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2009年1月16日金曜日

センター試験について思うこと

 昔から日本にはカレンダーに書かれていない行事として大学入学試験日というものが毎年あると言われていますが、明日から二日間がまさにこの重要な試験日に当たるセンター試験が行われます。それでこのセンター試験ですが、この前ノーベル賞を取った益川氏や東大名誉教授の宇沢氏を始めとして自由な解答、発想を阻むとして行うべきではないという批判が多いのですが、結論から言うと私は現状の入試制度はそれなりにいいのではないかと考えています。

 まず益川氏など教育関係者がセンター試験を批判している点として第一に、解答がマークシートであることが挙げられます。マークシートでは答えは選択肢の中から選ぶ解答が主になり、言ってしまえば過程がわからなくとも大雑把な予想、言い方を変えれば受験テクニックを駆使することで正しい解答が出てしまうこともあり、更には選択問題の特性上作れる問題の幅も狭まってしまいます。問題の幅が狭まるということは言ってしまえば予想が立てられやすくなることで、こちらも受験テクニックによって正解率が動きやすくなるのを誘発します。

 こうしたマークシート制ゆえの問題に限らずこちらは宇沢氏がよく批判している点ですが、大学ごとの選抜方式に個性がなくなるという弊害もよく指摘されています。なんだかんだいってどの大学にもそれぞれ独自のカラーというものがあり、そのカラーに合った学生が入学するに越したことはありません。たとえば真面目に静かに勉強したがっている学生と侃々諤々に議論を持ちたがっている学生が一緒になるより、それぞれの傾向がある程度出来ているところに入った方が学生にも指導側にもプラスです。ではどうやってその傾向というかカラーに合った学生を選抜するかですが、選抜する試験の傾向で意外に分別できるそうです。

 実際に私の入った大学も試験問題が明らかに他校と傾向が違い、社会科の科目はどの科目も問題が非常に簡単にもかかわらず国語は古典が非常に難しく、また英語の問題に至っては質問自体は簡単なものが多いものの題材とされる英文の長さが一般の受験問題と比べて二倍、三倍くらいに長いという妙な試験でした。そんな妙なのに受かるというだけあり、なんだかんだいって私とその学校は肌が合いましたね。
 また最近あまり話題にしなくなった佐藤優氏は同志社大学神学部の試験を受けた際、当時は残っていた面接試験時に何故神学部を受験したのかと質問されたところ、無神論を研究したいからと、キリスト教を信仰している相手に対してそれを否定する学問を学びたいという恐ろしい返答をしたらしいのですが、面接終了時には試験官より、他校に受かっても是非うちに来るようにと言われたそうです。あの大学は今でもそうですが、基本的にアナーキストとか反逆者を好んで引っ張り込んではそれを量産する傾向があります。いい学校だけど。

 それはともかくとして、こうした学校のカラーに合った試験がなくなってしまうのは問題だと指摘されているのです。こういうと国公立はセンター以外にも二次試験があるではないかと思われますが、どうも教育関係者たちから話を聞いているとやっぱり国公立の試験はセンター試験の配点が大きいために、大概はセンター試験の結果で決まってしまうものらしいです。たとえば東大の二次試験は意外に簡単でみんな揃って点数が取れてしまい、京大の試験は逆に難しすぎてみんな揃って点数が取れないために差が生まれず、結局センター試験で獲得した点数の差で合格者が決まるようなものらしいです。

 こうした批判点は私も確かに問題だと考えており、数学はもとより国語や英語でもやはり記述式の問題でなければ測れない力もあり、またやはり同じテストでばっと測るよりも各大学独自に試験を設けてそれぞれで選抜するやり方の方が学校ごとに個性が生まれてよいと思えます。しかしこうした問題点を推しても、私はやっぱりセンター試験はないよりはあった方がよいと考えています。というのも、地方の受験生の受験環境というものがあるからです。

 私なんかは大学受験時は関東の都市圏で生活していたので特に影響は受けなかったのですが、やはり地方の受験生はというと試験のためにわざわざ東京に泊まりで受けに来たりするなど、交通費や宿泊費が都市部の学生より大変多くかかっていると聞きます。それも試験日がまだ集中していればいいものの、多少日が開いてしまえばその度に上京したり、もしくは長期間に渡って受験地に滞在しなければなりません。それこそ北海道や九州の受験生であれば交通費だけでも数万単位のお金が必要になってきます。
 ですが現状のセンター試験を用いれば、二次試験のある国公立大学はともかくとして私立大学であれば加入校も増えており、狭き門となることがありますがセンター試験での結果を用いて試験とすることが出来ます。地方の受験生からすればそれで受かってしまえば場合によっては十万円くらい無駄な支出を減らすことが出来、幅広く自由にいろんな大学に合格するチャンスが出来ます。この効果を考えると、現状のセンター試験に問題はあっても廃止するべきではないと私は考えます。

 ついでに書くと中国は六月にこのセンター試験に当たる大学入試が行われ、それ一発の成績で入れる大学が全部決まってしまいます。そのためたまたま体調が悪かったりとか事故などで試験に遅れてしまうと、日本みたいに私立大学なんてなくてみんな国立大学なのでその時点でまた来年に強くてニューゲームをしなくてはならなくなります。これ以外にも中国の大学入試はいろいろと問題を抱えており、それらと比べるとセンター試験で落っこっても私立大学が受験生を拾うシステムがある日本はまだマシだと思います。

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