年のシーズン終盤、最終的に二連覇で優勝することとなる広島カープが地元広島での優勝が懸かったヤクルトとの一戦。広島は序盤にリードしてこのまま優勝かと思いきや、7回の場面で代打で出てきた大松尚逸選手に2点タイムリーを打たれ同点となり、さらにその後でも勝ち越されて地元優勝を阻止されることとなりました。
 この地元優勝を阻止した張本人こと大松選手のインタビューが記事内容ですが、その日の試合を終えた後にこの人、何考えてるのか知りませんが何故か晩御飯を食べに街へと繰り出し、広島ファンが多く集まる(赤いユニホームがずらり)店に入ってしまったそうです。ただ運が良かったのかその場にいた広島ファンは大松選手を責めたりリンチにかけたりすることはなく、むしろ握手を求めたり「ナイスヒット」と言って誉めてくれたりしてくれたそうです。それに対し大松選手も、「すいませんでした」と謝ったという出来事が紹介されています。

 この大松選手ですが、知ってる人には早いですが昨年に元いた千葉ロッテマリーンズで戦力外通告を受け、テスト入団の上で今年ヤクルトスワローズに入団しています。ロッテ時代からも人気の高い選手で、特に満塁時の打率が約6割にも上るなど、大舞台やチャンスにおいて異常なほどの勝負強さを持ちます。また打撃も飛距離が長く、満塁ホームランの多さも突出している選手です。
 とはいえロッテ時代の後半は正直成績は良くなく、また去年にはアキレス腱も断裂しており、内容と年齢を考えればロッテが戦力外通告したのも無理ありません。しかし本人はあくまで現役にこだわり、それに対しヤクルトがベテランとしての経験を買う形でテストの上で入団させました。その結果、上記の広島優勝阻止を果たしたわけですが、今年の大松選手と言ったらやはりこの試合じゃなく、あっちでしょう。

 それはどんな試合かというと、上の記事中にも書いていますが二つのサヨナラホームランです。一つは5月に広島相手に延長戦12回裏代打でサヨナラホームラン、もう一つは7月の中日戦で、0-10からの大逆転劇のラストを決める延長戦10回代打ホームランです。
 後者の試合は私もニュース記事で見た後、すぐにYoutubeでそのシーンの動画も見ましたが、試合展開もさることながら、そのきれいなバッティングの降り抜き具合には見ていて涙すら出てきました。今年の入団の背景もあっただけに、見ていて気持ちのいい試合としては今年ナンバーワンにはこれが来ます。

 ただ、一番印象に残った試合がこれかとなるとまた別の話です。ではその試合は何かといえば、多分私以外もそうじゃないかと思いますが、横浜DeNAが広島相手にやらかした3試合連続サヨナラ勝ちです。
 1日目にサヨナラ勝ちしてこの勢いのまま2日目も連勝かと思いきや2日目の試合は序盤、広島がリードして1点差で迎えた9回にロペス選手が同点ホームラン、続く延長10回に梶谷選手がサヨナラヒットという展開は、見ていて奇跡が起きているような感覚がしました。そしたら翌3日目の試合もサヨナラヒット(しかも内野安打)で決めて、優勝は広島だろうが今年のDeNAはプレーオフ行くだろうという勢いを感じました。

 特に、1日目のサヨナラ勝ちを見た際、「これからは横浜の時代が来るかも」とも感じました。この3夜連続サヨナラの1日目こそ私の中の今年ベストゲームに当たるのですが、2点差の9回裏に筒香選手、ロペス選手、宮崎選手のクリーンナップ3人が3者連続ホームランを打って逆転勝ちへと至っていますが、その内容もさることながら、最初の筒香選手について改めて恐ろしい打者だと感じたわけです。
 以前からも筒香選手については高く評価していますが、この試合を見てやはり今の日本の4番は彼しかいないと思えます。個人的な見方ですが、筒香選手が打席に立つ姿は明らかに他の選手とは違い、「何がどうなるかわからない」という不気味さにも似た雰囲気が漂っているように見え、実際に試合の流れを決めるようなここぞという場面でこそ筒香選手は良く打ち、逆にどうでもいいところで凡退する傾向があるように見え、彼がヒットやホームランを打つと敵味方問わず他の選手も影響されるような気がします。

 過去、同じような雰囲気を感じたのは、私の中では今年引退した千葉ロッテの井口選手です。野球ゲームにおいてですが、なんとなく甘いところに投げたら確実に打たれるという恐怖感を感じさせられる選手で、正直井口選手にホームラン打たれる分には仕方ないとゲーム中であきらめていました。
 現実の井口選手も、引退試合で9回に同点ホームランを打つなどさすが元メジャーリーガーと言わんばかりの強さを見せつけてくれましたが、やはり怖さを感じるバッターというのはオーラがあります。今そのオーラを見ていて感じるのは筒香選手くらいで、逆に日ハムの中田選手はそうでもないかなと内心見ています。

 また長々と今年のプロ野球について書きましたが、我ながら中国にいるのによく見ている気がします。なおバッターはともかくピッチャーに関しては近年凄い選手が続々と出てきており、その中でもやはり名実ともに球界のエースと言えるのは巨人の菅野選手でしょう。
 ただ彼の場合、「背信投球」ならぬ「背信打撃」をチーム内野手全員から受けており、特に女房役となるキャッチャーの小林選手はリード面だけじゃなくもっと打撃でも菅野選手に貢献してやれよと言いたくなってきます。地味に後輩に当たるし。

2017年10月1日日曜日

洋梨事件

 最近後輩が自分の学生時代の話をよく聞いてくるので、聞かれる前にもう書いてしまおうと思うエピソードを一つ紹介します。

 その事件が起きたのは私が大学一回生だった頃です。私が住んでいた下宿は他の部屋もすべて同じ大学の男子学生で占められており、同じ学年の学生ともなれば下宿仲間となってよくお互いの部屋を行き来しあってたりしました。そんな下宿仲間の中で、私もケチでしたが私以上にケチな友人がおり、冷蔵庫も鍋もないものだから一回安くで食べられる料理としてスパゲッティの作り方を教えたところやかんでパスタ茹でてました。
 そんなケチな友人ですが、今思い返しても年齢にしては世間知らずなところが多かったです。勉強はけた違いにできるものの世間一般の常識には疎く、先ほどのやかんパスタといいどっか行動がずれているところがあり、この事件もその延長上にあると言えます。

 その日、いつものように私の部屋に友人が来てどうでもいいことなどを話していたところ、実家から荷物が送られてきてその中に洋梨が入っていたのを思い出し、折角の機会だから出してあげようと思って皮を剥いた上で振舞ってあげました。確かフォークと一緒に出してあげたのですが、その友人は一口食べるや「なにこれっ!」と本気で叫びました。

花園「なにこれって、洋梨やん」
友人「え、うそ、マジ、これが洋梨なの?」

 詳しく聞いたところ、どうもその友人はその時点までに一度も洋梨を食べたことがなかったそうです。それだけに全く見知らぬ味を口にしたことから上記のように驚く結果となったわけです。
 ちなみにこの後の会話は、

花園「そもそも、洋梨だとは思わなかったのならなんだと思ったんだよ?」
友人「いや、てっきりリンゴだと思って。でもリンゴにしては形が変だし、花園君って皮剥くの下手なんだなとばかりに……
花園「なにさらっと失礼なこと言ってやがるんだこの野郎!(#゚Д゚)ゴルァ!!」

 という感じで、この時私も叫びました。それにしても普段の言動もやや失礼な内容が多い奴でしたが、口に出さないだけで腹の中ではもっと失礼なことを考えているんだなと、友人に対してこの時思いました。