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2024年4月22日月曜日

米国での賭博で作った損失を肩代わりしてもらった男

 先日の水原一平容疑者の騒動は彼自身が当初行った虚言や隠蔽工作もあり、発覚当初は大谷選手が一平が賭博で作った借金を肩代わりしたと信じた人も少なくなく、事件の全容が明らかになるにつれそのように疑い発言した人らは発言を撤回するようになっています。
 まぁ中には、「米国の銀行のセキュリティ的に大谷選手以外が送金できるはずない!」と豪語して見事に外した、米国通を気取ってかえって知識の浅さを見せた人もいましたが。にしてもこの発言主、なんか今になって昔のホリエモンっぽい立ち位置になってきている気がする。

 かくいう自分も当初の発言の翻し方を見て、大谷選手が肩代わりしたのではないかと思っていました。この点についてはギャンブル中の虚言に乗せられたと反省する限りで、やはりこういう人間の発言にいちいち取りあっていてはならないのだなと今後は肝に銘じようと思います。
 ただそのような、賭博で膨大な損失を作っておきながら、実際に肩代わりしてもらった日本人は過去に実際いました。その金額は何と4億5000万円で、一平の24億円と比べると約5分の1程度に見えますが、この損失額は1973年に作られたものだということを考えると、当時の為替相場から見ても一平に負けるとも劣らない価値に相当するのではないかという気がします。その損失を作った男というのも浜田という人物ですが、ここでピンときたら110番ことあの浜田です。

浜田幸一(Wikipedia)

 そう、この浜田というのはハマコーという通称でおなじみの元ヤクザで国会議員だった故浜田幸一のことです。事件はほんとそのまんまで、ラスベガスのカジノで多大な損失を作ったのですが、これをかつてハマコーを雇用していて「記憶にございません」という言葉を作った小佐野賢治が全額を補填して挙げていました。ただこの時に補填に使われた資金は、あのロッキード事件で小佐野がロッキード社から受け取った金の一部が使われたと言われ、仮にそうだとしたらマネーロンダリングも成立するし、合法的に取得した金でないのは間違いありません。
 ただハマコーが一平と違うのは、この時補填してもらった金は後に自ら不動産取引を行って稼ぎ、小佐野に返金したとのことです。実際はどうなのかわかりませんが、少なくとも一平と違って無断で小佐野の資金を流用したわけではなく、また返済行為も行ってその後も関係を続けている点で、一平に比べれば全然まともと言えるでしょう。賭博が禁止されている日本の国会議員が米国で賭博に明け暮れたって点を見逃せば。

 自分がなんでこの事実っていうか一平事件との共通項に気が付いたのかっていうと、今日たまたま読んでいたドリヤス工場の「昭和怪事件案内」を読んでて、ロッキード事件に絡めてこのハマコーギャンブル事件も紹介されたのを見たからです。ハマコーが米国で多額の金をすったということは前から知っていましたが、その補填に小佐野がロッキードで得た資金を使っていたのは知らず、また一つ勉強になりました。

 それにしてもこのドリヤス工場は同人誌時代から知っていましたが、水木しげる風の作画というか作風をものの見事に完コピしていて、今こう言う歴史ものの作品も手掛けているというのは前で知りませんでした。手塚治虫風の漫画でおなじみの田中圭一氏と同じく、あそこまで画風を模倣できるというのは一種の才能であるように思え、ドリヤス工場の作品をもし水木しげる本人が読んだらどんな感想を残したのだろうかという気すらします。
 っていうか画風を寄せる者同士、ドリヤス工場と田中圭一でコラボ作品でも作ったらいいのに。出たら自分は買います。

2024年4月21日日曜日

現代における非現金対価こと福利


 自分でもびっくりですが3週連続でプラモを組み立てており、今週は今もウクライナ戦争で現役なT-62を組み立てました。ロシアは嫌いだけどロシアの戦車は好き(´・ω・)

織田信長「すまん、もう土地ないから褒美は茶器で良い?」 ← これwwwwwwwww(暇人速報)

 話は本題ですが、上のまとめ記事で恩賞として土地をあげたくないので、代わりに茶器にプレミアム感を持たせて恩賞の代わりとした信長の施策が紹介されていますが、茶器に限らず、当時の戦国大名は様々なものを土地の代わりに温床として配っていました。

 一番代表的なものは感謝状こと感状で、上杉家などは盛んに配っていたとされていますが滅亡寸前の浅井家なども最後まで居残ってくれた人たちにドバっと配ってたりします。所詮は紙切れなれど、時代が移った江戸時代以降は史料的価値を持つようになったのであながち馬鹿にできません。
 このほかには一字拝領といって、大名の名前の一文字をそのまま武将に与えて改名させることも恩賞の一つとして使われました。「信長の野望 覇王伝」でもこの一字拝領は恩賞コマンドとして取り入れられましたが、武田信玄が高坂正信にこれやると「高坂信」になったりしてカオスなシステムでした。

 以上は戦国時代における非現金(=土地)対価ともいうべき褒賞の仕方ですが、現金を上げずに報酬を抑えたいとするのは世の経営者に共通する悩みです。現代においては「福利」という言葉でよく言われますが、かつては報酬というか社員の忠誠心を引き留めるのに効果を発揮したものの、現代においては逆効果となるものが非常に多いです。
 具体的に言えば会社での飲み会や社員旅行です。昔はこれらイベントがあるのを楽しみにしていた会社員も多くいたそうですが、現代、少なくとも自分の年代以下は9割がたこれらのイベントを嬉しく思わない、むしろ苦役として捉えるようになっています。自分自身も、こういうイベントに会社の金使うんだったらオラに現金を分けてくれと言いたいし、言っても上司らのご機嫌取らなきゃならず、休日や余暇が潰されるだけであるようにしか思えません。

 しかし中には酔狂な経営者やコンサルタントとがいるようで、これら現代人に嫌われる会社イベントを「社員の団結力向上のために」と言って何故か企画してくる連中がいるようです。中には運動会まで企画して顰蹙を買いう人もいるそうですが、少なくとも8割以上が歓迎するようなイベントじゃなければやらない方がいいでしょう。

 じゃあ社員の8割以上が歓迎するようなイベントってなんだと考えてみたところ、パッと浮かぶのは餅撒きこと現金拾い集め大会で、これだったら自分も「俺の出番だなσ(゚∀゚ )オレ」と意気揚々と参加します。ただこれだと、現金支出を抑えながら忠誠心を高めるという福利の根本的目的が崩れてしまうのですが。
 そのほかあったら会社に感謝する福利としては、よくあるものとしては備後大会、じゃなくんてビンゴ大会です。これなんかは商品をなるべく種類を統一してまとめ買いすれば費用も抑えられるし、嫌がる人はほぼおらず、全員に配らなくても納得感が得られるのでやはり有りな感じがします。

 以上を勘案すると、結局現金とは言わずとも換金性の高い賞品とかを直接配ってくれることの方が単純に忠誠心を高めやすい気がします。信長のようにそれ以前は価値がないと思われていたものを価値があるように持ち上げて配るという手段を使えれば最適ですが、実際これやろうってなるとよほどのカリスマ性がないと無理でしょう。
 それこそ昔の大名みたく感謝状を配るのは一定の効果があるとは思いますが、これは発行すればするほど価値が下がる傾向があるので、長期的な手段とはなり得ません。では茶器はどうかというと、自分みたく陶器好きなら喜ぶでしょうが実際こんな人間はレアでしょう。

 敢えてプレミアム感を持たせるやり方としては、会社全体でとk杖委のスポーツチームのスポンサーとなるのが一つの手段かなと思います。社内でそのスポンサーチームの試合だけは仕事中もテレビとかで流し、社員も自然とそのチームのファンになるよう仕向ければ、スポンサー特権で記念品とか選手との食事会など作れば喜ぶ社員も出てくると思います。もっとも、チームが好きになれない人からすれば逆に迷惑でしょうが。

2024年4月20日土曜日

漫画レビュー:日本の月はまるく見える

日本の月はまるく見える(Amazon)

 先日、ネットで作者へのインタビューを見ることがあったので、こちらの「日本の月はまるく見える」という漫画を買って読んでみました。作者は中国人女性でなのですがこの漫画の内容はというと、本国中国でBL漫画の表現規制が激しく、自由にBLを描くために日本で連載しようとする女性の話です。

 インタビューを見る限りだと、作者の人は日本の大学に留学経験があり、その時の活動がもとでこの漫画の連載を得た様な感じですが、漫画の中の主人公は中国でBL漫画を描きつつ、日本へのあこがれと表現の自由を求めて飛び立つように描かれています。ただ内容的にもテーマ的にも、作者本人が体験したり普段から感じているものを描いているように見え、半自伝的な作品なのかもという風に見ています。

 ストーリーに関しては上記の通りなのですが、表現に関して言うと最も目についたのは書き込みが少ない点です。背景も無地であることが多く、キャラクターの陰影にスクリーントーンを使うこともほとんどなく、日本人作家と比べるたら1枚当たりの書き込み量は非常に少なく感じる絵でした。
 もっともこれは一概に悪いものだとは思っていません。というのも最近の日本の漫画は写真で撮影した背景やオブジェクトを軽い画像加工を施して載せる人が少なくないのですが、これのせいで背景画像が非常に綿密でリアルさがあるのに、キャラクターはデフォルメされてたりしているので悪目立ちしてしまっている漫画もよく見ます。端的に言えば、「キャラが浮く」といった感じです。

 そうしたこのところの日本の漫画と比べるなら、確かに書き込みは少ないもののかえって背景とかがシンプルなおかげで正面のキャラクターの造形は際立つようになっており、「こういうのもアリだよね」的な感覚を持って読むことができました。もっともコマ割りに関しては、やはり日本人作家と比べるとまだ未熟と感じるところが多いだけに、今後成長を期待したいところですが。

 話をストーリーに戻すと、読んでて気になったのは主人公の女性がやたらと他人の目を気にする点が自分には気になりました。具体的には編集者との顔合わせに遅れそうになり、「日本人は遅刻に厳しいから遅刻する人と思われたくない」と思って、とっさに中国から日本についてきた幼馴染に替え玉を頼むも最終的にはばれてしまいます。そしたら今度は「遅刻する人以上に嘘つく人を日本人は気にするのに」という風に思い悩むのですが、これ見て最近の中国人ってこんな感じなのかなどと思いました。

 なんでこんな風に思うのかというと、自分がこれまで付き合ってきた中国人は他人の目を一切気にしない人間ばかりだったからでした。もちろん彼らもまったく気にしないわけではないでしょうが、他人の目を異常なほど気にするというかそもそも大半が自我のかけらもない日本人と比較すると、「自分はこう、他人にどう見られようが関係ない」とばかりに自我が強く確立された人物ばかりでした。
 もっともこう書くとかっこよく見えますが、中には周り目を一切気にせずハチャメチャな行動取ったりする中国人も多いので、日本人の自分からすると「ちょっとは気にしろよ(´・ω・)」と思うことが多いです。

 また話を戻すと、上記の通り主人公の中国人女性は上記の通り周りの目をよく気にするのですが(平気でBLの店には入るが)、確かにそういう傾向があるというか、かつてと比べると最近の中国人の若者は前より周りの目を気にする子が増えてきたなという印象を自分も持っています。社会全体で学歴が上がってきたことが一番作用しているように思えますが、全体として日本人の気質にだんだん近づいてきている気がします。
 私個人としては、他人の目を気にしないのは中国人の長所でもあり短所でもある点だとみていて、なおかつ日本人との最大の区別点だと考えていたので、こうした最近の中国の若者の傾向に関してはちょっと寂しさを覚えます。

 この漫画に対する評価を述べると、以上のように日本人作家とは異なる表現傾向を持っているのと、やはり日本人とは一線を画す感性というかストーリー展開は両方の国の人の気質をいくらか知ってる自分からすると面白く、続きも今後買っていくつもりです。もっともそうした内容から、合わない人には面白さをあまり感じない漫画家もなという風にも見ています。

 最後に、こんな漫画が日本で出ているよとBL大好きな自分の中国人の同僚に教え、中国でBL規制が強まっているから日本へ出ていくといった最初のさわりを教えたところ、

「そらそうよ(´・ω・)」

 と、阪神の監督みたく肯定されました。でもって、

「以前はもっと緩やかだったのに最近は漫画はおろかイラストもBLは規制されるようになり、中国のBLファンはいまや小説でしかその欲求を満たすことができない(´・ω・)」

 などと、聞いてもないのにどんどん説明してきました。

2024年4月18日木曜日

中国における外国人への越境EC規制

 先日、会社の中国人同僚から茶道具のギフトを贈ってもらったので、その返礼にとフォートナムメイスンの紅茶パックギフトを贈ろうと思い立ちました。さっそく中国のECサイトであるタオパオで注文しようとしたところ、何故が画面がうまき栗変わらず、「システムエラー」と表示されてしまいました。何度か繰り返したものの結果は同じなので、仕方なくフォートナムメイスンの直営ECショップではなく、中国系の代理店で同じ商品を購入したところ今度は、

「あなたは外国人なので越境ECで決済できません」

 と、ここにきて「最初からそう言えよ」と言いたくなる不具合原因が明かされました。

 自分も今の今まで知らなかったのですが、どうも中国では外国人の越境ECに対する決済を規制しているというか禁止していたようです。改めて見てみると今回購入しようとした二つの店舗はにはどちらも「天猫国際(TMALL GLOBAL)」と商品バナーに印字されており、越境ECという取扱でした。
 ただ自分がなんで注文時にこれが越境ECだと気付かなかったのかというと、発送地が中国国内の鄭州などになっていたからです。恐らく、今回頼もうとした商品は中国国内の保税倉庫に保管されており、出荷するという段階になって初めて通関が行われたりするため、越境ECという扱いになるのです。

 けどそれだとすると、保税倉庫内とはいえ中国国内にある商品を中国にいる自分が注文しようとしたら受けつけないとかいう、書いてて意味が分からない状況になってたということになります。なおタオパオ内での越境EC扱いでない商品であれば自分であっても問題なく注文できます。やはり越境EC扱いがネックとなっていたようで、今日同僚に話を聞いたらやっぱりほかの外国人でも同じことが起こるそうです。

 そんで仕方ないので、越境EC扱いでない中国国内の代理店から買おうとしていた紅茶を注文したところ今度は、「今在庫が切れてて出荷するの1ヶ月後だけどいい?」と業者から連絡が来ました。ここまでくるともうフォートナムメイスンの紅茶(すごくうまい)になんか拒否られている感じがしたので、完全に買う気が失せてしまい、結局ノリタケのティーカップを贈ることにしました。
 っていうかそのノリタケも外資なのに、中国国内から出荷する分には外国人が普通に買えるってのはどうなのよとかいろいろ思います。なお購入先はタオパオ内にあるノリタケの公式ショップで、置いてあるのは基本定番商品で、商品単価が10万円超えるのがノリタケだとざらですが、さすがにそんな高額商品はあんま置いてありませんでした。

 今回この外国人に対する越境ECを見て思ったこととして、つくづく中国は人民元の国際通貨化を目指すと言いながら、自らその道を妨害しているという点です。恐らく政策担当者、具体的には経済部門と外交部門、内政部門の間とかで人民元の国際通貨化に対する考え方が違うのだと思いますが、すでに中国はGDP規模で世界2位であることを考えると、人民元をどんどん配って海外に流通させる方が中国の経済にとってもすごくプラスであるような気がするのですが、どうもあ中国政府の中にはとんでもない経済音痴がいるようです。
 っていうか現状から考えると、人民元は海外で政府間借款でしか流通していないのではないかと思います。そう思うと、日本円ってのは基軸通貨に数えらえるほどこうして流通しており、大した水準と実力を兼ね備えているなと思えてきます。

 話を戻すと越境ECですらこうして外国人に規制をかける辺り、中国の政策担当者の中には人民元の海外流出を極度に恐れている人が一定層いると考えられます。しかしこれは逆に見ると、中国経済の非常に大きなウィークポイントに今後なってくるように思え、日本が今後中国経済に対抗する上では、この決済通貨の利便性というか柔軟性を武器に、人民元の足元を取る対抗策を打つのあり泣きがします。
 特に今後、米国も中国に干渉を仕掛けるでしょうし、ドル兌換に何らかの制限が付けば人民元の価値を急落させることもあるかもしれません。そしたら自分の人民元資産目減りすんだけど(;゚Д゚)

 最後に今回のギフトはタオパオから同僚の家へ直送してもらおうと思い、同僚に返礼品を贈るから住所教えてとWeChatで聞いたところ、「そんな悪いですよ」と遠慮する返信が来たので、「遠慮しないでください」とさらに返信を打とうとしたところ、メッセージを打ち終わらぬ間にその相手から贈り先の詳細な住所情報が送られてきました
 「謙虚な態度を見せるのが短か過ぎない?(;´・ω・)」などと思いましたが、やっぱ中国人はこうでなくっちゃとも思います。

2024年4月17日水曜日

読売新聞の紅麹関連誤報について

読売新聞記者が談話捏造 紅麹関連記事巡り(読売新聞)

 上の時事の記事によると、読売新聞の記者が取材相手が言ってもない談話を勝手に捏造して記事に載せたそうです。この件について読売新聞のホームページを確認しましたがそこでは一切言及しておらず、お知らせのページを見ても一切触れられていませんでした。
 皮肉を言えば「読売新聞とNTTが生成AIのあり方に関する共同提言を発表」なんかよりずっと伝えるべき内容だし、またニュースな内容だとも思います。

 読売新聞側はこの件について担当者を処分すると話しているそうですが、処分も何も一発解雇しないのがむしろ不思議な案件です。過去に同じことをやって短い定食で済ませた中日新聞は別として、初店を捏造するのは記者として最もやってはいけない行為です。
 取材相手が発言した内容を分かりやすくするため入れた補足や注釈がややオーバーだったり、本来の趣旨からミスリードさせるものになってしまったとかならまだわかりますが、言ってもないことを一から作った場合、もうその人は二度と記者をやってはなりません。実際、共同通信とかならこの手の行為をした当事者は一発解雇、その上長も虚偽行為を見つけることが現実的に不可能だったとしても、降格などの処分を必ず受けており、この点での意識の高さではいつも共同通信には頭が下がります。

 今後読売がどういう処分をするかについて気になりますが、自分は記者という職業については常に「真実の奴隷たれ」という観念を持つようにしています。事実こそがすべてにおいて優先され、これを侵す行為はどのようなものであれ許されないという風に見ており、それをなくした場合は早く記者をやめる以外ないとも考えています。残念ながら、今回やらかした読売の記者、それを見逃した取材者はそろってその意識がなかったと言わざるを得ません。
 っていうか言ってもないこと言って批判したんだから、小林製薬には謝りに行くべきだよな。

 かなり昔にこのブログにも書いた覚えがありますが、学生時代に元テレビ局社員だった人が報道や番組制作において、演出などがどこまで許されるのかというラインについて「非常に簡単」だと述べ、それは何かというと「子供に対してその行為を説明できるか」だと言っていました。ほんとこれは至極その通りで、上記の今回やらかした記者は少なくとも自分の子供たちには「こんな感じで言ってもないことを書いてやった」くらいは言うべきでしょう。

2024年4月16日火曜日

野口健氏の万死発言への抗議に関して


 未だ盛り上がりの冷めない水原一平氏の所業について登山家の野口健氏が「万死に値する」と述べたところ、「ギャンブル依存症問題を考える会」の代表とやらが抗議したとのことです。結論から述べると、筋違いもいいところな抗議であり言葉狩りに属す抗議であるとして、この代表の方については強い不信感を覚えてなりません。
 今回の代表の抗議内容はというと、ギャンブル依存症の人間に対し再起を否定するような発言だとのことです。ギャンブル依存症は回復できるものだとして、野口氏の発言は不当だとのことですが、何を馬鹿げた事を言ってんだという気になります。

 というのも、今回野口氏は水原氏がギャンブル依存症だからこそ「万死に値する」といったわけではなく、詐欺行為を働いて大谷氏を裏切った点について批判しています。こう言っては何ですが、代表の言葉はギャンブル依存症であれば犯罪行為を起こすのは仕方がない、免責しろと言っている様にすら聞こえます。健常者であれギャンブル依存症者であれ、犯罪行為をした人間は周囲から批判されて当然です。

 次に、「万死に値する」という言葉は野口氏も言っている通りにあくまで比喩表現に過ぎません。実際に死ねとか二度と世の中に出てくるなと言っているわけではなく、ただその行為に対する責任が計り知れないほど重いと言っているだけです。「死」という文字が入っているだけでこのような抗議をするなんて過剰反応もいいところであり、だったら「必死」とか「決死」という言葉を使ったらどうなるんだと、これらも使っちゃいけないってのかよと言いたくなり、表現の幅を無意味に狭めるだけの言葉狩りであるようにしか私には見えません。

 そもそも、個人に対する搾取としては確実に歴代上位ランカーに入るであろう今回の水原氏の行為はヤクザの世界なら消されるに十分値するレベルです。それどころか数々の隠蔽工作や発覚直後の虚言の数々は、大谷選手の栄光あるキャリアを閉ざす可能性もあったほど危険なものであり、部外者である私ですら見ていて怒りたくなる悪行でした。
 そうした点を踏まえると、これが「万死に値」しなければ何が値するんだと言いたくなるような状況であり、これにケチをつけること自体が犯罪を助長するような言い方に思え、むしろ不適当であると思えます。

 その上でもし水原氏に対面するならば、「どうせこの先生き永らえたって搾取した大谷選手の金を数%も償えるはずもないのだから、悪いと思ってるのならとっととくたばれこのドブネズミ野郎!」くらいは私も言いたいです。何度も言いますが、それだけのことを彼はやってのけたと思います。
 にしてもこのセリフ、なんかベジータが言ってそうなセリフだなぁ。

 ただマジな話、いや先に書いた内容も十分マジですが、水原氏にはもう二度と日本の地を踏んでもらいたくもないし、大谷選手にも近づいてほしくないです。あれだけ家族のように信頼してくれていた人物に対し、銀行口座の開設時点からいろいろ工作していたなんて本当に大谷選手のことを金づるとしか思っておらず裏切っていたなんて、なるべく苦しみぬいて早く死んでもらいたいものです。

2024年4月14日日曜日

イランのイスラエル領内への攻撃とロシアへの影響


 なんか急に軍用車両をインテリアに使いたくなって、M8榴弾砲のキットを買って作っていました。

こんな感じでパソコンの上のインテリアに

 話は本題ですが本日未明、イランがイスラエル領内へミサイルとドローンによる混成攻撃を行いました。これはシリアにあるイラン大使館へのイスラエルによる攻撃に対する報復だとして、イラン側はこれ以上の攻撃は行わない旨を言明しています。
 それもそのはずというか、イランとしてはそもそも、イスラエルに対して攻撃をすること自体を望んでいなかったように見えます。実際に攻撃したら激しい反撃にあうのは目に見えているからですが、大使館へのイスラエルによる攻撃に何も反応しなかった場合、イラン国内からの反発や批判が起こるため、「借りは返した」的な口実とするための攻撃が何としても必要であったことから今回攻撃に至ったのではないかとみています。しかし拡大自体は一切望んでいないことから、こうしてこれ以上の攻撃を行わないと宣言したのでしょう。

 今回のこの攻撃は米国より、事前に世界各国へ報道ベースで周知されており、海外居住登録をしている自分のところにも外務省からイスラエル国内では気を付けるよう促すメールが届いていました。単純に米国やイスラエルの諜報が攻撃を事前につかんでいただけでしょうが、もしかしたらイラン側から米国に「一発攻撃を行う」という風に伝えていたのかもしれないとも見ています。というのも、この後の展開で米国が大きな主導権を握るからです。

 現在、イスラエルはガザ地区でハマスとの戦闘を続けており、北部半分は占領したものの南部はまだ制圧を完了していません。ただ時間さえかければ完全制圧も達成できるように見え、ここにきてハマスも和睦交渉に乗り出すなど追い込まれた様子を見せています。
 さすがにイスラエルといえども二面作戦は難しいでしょうが、逆を言えばハマスと和睦するかガザ地区を完全制圧した後であれば、イランに対し今回の攻撃に対する報復に打って出てくる可能性は十分あるように見えます。何よりも、かねてからイランを叩きたいと思っている米国にとってはこれ以上ない口実で、イスラエルに対して軍事支援を行う、または連合軍を組むなどしてイランに宣戦布告する可能性も予想されます。この辺、どう転ぶか現状では全く予想できませんが、ハマスがイスラエルとの和睦に前向きな姿勢を見せたのは恐らく、今回のイランの報復攻撃の計画を知っていたからじゃないかと思います。

 こうした中東情勢でも複雑な状況を見せていますが、中東以上に今回のイランの行動が影響するのではないかと思うのがウクライナです。というのも先日、ロシアが開戦当初にトルコが提案したウクライナとの和睦案に対し検討する方針を突然見せているからです。

 この和睦案の内容は、クリミアはロシアが支配し、それ以外の開戦前のウクライナの領土からはロシア軍が撤兵する代わりに、ウクライナはNATO加盟を見送るという内容でした。事実上、北欧諸国がNATO入りしたことを除けば開戦前の状態に戻す案で、ロシアとしては敗北といってもいい内容なのですが、何故ここでこの和睦案を検討し始めたのかというと、イランの情勢が怪しくなってくることをロシアも把握していたのではないかとみています。
 現在、ロシアに対する軍事、特に砲弾やドローンなどの軍備面での支援はイランが最も中核となっています。そのイランが仮にイスラエルと戦争が勃発した場合、ロシアに回す兵器を自国で使用するため回せなくなります。もしかしたら現時点でも、イスラエルの備えとしてイランはもうロシアにミサイルなどをまわしていないかもしれません。

 この状態が続いた場合、ただでさえ攻めあぐねているウクライナ戦争でロシアはより劣勢となり、その劣勢を見た欧米諸国が勝機とみてウクライナに対する支援を一気に拡大する可能性があります。そうなると事態はロシアにとって最悪となるだけに、形式的ながらロシア大統領選も終わったことだし、敗戦となるも今のうちに和睦をとプーチンも考えたのではないかとみています。今回のイランの攻撃を見て、自分が真っ先に考えたのは上記の内容です。

 以上を踏まえて言うと、日本の国益を考えるならウクライナの完勝が最も望ましいだけに、この際イスラエルとイランが開戦してくれた方がロシアを致命的に弱体化させる一手となるだけに、有利な運びとなるように見えます。もっとも実際に開戦するとなると石油価格は高騰するであろうし、その他の影響も大きく広がるだろうことから、本当に日本の国益につながるかと言ったら実際のところは微妙です。
 また米国としても、ウクライナ支援だけでなくイラン戦争まで引き受けるとなると果たして軍備が持つのか怪しいところがあり、二の足を踏む可能性があります。そのような場合、イランに対して融和策を取るというか、イスラエルとの仲介に努めることも十分あるでしょう。
 ただ仲介を行う場合、「今回イスラエルを止めてやるから、ロシアへの援助を切れ」と条件を付けてくれれば、都合のいい想像ですが開戦に至らず、ロシアも弱らせることとなるので、日本にとって最良のシナリオになるのではないかと考えています。仮に自分が日本の外交担当であれば、こっちのシナリオにもっていくよう周りを説得するでしょう。結果的に米国が負担するウクライナ支援もこれで少なく済むようになるんだし。

 しかし何度も言っている通り、情勢が今後どう転ぶかは全く予想がつきません。でもって米国内では大統領選の真っ最中なだけに、中東情勢に対する外交方針ももちろん議題に挙がってくるだけに、両候補ともポジショントークに使って状況をさらにややこしくしてくる可能性もあるでしょう。
 少なくともいえることとしては、この中東情勢の変化にロシアもかなり慌てているように見えるだけに、この状況を如何に対ロシアとして活用するかが日本が考えるべきトピックでしょう。逆に中東情勢に関しては、歴史的にも地理的にも縁が薄く、巻き込まれることが非常に危険なだけに、関与を極力薄くしつつ、状況の鎮静化を訴え続けることがベターな気がします。

 それにしても、自分が生きている間としては今が最も中東が荒れた状態と言え、こんな状況を目にするとは思っていませんでした。中東戦争を見ていない世代ですが、本当にこの地域はしがらみが多いのだと思わされます。